誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

09(side三初)



 そんなこんなで結局ソフトなプレイをするばかりだから、先輩が飽きてくるころかな、と思ったわけだ。

 ドマゾ開花させたのは俺なわけだし、もうワンステップエグイことがしたいだろうっていう期待には、応えてあげないとね。

 ないとは思うけど先輩が俺とじゃ物足りねぇってなったら、手足をもいじゃうかもしれねーよ? 嘘だけどさ。

 痛めつけてくれるなら誰でもいい、なんて結論に達されたら、目も当てられない。

 こちとらあんまりエグいプレイはできないルールでやってるんだから、本人が自主的に求めない限り生ぬるくなるんだよ。

 閑話休題。

 そういうわけで飽きがこないよう一応デートコースは前回と被らないものを選んでいる俺は、今日はリアル脱出ゲームかな、なんて考えていた。自分の気分も最大限考慮して。

 しかし前述のとおり、起床からない頭を捻って考え事をしていた駄犬先輩。

 突然ハッとしたかと思うと、頭をガシガシ掻き回して、なにを思ったか今度は「オイ、今からジム行ってくる」と恋人をおいて支度を始めてしまったのだ。

 意味がわからない。
 二時間前まで走っていた。シャワーも浴びた。朝メシも食べた。なんでジム?

 惰性で流すテレビを見ながらココアを飲んで恋人とくだらない会話をするブレイクタイムに、なんでジムチョイス? アホなの? アホか。知ってた。

 不器用ながら真面目な先輩は、律儀に「小一時間したら帰ってくっから。したら、ちょっと出かけて外で軽くメシ食うか。食いたいもん考えとけよ」と言って一応の気遣いを見せる。

 いやいや。もうバカ。

 これだからデリカシー皆無の図体だけはデカイ脳筋バカはいけない。俺の飯のぶん確実に頭に栄養届けてね?

 ジムに行くのは別になんとも思わないし、恋人が部屋にいるからって好きに行動すべきだ。俺もそうする。そこはいい。

 けど、普通に行きたいから一緒に行こうって誘えばいいのに。

 先輩は俺が行ってもつまらないだろうと勝手に決めつけて勝手に動く。
 是か非かは俺が決めるから逐一全部聞け、と思う。そういうところはマジでデリカシーない。有り得ねー。

 ムカついたのでダメージを負っているだろうケツを強かに蹴り上げ、先輩の運転で、先輩の行きつけのジムに行くことにした。

 運転席に座る先輩が凶悪な目付きで黙り込んでいるので、助手席の俺はほくそ笑む。

 フロントガラスの向こう側にあるもの全てを殺したいような目つきだ。

 その理由は俺がムカついた腹いせとして、ケツに遠隔操作のローターを一つばかり挿れてやったからである。

 こう、靴を履くためにしゃがんだ先輩のベージュのストレッチパンツと黒のボクサーを引っ張って、手をすべり込ませるでしょ?

 んで、ゴムの中に入れて口を縛ったひょうたん型のシリコンローターを、安全かつ素早く、にゅるっと。
 
 はっはっは。「プールの中に落とさないよう、ちゃんとそこ締めといてください。遠隔操作できるんで、抜いたら……ねぇ?」と言った時の先輩の表情たるや。

 恥ずかしいの好きだし、これまたイイ刺激になりそうだ。

 ビクビクしながら眉間にシワを作って殺人鬼みたいなオーラ出してるのも、ま、なかなかかわいいしね。

 道中の俺はポケットの中でスイッチを弄びながら、いつ中で振動するのか気が気でない先輩を愉快に鑑賞した。




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