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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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「俺は怒ってンだよ! もうちょっと、なんかこう……っ、なんかねぇのか!」
「いや、なんかってなに。なんて言ってほしいのか具体的にお願いします」
「具体的に言やぁ、っ、……あれ? ぐ……具体的には、ねぇけどよッ」
クツクツと笑ってダメ出しの修正案を求められ、もたれかかって攻撃していた俺は、勢いをつけて元の体勢に戻った。
具体的にってなんだよ。普通に俺を大事にしろ。
あと仕事中はあれもこれもをやめろと言いたいだけである。
むっすりとわかりやすく不貞腐れた俺は、もう三初に構うのはやめて画面の中に集中することにした。
こういうサバイバルホラーは実のところ、結構好きだからな。
「ね、先輩。今日竹本先輩のスマホいじってましたけど、なにしてたんですか」
「オイやめろ。足で挟むな」
報復を一時的に諦めて映画に集中していると、不意に三初がソファーに寝そべりながら、俺の腰を足で挟んで捕獲した。
……この野郎。
ピキ、と額に浮かんだ青筋。怒りの赴くまま、邪魔だと足を押しのけようとする。ビクともしねぇ。
「機械音痴のくせに」
「あぁッ? 別にデザイン部と合同で新年会のお知らせが来てたから、ついでに返信しただけだけど。機械音痴関係ねェぞ」
「あーね。行くんですか?」
「それはまぁ……忘年会行かなかったからな。お前もだろ?」
「んー……」
記憶の中では三初も忘年会をパスしたと思いそう言うと、なにやら煮え切らない返答が返ってきた。
間違いではない。
足癖の悪い美脚を退けることを諦めながら、思い返す。
だってコイツ、忘年会の日は確か幼なじみである出山車と飲みに行っていたはずだ。
なんだか珍しく出山車に飲みに行こうとせがまれていて、気が向いたのか承諾していた。
そして年始は日を合わせて俺と初詣に行き、そのうち仕事が始まったので、三初は年が明けてもブレずに自分の人生最優先である。
気が向かなければ新年会だろうが歓迎会だろうが、一切出てこない。
それを残念がるのは女性社員と、奇跡的だが一部の後輩たちだ。
スペックだけなら完璧な三初は、社会に出たてのヒヨコからすると憧れるらしい。
ちなみに三初が来ないとホッとするのは、男どもと上司たちである。
男どもは言わずもがな。
上司たちは三初の能力を考えて役職を与えるべきか、はたまた暴君の独裁政治を危惧して媚びを売って宥めておくべきか、毎度ヒソヒソ会議した後現状維持だ。
現状維持はお偉方の逃げだからな。
つまり、変える気なし。コイツはいったいどれだけ恩を売り弱みを握っているのやら。
ってなわけで、閑話休題。
兎にも角にも、三初は昔から付き合いのなにかしら、というのは気まぐれ出席なのだ。
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