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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
14※
「あぁもう、お前、俺の、っ……聞くなよっ、ハンズフリー切れ」
『俺の想像力過信し過ぎでしょ。無音相手にオナニー配信するだけとか、むしろ萎えるわ。なにプレイですか』
「っ俺はこんなことシたことねぇんだよっ」
『先輩って、あちこち調教済みのふしだらなカラダでよく恥ずかしげもなく毎度純情気取れますね』
「ほっとけッ」
ヌルヌルとぬめりを帯び始めた屹立を擦る手を止めずに乱れ始めた呼吸を堪えて反抗するが、三初が俺の提案を聞き入れるわけない。
テレフォンセックスなんて、人生で初めての経験だった。
僅かな笑い声すら聞き取れるのだから、相手も俺の僅かな呼吸すら聞き取っている。そう考えると、恥ずかしくて死にそうだ。
だから仕方ない、と駄々をこねる俺のワガママを、三初は鼻で笑う。
『俺だって初めてですけど? 一応……声でもイイからシたくなるって感覚が、初体験なんで』
「あ? ……?」
なんだか凄いことを言われた気がして、目をぱちくりと瞬かせた。
声でもイイ、って、俺今コイツにとんでもねぇこと言わせたような。
『だからさっさとヤりますよ。声聞こえるとかいつもそうでしょ? 同じことヤってりゃいいんです。余計なこと考えず。わかりましたか、御割変態犬先輩』
「わかり、え? あ、あぁ」
言われたことを紐解こうとしたが、思考回路を断ち切るように急かされてしまい、言葉の意味を理解できずに意識を逸らされてしまう。
本当は俺に着信をかけるかかけないか、コイツが一時間も悩んでいたことなんて、俺は未来永劫知る由もない。
このセリフが甘い言葉をシンプルに言えない三初の『俺だってアンタとシたくなりましたが』だということも、未来永劫、俺が知る機会はないのだろう。
「いやでもお前、こっち見えねぇのに、俺はなにをどう楽しませりゃ……?」
『とりあえず、そのまま手ぇ動かして。ガイドしてあげますが……先輩の言うように俺には見えませんから、ちゃんと聞いたことには答えてください。ね』
皆目見当もつかないので、それらしい理由をつけて導く三初に、ひとまず従うことにした。
確かに、俺が説明しなければ三初にはこっちの状態が把握できないので、指示を出すこともできない。一応理にかなっている。と、思う。たぶん。
「ん……ん、は……」
テレフォンセックスの振る舞い方とやらは有識者に任せて、その気になったまま放置していた肉棒を握り、いつも通りに慰める。
ローションがないと、濡れるまでは滑らかに扱けない。
先端の弱い部分を親指でなでると、ビク、と内腿が震えた。
「……っふ……」
『くく。感度良好な御割先輩。どういうふうに触って感じてるのか、教えて』
「っわかる、だろ……っ」
『あらら、反抗的。ま、いいか。言わないなら勝手に当てるけど……いちいち手ぇ止めないでくださいよ』
わかっていても質問をはぐらかすと、クツクツと喉を鳴らす機嫌のいい猫は、珍しくそれを受け入れる。
言われなくてもわかる。
どうとでもできる。
まるで本当にこの場にいて、俺をいつも通りに躾けているみたいだ。
そんなわけねぇのに、と奥歯を噛む。思わされる自分が悔しい。
クチュ、クチュ、と溢れ始めた先走りを指に絡めて、あまり激しくならないよう、上下しないよう動かす。
『そうだなぁ……先輩は、先っぽが好きなんですよね』
「っぁ……っうる、せ」
『そうそう。そんなふうに粘っこい汁で親指滑らせて、余った指、カリの裏に当てて』
音が漏れるのが嫌で慎重に扱いているのに、枕元のスマホは、クス、と笑って簡単に当ててしまう。
そう言われると、俺の手は悪態を吐く口とは裏腹に言われたとおりの動きで自身を愛撫し、甘い快楽を育ててしまうのだ。
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