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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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◇ ◇ ◇
「先輩。先輩。起きてください。でないといつかまた現実で睡眠姦しますよ」
「……んぁ?」
聞きなれた声がいつもより小さく聞こえ、ぽんやりと目を覚ます。
目をこすって周囲を見回すと、そこは童話に出てきそうなお菓子でできた民家であった。
どうも、俺はビスケットのテーブルでうたた寝をしていたらしい。
むくりと起き上がると、ティーポットの縁に小ぶりな三初が座っていた。
ちょうどなんとかちゃん人形くらい。
手のひらサイズの三初 要。
いつもと違うところは、なにやらチョコレート色のメルヘンな執事服を着ているところと、猫の耳と尻尾が生えているところである。
「……また夢か。元ワッフル」
「ご名答」
今日はチョコレートです。
なんてニンマリと笑う三初は、優雅に足を組んで尻尾をシュルリとくねらせた。
──なんで夢の中の三初を毎度変貌させンだよ俺の脳細胞ッ!
脳内でツッコミを入れたって、その脳自体がバグっているんだから救いようがない。まさか自分の脳と人格が喧嘩するとは。
「まーまー。先輩の脳は救いようがなくて通常運転でしょ? 深層心理で俺にコスプレさせたい願望あるとか。つまりなに、シチュエーションプレイしたいわけね」
「なんでそうなったオイ」
前回は頭ごとワッフルだったが、今回は普通に顔がある。
しかしながらとにかくメルヘン。似合っているのがまたいけ好かない。
不機嫌顔の俺は寝巻きのままテーブルに肘をつき、グルルと唸ってみせる。
いったいなんだってんだクソが。
……でもま、どんな姿でも変わらねぇのがらしいっちゃらしいか。
今回は見た目が小粒でかわいいせいで比較的怒りが湧かないこともあり、気持ち穏やかである。
指先でツンツンとつついてみると、されるがままの三初が、両腕を伸ばして俺を見つめた。
「俺を召喚したってことは、どうせ悩み事でしょう? 聞いてあげますから、手の上に乗せてください」
……うん。
サイズ感的に仕方がないが、だっこを強請る子どものようなポーズで小首を傾げられると、やはりかわいい気がしてきた。
本人にわかっているのかいないのか、だ。
とりあえず小さい生き物はかわいい。
それは本能的なものだから、俺がキュンときてるわけじゃねぇ。
「…………」
「ありがとうございます。よっ、と」
黙って手を差し出すと、三初はピョンと飛び乗る。その後俺の指を抱えて軽く曲げさせ、それを背もたれにしてコロリと横になる。
足を組むその姿は悠然としたふてぶてしいものだが、全てはサイズ感の魔力。
先輩様の手を寝床にしやがるとは……かわいいじゃねぇか、クソが。
「さて、本題……ってか、先輩ヤベー。小さい俺に割と萌えてるじゃないですか。……うーん、これは予想外だなぁ……」
「はっ? 別に、萌えとか感じてねぇぞ。萌えっつーのはそういうコンテンツが好きな奴らが騒ぐものだろうが。知らんけど。つかそもそも、三初はかわいくねぇよ!」
「ククク。俺かわいくしたの先輩でしょ。脳細胞入れ替えて早く」
全然なんとも思っていないと首を振ったのにやれやれと肩をすくめる三初へ、殺意が募る。
んだが、小さいのが手を挙げて呆れポーズでコミカルに動く姿は、悪くないものだ。
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