誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

文字の大きさ
302 / 454
第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

21(side三初)※



 へろへろとやかましい口にがぽっ、と指を三本突っ込んで塞ぐ。

 うるさい、とは言ったが、本当はそれほどうるさくない。
 先輩はただ口数が多いだけだ。

 声自体は大きくもないし、そもそも意地っ張りなので平均より抑える。
 ほとんどは乱れた吐息で、声はむしろ小さいタイプかもしれない。

 今だって音が響く個室トイレでもトイレの外には到底聞こえないだろう程度に、初めからヒソヒソ声を保っている。

 が。


「ぉ、ひ……っみふぁ、ひぇ……っひ、ひぬ……っぅ、ゔぅ……っ」


 意外と気にしいな先輩は、俺にうるさいと言われると必死に声を押し殺そうとするから、わざと口に出した。

 全部捨てて思いっきりセックスしたい欲望とモラルに挟まれてどうしようもなくなり、結局は自分を犯す元凶の俺にしか頼れず、もう嫌だ、もう死ぬ、と繰り返し縋る先輩が、なかなかイイ。

 このためだけに、大げさにいつもイジメてしまう。

 押し寄せる快感が処理しきれなくて脳ミソ溶けてやんの。死んじゃうーって本気で思ってるのかねぇ。本気だろうな。アホな先輩だからな。

 それがカワイイと思う俺は重症か。

 割と手遅れ。
 一生の付き合いだしまあいいか、と思っているから救いようなし。

 ギッギッと便座が軋むのもおかまいなしに片手で骨盤を押さえつけ、固定し、赴くままに抱き潰す。

 暴れても逃がさない。
 掴んで、引き寄せて、深深と、ケツがガバガバになって壊れちまえって気分でバチッ! バチッ! と強く犯す。


「ぁああ…ッ! ッもぉひぬ、ひやら、ッぁ、あッ…ぁッぐ、ぁッ……!」

「あはっ……俺があんたの死因とか、最高だわ。そんなに死にそうならこのまま殺してあげますよ。その代わり、きっちり死んでくださいね?」

「ひっひぬっ、ひぬかぁやめ……っや、ぁ、ァ、ア、アッ」

「っクク、じゃあ、約束」

「──はぁ゙あ……っ!」


 イイコな先輩がちゃんと頷いたのを見てから、俺はイキっぱなしな穴の奥に深く埋め込み、昂った欲望をドクドクとゴム越しに吐き出した。

 あー……そりゃ気持ちいいけどね。
 先輩抱くのって。割と。結構。

 ただまぁ出したら一回終わらせなきゃで、それが残念だから我慢するとこあるな。たぶん。普通におかわりすればいいんでしょうがね。なんでしょね。

 今回はおあずけ。潮時だ。
 そろそろ映画が終わる頃なので、人が来るかもしれない。

 さーて。公共施設でローター散歩と露出オ‪✕‬ニーにトイレでセックスまでヤって、無事抱き殺す権利も貰ったし、なかなかスリルのあるデートだっただろう。

 ドマゾ先輩も大満足に違いないわ。
 ──だから、よそ見厳禁。

 あんたは気持ちいいことが大好きで、俺はそれを与え続ける。

 無自覚な性癖を浮き彫りに削り出して、誰よりもあんた好みの快楽をカラダに、本能に、脳細胞に刻み込んで常に最高のセックスでもてなしてあげますよ。


「やっぱうるさいなぁ、声」

「は…っ……ぁ……てめ、みはぃめ……はらひぁぃらう……、っん……」


 ピクっ…ピクっ…、とゆるく痙攣を繰り返していた先輩の中で腰を揺する。

 口に指を入れたまま唾液でドロドロにヌメった顎を強く掴みあげると、イキ散らかして正気に戻り始める先輩が、汗ばんだ視線でジロリと責める。


「おえひぬっていっらぁろ……っらのにぉあえら、はっ……声、うっへ……」

「くくく……でも死ぬの気持ちよかったでしょ? トロ顔晒して、前も後ろもびちゃびちゃにして、それが生まれつきの性分なくせに。卑しいマゾ犬め」

「く、ふ……」


 不貞腐れたヘロヘロの声に、ちゃんとわかってんのかね、なんて嗜虐心がムクムクと湧き上がってくるが、それは我慢した。

 現実的な未来を見ると、どうせこのあと俺は、余韻が過ぎて完全に我に返った先輩にふざけんなと唸り声の一つでもあげられること間違いなし。

 それがわかるくらいには、俺は御割先輩を理解している。

 そしてそれがわかっていても毎度いじめるということをわかっているくらいには、先輩も俺を理解している。

 目下引っかかるのは、なにやら悩める先輩がたいてい明後日の方向に暴走することだが……それも含めて飽きない恋人関係、かね。

 変に口出ししても意地張って言わないだけだし拗れてもめんどうだから、とりあえず確信得るまで泳がせておこう。

 他人と浮気するとか風俗系に手ぇ出すとかは性格上ないし。

 不器用で融通が利かず隠し事がドヘタな上に基本ストレート過ぎてデリカシーが壊滅した男、御割 修介。

 本人や周りは短所だと言うが、俺はむしろその性格を気に入っている。

 誘惑されて浮気するくらいならまずきっぱり別れてから堂々とワンナイトするタイプで、風俗系は気が引けて躊躇するだろうし、行ったとしてもあとで気まずくなって早々に白状するだろう。

 そういうところは信頼している。
 そういう先輩だから、惚れた。

 ──ま……先輩の危機管理能力だけは信頼できねーんだけど。


「いやマジで敵意には敏感なのに下心にはクソほど鈍感なの致命的なバグでしょ……お陰様で湧いてくる物理以外の問題、いつも誰が裏で処理してんだっていうね」

「みはいめ、ゆうぃ抜へぉ」

「そりゃあ性欲ぐらい進んで処理してほしいってもんだわ」

「聞




感想 137

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

またのご利用をお待ちしています。

あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。 緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?! ・マッサージ師×客 ・年下敬語攻め ・男前土木作業員受け ・ノリ軽め ※年齢順イメージ 九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮 【登場人物】 ▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻 ・マッサージ店の店長 ・爽やかイケメン ・優しくて低めのセクシーボイス ・良識はある人 ▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受 ・土木作業員 ・敏感体質 ・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ ・性格も見た目も男前 【登場人物(第二弾の人たち)】 ▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻 ・マッサージ店の施術者のひとり。 ・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。 ・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。 ・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。 ▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受 ・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』 ・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。 ・理性が強め。隠れコミュ障。 ・無自覚ドM。乱れるときは乱れる 作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。 徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。 よろしくお願いいたします。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。