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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
07(side竹本)
「ソリティアじゃなくてご褒美が欲しいなー。だって、ね? ミーティングまとまった体で、リサーチ終わってますけど。アンケ、そっから予測される客層向けのウェブ広告内容、煽りピックアップも。選んでもらうだけですが?」
「職場に来て仕事すんのは当たり前だろうが。なんでご褒美やらねぇとだめなんだよ。それなら全員にやるだろ。働くか大人しくしてろ給料泥棒」
ふんふんと奇妙な膝枕戦争を聞きながら、もったいねぇなーと思いつつカタカタ。
ソリティア推奨の御割バーサス膝枕カモンな三初のレディファイ! だ。
つか、よくわかんねぇけど、距離感おかしくね?
こんなんだったっけ。
三初すっげぇグイグイいくじゃん。
普通に見るとなんつーか、好きなんかなって感じだけど、三初だから嫌がらせの一環かな。
でも御割、触られんのとか近づかれんの別にそこまで嫌いじゃないタイプだと思うけどな。
まぁいいや。
嫌がらせの一環でもいいから、俺の仕事もやってくんねーかなー。
あわよくばあわよくば。
「ふーん……」
──そんな俺の心の声を聞いていたのか。
「じゃ、あとなにすれば給料分に足りるんですかね? 午前で竹本先輩の三倍働いてますけど」
「ファッ!?」
「……竹本ォ……」
み、三初ーッ!? どうしてここで俺に話を振ったんだ!?
突然、火の粉が飛び火して、俺の肩がビクンッ! と跳ね上がった。
燃え盛る飛び火にそっと隣に目をやると、そこには「それはどういうことだ、あぁん?」と言わんばかりの凶悪フェイス。
御割の目が痛すぎて泣いちゃう。
やめて俺既に涙目だから。やだもう幸村さんに癒されたい。
「だって竹本先輩、幸村の「ちょいまちちょいまちッ!?」なんですか?」
やめてって言ったのにこの暴君──ッ!
人が涙目だというのに淡々と人のトップシークレットを明かそうとする三初に、慌てて待ったをかけた。
く、くそう……! こんなの援護射撃しなきゃ殺すってことだろぉぉぉ……!
俺は必死に首を左右に振って、仕事をサボったわけじゃないとアピールした。
「お、御割、御割! 俺は超仕事してたんだわ。ホントにしてた! マジで! だからその三倍くらい仕事してた三初は、多少お前に優しくしてもらう権利があると思う」
「はぁ? そりゃマジで言ってんのか、コノヤロウ」
「ウィッス! じゃねぇ。も、もちろんだぜ? 資料作り直してもらうまで時間あるだろ? な? 頼むぜ教育係」
「……まぁ、いいか。なんかおかしい気がするけどよ……」
一瞬御割の視線に怯みつつもにこやかーに笑いかけてな? な? と、頼み込むと、御割は納得がいっていない様子だったが、最終的にはコクリと頷いた。
よ、よかったー! なんとかやりきった! たぶんこれで飛び火が鎮火したはず!
いかがでしょうかとばかりに三初を見つめると、暴君はニマ、と笑って「わーい。やったー」とちっとも喜んでいるように思えない声を出す。
どうやら正解だったみたいだ。
パソコンに向き直り、俺は胸をなでおろして、再びのカタカタタイムに戻った。
ギシッ、とチェアーを鳴らして、三初が立ち上がる。丸く収まってよかったぜ。
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