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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
06(side竹本)
ま、たいていのやつは時間が余ったら仕事してるフリをしてトゥイッター巡回してると思うけど。もしくはソシャゲのイベか、マインで暇アピール? 別タブでネットサーフィンかも。
いやまぁ、誰も三初の仕事を手伝ったことはねーから、ガチで遊ばれても文句言えるやつがいないけどさ。
……はっ! まさかそれを見越した鉄壁の日頃の行いかっ?
え。それだったらすげぇ怖い。
やっぱ三初のほうが俺はやだ。
別に仕事めんどくせーなーとか思ってないって言ってるだろ。タイピングの手が止まってるとか関係ないです。
あいつのあの行動はふざけてる。
昇進したくないのか? 人事や上司、世間の目が怖くないのか? サイコパスってやつかな。たぶん違うけど。
とはいえ、役割分担はあるけど宣伝企画課自体、企画のことはチーム作業じゃなくてツーマンセル対応だったりする。
俺の相方は鈴木田。
三初の同期だったか。
とにかくコンビを組んで主体になり、各課の担当者と役割分担して進めるので、相方以外の仕事を手伝わなくても進捗に差し支えない。差し支えないし義務もない。極端な話だけどさ。
それで三初は、御割の仕事だけを手伝っているんだと思う。
てかそれしか見たことねぇもん。
隣の課の周馬なんかは面倒見がいいからよく後輩の仕事を手伝っているので、人気がある。
でも三初は滅多に人の仕事を手伝わない。
てか、人の頼みに対してまず「なんで?」って口元だけを緩めるあの薄ーい笑顔で首を傾げる。
納得のいく理由をそこで言わないと、チート男の行使権は確保できない。
理由があれば手伝うし、完璧に仕上げてくれる。アフターケアもバッチリ。代案も用意してくれるぜ。
ミスや問題があれば懇切丁寧に薄ら笑いで指摘されるので、ハートは殺されるがしくることはないんだ。超便利。
どうしてもこき使いたい能力を持つので、上司は間に御割を挟む。
御割に仕事を言いつけて、御割が一人で四苦八苦して残業になると、いつの間にか三初が処理している。
超絶めんどくさいし上司しかできないことだが、確実に終わらせてくれるのだ。……なんでだろ?
てかそもそも、なんで三初は御割にくっついてるのかがわからない。
三初はやたらめったら仕事が早い。
たぶんアーティスティックな仕事じゃなければ、社内でトップクラス。
その異常な速度は本人が先読みしてあらゆる可能性から数パターンの先手を打つことと、独自の処理システムを組み上げていることと、専用の資料まとめを作っているからである。
そんな三初が手伝うってことは圧倒的に楽ができるし、早く終わるのだ。
正直、御割が羨ましいぜ。
誰も言わないけど、三初はなぜか御割を気に入ってる。
だから人に頼るのが嫌いな御割への嫌がらせとして、三初はアイツの手伝いをしれっとしてるからな。御割じゃなければ大喜びな嫌がらせだ。
いいなぁ御割。
あーあ。絶対三初が相方だったら、俺はもっと楽したのになー。
鈴木田はできないやつじゃないけど、俺と同じタイプなのだ。
だからいつも揃って首を傾げ、同じところでわかんねー! と叫び、同じく片想い中。
鈴木田は幸村さんの同期の濱川さんにだぜ。望み薄な。
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