誰かこの暴君を殴ってくれ！

第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

３６※

「ふふふ、ふふ。そうと決まればグチャグチャのドロドロな寝取りプレイ、じゃない。マゾヒスト検査をしましょう！」
「ぐぅッ、うッ」

（ふざけんなこのクソド変態一人ＳＭ上司がッ！　心の声がモロバレなんだよ……ッ！）

　口から言葉にできずとも、俺は抗うことも吠えることもやめたりしない。

　寝盗られてたまるかクソ野郎め。
　というか寝させねぇ。このまま突然不能になれ。去勢しろ。

「このメス豚が、とか言いながら鞭で打てばいいんですよね？　ん～……恋人以外で感じるなんて、ダメな子。御割さんのア✕ズレケツマ✕コをガバガバにしてあげますよ」
　
　テンションが上がったマネージャーは、語尾にハートでも付きそうな勢いでとんでもない宣言をする。

　俺のハートをへし折り組み伏せ、それによって三初にキレられる妄想により、恋する乙女のように浮かれてしまった。

　ガッチャガッチャと逃げようとする俺を無視して、マネージャーは目隠しを付け、視覚を奪う。
　なにも見えない中、耳元でカチ、と音がした。

「ふぁ、ッ……！」
「まずは一段階めから」

　ヴヴヴヴ、と鈍く震え始めたプラグが内壁を刺激し、声が漏れる。

　俺が好きなわけではないマネージャーは、三初よりずっと雑にいたぶった。

　オモチャで嬲られたことは、何度もある。
　カチカチッ、と振動の段階を上げる音を聞かせられ、早急に責め苦が増されていく。

「～～っ！？　ふぃ、ッ、あッ、ぁ……ッ！」

　腹の中で暴れ回る異物の苦しさに、俺は頭を振って抗おうとした。
　けれどこれまでも無駄だったように、やはり逃れられる気がしない。

　身悶える俺の尻を、マネージャーが再度バチンッ、バチンッ、と打った。

　本気でいい加減にしてほしい。──痛てぇって言ってんだろうが……ッ！

　心で唸ろうが、手足の痛みと呻き声だけが虚しく響き、吠え声は口枷の空洞から吐息として吐き出される。

「うふ、ホントにメス豚みたいですね。ほらほら、痛いのがいいんでしょう？」
「ッ、ぁッ、あッ、ンふ、ふぇぁ……ッ」
「えっちな声出して、よっぽど気持ちいいんですよね？」

　──なのに。

　これが気持ちいいと覚えている体は、弄ぶのが誰であっても、屹立の根元を裏側から叩かれ、襞がうねってしまうのだ。

　秘部から溢れたローションと淫液が、内股をしとどに濡らし、ポタ、と床を汚す。

　前立腺をグィングィンとスウィングで虐められ、振動で腸壁全体を擦られ、先端部分で直腸の最奥を捏ねられると、我慢ならない。

　熱く勃起しきった肉棒から濃度の高い粘液が滴り、達しそうになるのを必死に堪えた。

（はっ、チクショウめ……こんなもんで、イきたくねぇ……っ）

　悔しくて、イライラする。
　ムカつくけど、認めるしかねぇんだ。

　俺は確かに、こんなオモチャに犯されながら鞭で打たれて罵声を浴びせられても、感じている。

　三初じゃなくても、三初に調教された体は敏感に快感を拾い集めた。

　しかしどうしてかわからないが、心は満たされないし、中途半端な苦痛や雑な扱いに、不快感が止まないのだ。