誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です

42※



「あッ……と、止めろ、止めろ、てッ……あッ……あぁッ……!」

「ふっ、裏スジ擦れるのイイでしょ。俺もバイブの振動がきてイイ感じ、かな」


 ニュルニュルと抜き差しされるたびにくつろげた前と太ももの裏がぶつかり合い、素肌同士が触れる音が響く。

 出したあとなのに再び硬度を増しつつある自分のモノが三初のモノと擦れあって、甘やかな官能がもたらされた。

 気持ちいい。敏感な内ももを摩擦されるのも確かに気持ちいい。玉と裏筋を巻き込まれてちゃんと感じる。

 それでも俺の中に入っているモノは、冷たい機械なのだ。

 バイブが振動しうねるたびに肉壁が蠕動し、ねっとりと絡みついては腰が痺れるような快感を脳に伝達した。


「んぁっ……あぁ…っなんで、っなんでぇ……っだ、よ……っ」

「は……っ、あんたの泣き顔が、そそるから。あとは、……俺の目の前で、俺以外に腕絡めて飲んだくれてたから、とか?」

「ちが、ぁ……っ!」


 一度強く突き上げられ、パチュッ、と粘液が混ざる音がする。

 俺の嗚咽混じりの喘ぎ声にヴヴヴヴという機械音と三初の少し余裕のない声がないまぜになって、室内に響く。

 頭がクラクラする。セックスの熱でなのか泥酔しているせいなのか、わからない。

 酩酊する俺をあやしながら、三初は「別に怒っちゃいませんて。八割は趣味。ただまぁ、なんで? って聞かれたからには、一応答えてあげますよ」と言って骨盤のでっぱりを指先で引っ掻く。


「そりゃあ俺は先輩の知らない人を家に泊める悪い男かもしませんよ。でもあんた以外とあんなガッツリ腕絡めたり助けてなんて縋ったりしねぇけど? もちろんどんな条件であれ、下心丸出しの相手にシャンプーさせたりもね。俺はそうそう、他人に触らせない。……あんたも酷いって、わかる?」

「んぁ……っ」


 ──三初以外、に……?

 俺の脳を乱す様々な音が混ざる中、三初は淡々とした、けれど呆れと、わずかに拗ねたような響きを持って、俺の鼓膜を揺すった。

 バイブに内部を小刻みに叩かれながら、自分に触れる三初の手と屹立の熱を感じ、勃起の先からコプ、と先走りが吐き出される。

 つまりそれは、ええと、三初は俺が中都に対価をやったことと竹本に絡みついたことを怒ってたからお仕置したけど、今はもう怒ってねぇわけで、なら今は──……拗ねてん、のか?


「ぅ……っひっ……酷い、のは、お前、お前だ、お前が、っンぃ……っ」


 ここまできてようやく与えられたヒントを溶けた頭で理解すると、俺は揺さぶられながら口元を曲げてぎゅっと目をつぶった。

 だって三初は自分で言ったことを反故にしたじゃねぇか。

 隣で俺をずっと見ていると言ったのに、むざむざと連れ去られてしまった。
 触られていなくても触っていなくても素っ気なくしていても、俺の目の前で俺以外と飲んでいたことは確かだ。

 それを俺はずっと見る羽目になった。
 酔わなきゃやってらんねぇよ、バカ。ワガママなんか言えねぇんだ。


「みはじめ、がっ……お、女の……うぅぅ…っ、これ抜いて、抱け……っ」

「んっ? 俺が? 泥酔して焦らされて感じてグズグズになっても一番言いたいことが言えないんですか? 先輩」


 クスクスと嘲るような可愛がるような二面性のある笑い声と共に、俺の中からバイブがズルッ、と抜き取られる。


「っあ、く……っ」

「ふー……手のかかる犬だわ。酔ったらなんでも素直に言うタイプだったらちゃんと全部素直に鳴けばいいのに、意地っ張り」


 ローションの糸を引いたそれがスイッチを切って近くに転がされ、開きっぱなしだった口はくっぱりと閉じきらず、捲くれ上がって真っ赤な媚肉を覗かせた。

 仰向けに転がされ、グッと大きく開いた足の膝裏を持ち、体を折りたたまれる。

 隠しようもなく晒されたヒクヒクとヒクつくア‪✕‬ルに、待ちわびた男根がぬる……っとこすりつけられた。
 鼓動が早まり、期待に胸が震える。

 しかしようやく抱かれると抱く期待を裏切って、それは中に潜り込むこともなく、入口の表面をぬちゅぬちゅと往復するだけ。
 自分だってガチガチに硬くなっているのに欲を出さず、まだ焦らすのだ。


「も、もう嫌だっ……んっ……もう許して、三初、頼むから……っはぁ……っ」

「くく、じゃあ言って……? 俺は約束、守るでしょ……? 本当は褒めてほしかったあんたをちゃんと褒めたし、あんたがワガママ言っても怒ってない。先輩がもっと素直にオネダリしてくれれば、もっと俺は優しくなると思いませんかねぇ……?」


 殊更に優しさを押し出した甘ったるい声は、普段ならコイツは滅多に出さない。

 ローテンポで淡々としたつかみどころのないものなのに、今は溶けそうなくらい、俺を甘やかしてくれる。

 キュン、と体の奥が疼いた。

 ──言ってもいい……のか?
 いいのかもしれない。そうしたら三初は、やっと俺を抱いてくれるかもしんねぇ。

 三初は俺以外には無防備に触らせないと言っていた。
 猫だから、そうだろう。

 猫な三初はかわいらしい。夢の中の小粒な三初が猫だったこと、俺はけっこうかわいいと思っていて、甘えてきてもきっとかわいいから。

 だから、俺が甘えても、いい。


「あ……お、……お、俺だけ、見てて、……俺、三初を、独占してぇん、だ」

「……、……そ?」


 ごろついた涙声で懇願する。
 たぶん要するに、俺のものになってほしいのだ。




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