343 / 454
第八話 シスターワンコとなりゆきブラザーズ
11
「ケッ。他人と一緒に住むって、思ってたよりかんたんじゃねぇな」
「ナゥゥー」
「まあ、たぶんだぜ? 俺とアイツじゃ、相手に求めることが違ぇんだ」
じっと見つめてきたマルイの顎をなでてやると、ゴロゴロと喉を鳴らして喜ぶ。猫がなにを言っているのかわからなくとも、喜怒哀楽くらいはわかる。
三初は人間だが、それと同じだ。
言葉足らずの天邪鬼なアイツは、確かに聞けば答えてくれるだろう。
でも考えるほど聞けない意地っ張りの俺には、それが難しい。
困ったやつらだって自覚は、お互いあるんだけどよ。
しかもお互い一応、どうにかしようとはしているんだぜ。
そこは性格が凝り固まった大人だからこその修正難易度だ。
俺は協力して、できれば居候の俺がアイツを支えて、そして構ってくれなくてもいいからそれを言葉で伝えてほしい。
三初はどうだかわかんねぇ。でも流石に付き合いも半年近くなってきた俺の予想では、アイツは十割自分が生活の負担を担っても構わないんだと思う。
そう確信が持てる。
ただそれについては、やはり納得いかない反抗心があった。これは個人的なワガママってやつだ。
「ナーウ?」
「おう。結局俺とお前の飼い主は、ムカつくことに多少似てるってこった。フン、わかりにくい野郎だぜ」
鼻先をチョイチョイと構ってやると、マルイはそっぽを向き、本格的に丸くなる。
フラれちまった。マルイは三初に懐いているから、散々文句を聞かされて不貞腐れたのかもしれない。
ふぅ、と息を吐く。
まぁな。俺は確かに、デロデロに惚れてる割には、三初が求めるほどアイツを頼らねぇよ。
それは年上の矜持。
本気でへばってる時は本気で弱るから、あまり見せたくない。
でもそれって、アイツにも言えることだ。
三初は弱らない。弱みも弱音も、見せない。俺にごくごく稀に甘えても、頼ることはしない。頼らなくても困らないから、しないのだ。
それって全然フェアじゃねぇ。
天邪鬼の理由はそこにあると俺は見てる。
理由は不明だが、甘えや弱さのありのままを見せたら死ぬんじゃねぇかっていうくらい、アイツは上っ面を塗り固めるのが上手い。
めんどくせぇやつめ。
任せるとか頼るとか甘えるとかはむしろ結構嬉、……今のなしだ。まぁいいかなぐらいだぜ。うん。知らん。
長くなったがとにかく、まぁいいかなだから、もっとそういう報連相やら会話やらを頑張れやって話。
そうしてぼんやりしていると、俺の腹の虫がグゥ、と鳴き声をあげた。
「……。待ってるなんてガラじゃねぇし、乗り込むかッ」
「ンニャ」
ほんのりと赤く染った頬を誤魔化すようにマルイを下ろし、勢いつけて立ち上がる。
長期の休みだったからこそわかったスタンスの違いによる弊害を、今こそ打破しねぇと。
「うっし」
綺麗に掃除されたフローリングを踏んでリビングから出て、三初の書斎へ向かう。
いつも仕事に持っていったり朝使ったりしているノートパソコンは、寝室のテーブルに置いてある。
でも書斎には副業に使うデスクトップパソコンが、一通りの機材と共に置いてあるらしい。
って言ってただけだけどよ。
入ったことはねぇんだ。理由は不明。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。