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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力
21(side三初)※
へろへろとやかましい口にがぽっ、と指を三本突っ込んで塞ぐ。
うるさい、とは言ったが、本当はそれほどうるさくない。
先輩はただ口数が多いだけだ。
声自体は大きくもないし、そもそも意地っ張りなので平均より抑える。
ほとんどは乱れた吐息で、声はむしろ小さいタイプかもしれない。
今だって音が響く個室トイレでもトイレの外には到底聞こえないだろう程度に、初めからヒソヒソ声を保っている。
が。
「ぉ、ひ……っみふぁ、ひぇ……っひ、ひぬ……っぅ、ゔぅ……っ」
意外と気にしいな先輩は、俺にうるさいと言われると必死に声を押し殺そうとするから、わざと口に出した。
全部捨てて思いっきりセックスしたい欲望とモラルに挟まれてどうしようもなくなり、結局は自分を犯す元凶の俺にしか頼れず、もう嫌だ、もう死ぬ、と繰り返し縋る先輩が、なかなかイイ。
このためだけに、大げさにいつもイジメてしまう。
押し寄せる快感が処理しきれなくて脳ミソ溶けてやんの。死んじゃうーって本気で思ってるのかねぇ。本気だろうな。アホな先輩だからな。
それがカワイイと思う俺は重症か。
割と手遅れ。
一生の付き合いだしまあいいか、と思っているから救いようなし。
ギッギッと便座が軋むのもおかまいなしに片手で骨盤を押さえつけ、固定し、赴くままに抱き潰す。
暴れても逃がさない。
掴んで、引き寄せて、深深と、ケツがガバガバになって壊れちまえって気分でバチッ! バチッ! と強く犯す。
「ぁああ…ッ! ッもぉひぬ、ひやら、ッぁ、あッ…ぁッぐ、ぁッ……!」
「あはっ……俺があんたの死因とか、最高だわ。そんなに死にそうならこのまま殺してあげますよ。その代わり、きっちり死んでくださいね?」
「ひっひぬっ、ひぬかぁやめ……っや、ぁ、ァ、ア、アッ」
「っクク、じゃあ、約束」
「──はぁ゙あ……っ!」
イイコな先輩がちゃんと頷いたのを見てから、俺はイキっぱなしな穴の奥に深く埋め込み、昂った欲望をドクドクとゴム越しに吐き出した。
あー……そりゃ気持ちいいけどね。
先輩抱くのって。割と。結構。
ただまぁ出したら一回終わらせなきゃで、それが残念だから我慢するとこあるな。たぶん。普通におかわりすればいいんでしょうがね。なんでしょね。
今回はおあずけ。潮時だ。
そろそろ映画が終わる頃なので、人が来るかもしれない。
さーて。公共施設でローター散歩と露出オ✕ニーにトイレでセックスまでヤって、無事抱き殺す権利も貰ったし、なかなかスリルのあるデートだっただろう。
ドマゾ先輩も大満足に違いないわ。
──だから、よそ見厳禁。
あんたは気持ちいいことが大好きで、俺はそれを与え続ける。
無自覚な性癖を浮き彫りに削り出して、誰よりもあんた好みの快楽をカラダに、本能に、脳細胞に刻み込んで常に最高のセックスでもてなしてあげますよ。
「やっぱうるさいなぁ、声」
「は…っ……ぁ……てめ、みはぃめ……はらひぁぃらう……、っん……」
ピクっ…ピクっ…、とゆるく痙攣を繰り返していた先輩の中で腰を揺する。
口に指を入れたまま唾液でドロドロにヌメった顎を強く掴みあげると、イキ散らかして正気に戻り始める先輩が、汗ばんだ視線でジロリと責める。
「おえひぬっていっらぁろ……っらのにぉあえら、はっ……声、うっへ……」
「くくく……でも死ぬの気持ちよかったでしょ? トロ顔晒して、前も後ろもびちゃびちゃにして、それが生まれつきの性分なくせに。卑しいマゾ犬め」
「く、ふ……」
不貞腐れたヘロヘロの声に、ちゃんとわかってんのかね、なんて嗜虐心がムクムクと湧き上がってくるが、それは我慢した。
現実的な未来を見ると、どうせこのあと俺は、余韻が過ぎて完全に我に返った先輩にふざけんなと唸り声の一つでもあげられること間違いなし。
それがわかるくらいには、俺は御割先輩を理解している。
そしてそれがわかっていても毎度いじめるということをわかっているくらいには、先輩も俺を理解している。
目下引っかかるのは、なにやら悩める先輩がたいてい明後日の方向に暴走することだが……それも含めて飽きない恋人関係、かね。
変に口出ししても意地張って言わないだけだし拗れてもめんどうだから、とりあえず確信得るまで泳がせておこう。
他人と浮気するとか風俗系に手ぇ出すとかは性格上ないし。
不器用で融通が利かず隠し事がドヘタな上に基本ストレート過ぎてデリカシーが壊滅した男、御割 修介。
本人や周りは短所だと言うが、俺はむしろその性格を気に入っている。
誘惑されて浮気するくらいならまずきっぱり別れてから堂々とワンナイトするタイプで、風俗系は気が引けて躊躇するだろうし、行ったとしてもあとで気まずくなって早々に白状するだろう。
そういうところは信頼している。
そういう先輩だから、惚れた。
──ま……先輩の危機管理能力だけは信頼できねーんだけど。
「いやマジで敵意には敏感なのに下心にはクソほど鈍感なの致命的なバグでしょ……お陰様で湧いてくる物理以外の問題、いつも誰が裏で処理してんだっていうね」
「みはいめ、ゆうぃ抜へぉ」
「そりゃあ性欲ぐらい進んで処理してほしいってもんだわ」
「聞へ」
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