誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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閑話 嫉妬×監禁×自堕落=最低カレシ

07(side三初)※微



 風呂フタの上に上体だけを預けたまな板の上の鯉と化している御割を見て、濡れた手を振り水滴を飛ばす。

 すると御割の首がぐっとそっぽを向き、風呂フタに目隠しを擦りつけ始めた。

「ひっ……ぅ…み、みはじめ……どこだよぉ……おまえ、誰だ……蹴り飛ばしてやる、くそが、ぁ……っ」
「……はー……」

 泣きそうなのをぐっと堪えて目隠しを外そうとしながら強がる御割に、なんとも言えない感情が湧き上がる。

 あぁもう、名前呼んじゃってまぁ。
 この人はどこまで不器用でアホで忠実なワンコなのやら。

「動けね、の、ぅっ……みはじめぇ……どこだよ、みはじめ……っ」
「……なんですか? 先輩」
「っひ」

 体の向きを変えることすらままならない身で三初を探す御割が、認めたくはないがあんまりかわいいもので、つい声を出してしまった。

 三初の声を聞いて、御割の体がビクッと跳ねる。おい。なに嬉しそうに笑ってんだ。

 虐められたいのだろうか。すぐにへの字口に戻しても遅いのだ。
 考えてることなんか、バレバレだからね。

「あーもう」
「み、三初、っ」

 服が濡れるのもお構いなしに淫猥な裸体を抱き寄せ、洗い場にペタンと座らせる。

 恐怖の後の安寧、という仕込みと個人的に甘やかしたくなったので、唇にキスをして背中をトントンと叩いてやった。

「ん……っじゃ、ねぇ、み、三初っテメェ、おれ、俺をからかって、ッ」
「うん? どうしたの? 変な人きた?」
「ぇ、あ、……?」

 キスをされて抱きしめられただけで、まんまといつも以上に安心を感じたらしい。

 全身を赤く染めた御割がキューンキューンとイタズラを咎めるが、優しい声で知らんぷりをしてやった。

「さっきの、お前じゃ……っ?」
「さっき? んー……なんですか。怖い夢でも見たんですかねぇ。それよりほら、餌があるから、おあがり。監禁プレイ中は、特別にあーんで食べさせてあげてるでしょ? 喜んでいいですよ」
「っいらねぇ、フンッ……」

 端に寄せておいた盆を引き寄せながら言うと、御割はそれ以上指摘せず、いつもどおりにそっぽを向く。

 けれど手足は動かず視界も塞がれているくせに、ピタリと三初に身を寄せて離れない。

 やはり本人的にも、三初がいない暗闇で謎の腸内洗浄を施されたのが、かなり恐ろしかったようだ。

 そして監禁プレイ自体になにも言わないのは、初日にじっくりと仕込んだからである。

 三初より体格のいい御割だが、膝立ちの三初に対していわゆる女の子座りの御割は、やや顔の位置が低い。

 これは結構、愉快な光景だ。

 むち打ちのせいで赤い線が走ったままの尻をよしよしとなでてやり、頬に手を添える。

「あらら。なんかしんないけど、怖かったんですね。悪夢なんて目覚めちゃえば消える、クソザコですよ?」
「ん、ん……人様のケツを揉んでる大魔王も、っふ…、ン…っ消えろ、ちくしょうめ……っ」

 どの面下げてなフォローの返事はつれない態度だが、しかしピタリと頬をくっつけてくる様子は変わらないので、気に入ったらしい。

 精魂付き果てさせるためだけに注入した媚薬入りローションの効果は、洗浄したことで完全に切れているはずだ。

 にも関わらず。

 減らず口以外は甘ったれつつある御割の精神は、二日を経て、監禁プレイの至れり尽くせりを覚えてきたのだろう。

 本人に自覚がなくとも、三初としては大歓迎だ。

 三初 要は調教に飴と鞭システムを採用していますので、甘ったれるほど後が楽しいのです、ということである。


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