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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
13※微
そんなふうに聞かれるとは思わなくて、意味もなく寝返りを打ち、下半身に寄せたはずの上掛けを肩まで被りなおす。返事に困って、言い淀む。
『寝たい? 抱かれたい? 犯されたい? セックスしたい? ヤリたいスイッチじゃないなら、アンタ本当はどのスイッチが入ったんですか? 教えてくださいよ、御割先輩。そしたらそのスイッチ、俺がもう一回入れるんで』
「っ……」
通話の向こう側でサディストな暴君がすこぶる愉快げな笑みを浮かべているのが、嫌でもわかった。
(クソ……あっちィ……)
温度の高い息を吐く。
どれも同じ選択肢なくせに、いちいち聞くなと言いたい。いつものことだ。
選択肢を用意しておいて、選択の意味なんてコイツは用意していないのだ。
『ね……俺と、テレセします?』
含み笑いを込めて耳元で囁かれるセリフが、俺は心底忌々しい。
だが、ズク、ズク、と性器と下腹部の奥がむず痒くて、言いなりになるのがムカつくという顰めっ面を保ちながら、吐き捨てるように声を絞り出す。
「テメェのそういうところ、マジで嫌いだぜ、クソ野郎」
『ふっ。大嫌いだって思ってても別れないんだから、大好きなんでしょ』
「知るか、バカが」
『意地っ張り』
ケッ、いちいちわからせんなよ。
そんなこと、とっくに知ってる。
軽口を叩き合いながら通話をハンズフリーにしてスマホを枕元に置くと、耳元で聞こえる話声がよりリアルになった気がした。
ベッドに寝そべったまま、下着とハーフパンツを足元までズラす。
万が一の目隠しのため、立てた膝に夏布団もかけた。
竹本が戻ると言っていた時間には余裕があるので大丈夫だとは思うが、一応だ。
夕食後のアイツの息抜きは十中八九夜の店なので、早く帰ってくることがないとも言えない。遅漏であれよ、竹本。
「ふ……」
剥き出しの茎に触れて、擦らずに根元から先端までを揉む。
その気になっている自身を三初の手つきを思い出しながら直接刺激すると、かんたんに手の中で質量を増し始めた。
アイツの触り方に慣れたせいだ。
一人でシていた時のやり方は、すぐに思い出せないくらい褪せている。
そもそも俺はあんなにねちっこくシない。一人でする時は遊びを混ぜたっていつも単純な快感を追うだけで、三初との行為は、知らないことばかり増えた。
通話の向こうから、ベッドの軋む音が聞こえる。三初もベッドにいるらしい。
衣擦れの音が微かにする。
脱いでんのか? いや、寛げてんのか。通話しながら抜くために、自分で握って、いいとこイジッてんだ。
「……ッ……ん……はぁ……」
あのいつも澄ました顔をした男が一人で欲を処理しようとしている光景を想像すると、なぜか胸の鼓動が早まり、手の中の肉棒がぐぐ、と硬さを増した。
おい、嘘だろ? 俺に恋人の一人遊び想像して興奮する属性なんかあるって、聞いてねぇぞ、神。
『なぁに興奮してんですか、先輩』
「うっ、別になんでもっ」
『くく、いいですけどね。俺も楽しませてくれれば』
意図せず発覚したツボを秒で汲み取られた上に「喘いであげましょうか?」とからかう察しの良さが憎らしい。
どうして声だけで俺の調子の変化がわかるのか、甚だ謎である。
これじゃあせっかく顔が見えなくても、感じてんのが筒抜けじゃねぇか。
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