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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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唇を尖らせたまま、ちまちまとカルーアミルクを飲む。
キャパシティは酒瓶一本といくらかくらい。
それを超えてからたぶんもう十杯は余裕でグラスを空けている。飲み放題は最高だ。やけ酒に優しいシステムである。
「おーよしよしかわいいワンコをしょんぼりさせるサドにゃんは中都くんが殴っておくっすよぉ~! ささ、修介センパイちゃんだし巻きをおたべ~」
「んが、む。みはいめ殴んな。噛むぞ」
「やだこの子忠犬。むしろブチコロ案件っすわァ……」
口の中に突っ込まれただし巻き卵をモグモグと咀嚼しながら、中都に軽く頭突きをする。三初を殴ったらダメだ。俺が殴るんだ。
ゴクン、とだし巻き卵を飲み込むと「よしよしちゃんと食べていいこっすねぇ!」とワシャワシャなでて褒められた。
おう、悪くない気分だぜ。
もっとなでてくれ。
「なでてアピールの頭ぐりぐりぃ……っ! はぁはぁ、全世界の犬派大歓喜。三初に邪魔され続けておあずけだった至福の餌付けタイムパァラダァイスっ」
「しゃぁねぇだろ。三初はな、頭、なでてくんねぇし……俺をイジメて、ばっかだ。……でも好きだ」
「ぐはっ、イジメられるのに好きなんすかぁ! 脳内デスノートにページいっぱい三初 要で殺意高めの中都くんでっす! 一途ワンコかわいいけど三初ムカつく二律背反やばたにえん」
中都はどこまでもテンションが高い。
俺の頭をなでるとテンションが上がるなんて変なやつだが、三初を殺そうなんて、怖いもの知らずなやつだ。
グスン、と鼻を鳴らす。
まぁなんだ。俺だってアイツの悪口なんざ、言いふらしたりしたかねぇんだよ。
中都と三初は仲が悪いってのに、また何度目かのワンニャン戦争のきっかけになりそうな情報、与えるつもりはなかったんだぜ? 本当だ。
けれど酒を飲むたびに口が滑らかになってしまい、とどまるところを知らない。
グラスの中身をグイッ、と飲み干し、そのまま中都に抱きつく。
「うっは!」
「なんで俺には、説明してくんねぇんだ、三初。言ってもわかんねぇからか? わかってみせるぜ。そうか、そのセンパイが泊まる日に、俺がいちゃあダメかよ? ……ちゃんといいこにする」
そして中都を三初に見立てて、普段はこんなにスルリと言えない甘えた言葉を、甘えた声で吐露していった。
コツ、と額を中都の肩に当てて擦りつく。
服の裾を控えめに掴んで、酔った赤い頬を溶けそうだなんて思いながらうっとおしい絡み方をする。
「三初は、酷ぇ……そうだろ。自分一人で自己完結。俺を混ぜてくんねぇ……俺だけじゃあ満足できねぇのかよ……ただの先輩なら、会わせてくれたって、いいんじゃねぇの……」
「んふふふっ。ね~どうして浮気しやがるんでしょうね~? 修介ワンコはこぉんなにかわいいのに~」
「かわい、本当か? まもりせんぱいより?」
「もっちもち!」
うっとおしい絡み方をしても歓喜している変な中都は、俺の頬をもちもちと伸ばしてにやけた。フン、今日だけだかんな。
「かわい……」
「そりゃもう控えめに言って権化っすかねっ! はいじゃが餅あ~ん」
「んあ」
差し出されるじゃが餅をパカ、と口を開けて迎え入れると「ほら君かわうぃ~」と追加で頼んでおいた梅酒を渡される。
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