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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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──その後。
輝かしい笑顔(というプロテクターを纏った上っ面合戦)の二人の話を聞くに、だ。
間森先輩。
本名・間森 輝鈴は、俺より年上の三十歳。
三初が小学一年生の頃、登校班長だったのが出会いらしい。ギリ学生時代か。そこから中学、高校に上がっても絡まれたとか。
関係としてはいわゆる近所のお兄ちゃんだったこの男は、ドがつくメンクイで男好きのゲイである。
そして他人にあまり興味がなく邪魔をする者だけ足蹴にする系暴君の三初と違い、間森先輩は、嬉々として気に入った者にだけわざと嫌がらせをする系暴君であった。
幼い頃から間森先輩に同類の匂いを嗅ぎ取られた三初は、それはもうめんどうくさい絡み方をされてきたそうだ。
けれどそうそうに「コイツは構うほど増長する」と気づいてから、出会った時は笑顔でもてなしてさっさと追い返すことにしているらしい。
なるほどな。それでクリスマス・イブの時もエスコート&宿泊のち叩き出すコースで持て成してたのか。
タイミング悪すぎだろ。
とはいえそれじゃつまらない間森先輩。
あまり物事に執着しないマイペースな猫である三初に、ちょっかいの出し方を考えあぐねていた。
そこに現れたのが、俺だ。
全く意味はわからない。
わからないが、俺と会った瞬間──間森先輩は「間接的な嫌がらせ見っけ」となったとのこと。殴りたい。
ちなみに合鍵は勝手に作ったらしい。
ベッドで寝たことはあるが、起きたら落とされていたと言う。同衾はしてないと。
そうして俺を泣かせるか、俺が三初に怒れば、先輩としてはもうけだったのだが……まぁ、俺が頑として向かってくるもんだから、テンションが上がった結果があのマウントポジション。
先輩は両刀のゲイ。
さらにメンタルの強い男をへし折って屈服させるのが好き。
本来は無敵要塞ハートの三初を組み伏せて抱くか抱かれたかったわけだが、ここにきてターゲットが増えた。
すなわち、俺である。
いやだから全く意味はわからない。わかりたくもない。
そして三初は俺が三初以外にはすぐに噛み付く駄犬(そう言っていた。こいつも殴りたい)とわかっていたため、会わせたくなかった。会えばへし折られる対象に入るからだ。返り討ちにしてやる。
ことの全容は、これでスッキリ。
──あぁクソ、一匹でも勘弁してほしい生き物が二匹なんて、誰か今すぐ俺をエスケープさせてくれ……!
全て知った俺は頭を抱えてベッドで布団を被って丸くなり、しばらく出てこなかったことを伝えておこう。
……三初が秘密にする理由が浮気じゃなくて俺に絡ませないためなのが嬉しかったってのは、墓場まで持っていく秘密である。
ちなみにこのあと、間森先輩が春から関東エリアのエリアマネージャーの一人になると聞いた俺は、布団の中で発狂した。
前回や今回三初の部屋に泊まりに来た理由は、引越し先を内見やら契約やらする際のホテル代わりだったそうだ。
上が暴君で、下も暴君。
マジで素敵な職場だなド畜生ッ!
──後日談。
「シュウー。ミハの実家がヤクザでお前は借金苦。新年会までも追い込みかけられて涙目になってたって話はマジなのか?」
「あ? ンなわけねぇだろ。借金した記憶も涙目になった記憶もねぇわ」
「じゃあミハが竹本のことが好きで、シュウを虐めるのは隣のデスクで竹本と仲がいいからってのは?」
「!?」
「ミハの首絞めて、二人でタイマン張りに帰ったんだろ?」
「な、なんッ……!?」
「やーウケる。基本虐めてる俺とキレてる先輩なもんだから、俺らがそうとは、まさかでも思わないわけね」
「要ーッ! 新年会なんか御割先輩のせいでずっと不機嫌だったって? しかも先輩のことシリアルキラーみたいな顔で睨んでて、最後は誘拐してついに殺したってホントかよ! いくら先輩の顔が怖いからって殺すことねぇよ~……!」
「真、お前脳ミソ不足し過ぎ。殺すとしたらそんな理由じゃ殺らんから」
「えっ」
第六話 了
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