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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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人様でセロトニン発生させやがって。
こちとらストレスマッハだぞコラ。禿げるわ。搾り取られて。
「クソ、もうテメェは静かにしてろ」
散々からかわれて疲弊しきり、ドサッ、とソファーに背中を預ける。
これは本気の『もう知らねぇ』だ。
元々の性分だとしても、ここまでしつこく言うのは俺にだけ。腹が立つ。
二人きりの時までそればかりはつまらない。共通の名前がついてから、そう思うようになってきた。
息をするように虐めやがって、極悪サディスト。内心で罵倒する。
すると三初は投げつけたクッションを手を伸ばして拾い、あっけらかんと俺に差し出した。
どんな観察眼をしているのか、俺が本気で相手にする気をなくすと、三初はあっさりからかうのを止める。
たぶん、人のボーダーラインを見極めるのが上手い。
つーかギリギリのラインで遊ぶなよ。怖いもんなしか。
クッションを受け取って、胡座の中に置く。
「仕事仕事、ねー……今日のミーティング、キレてたって聞きましたよ」
「あぁ?」
「お陰様で季節物のコラボに事前リサーチ込みで増産提案、全員合意したって。先輩の得意ジャンルな製菓、ホワイトデー企画とはいえ、これでコケたら笑うわー」
三初は俺に倣うようにドサ、とソファーの背もたれへ右肩を預け、とりとめのない話題を振ってきた。
遊ぶのはやめて普通に話す気らしい。
話しかけずに放っておかないということは、俺と話すこと自体は割と気に入っているようだ。
三初とこう、軽口叩き合う程度のテンポで話すことは、俺も気に入っている。
もう話さないと引き結んでいた唇が、緩まった。
いつもこうだから、一時の感情で本気で嫌になっても持続しない。
悔しいが、俺が本気で怒っても、関係が気まずくなったりしないのだろう。
かなり複雑な気分だ。
「ケッ。よく言うぜ。コケる気してねぇから先に市場と工場ライン押さえてたんだろうが」
「くくく、まーね?」
「去年から推し進めてた企画、今更ポシャってたまるか。バレンタイン系企画担当がヒィヒィ言ってる時、俺らホワイトデー系企画担当はあれこれPR企画捏ねてたんだからよ」
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