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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
19※
「ゔッ……! ぉ、ンッ……はぁ……ぁ、硬ぇ、冷ぇけど、入って……ッ当、たる」
『ん、っあんた、ね……』
見えないくせに無責任にその気にさせた極悪非道な彼氏様にもわかるよう、ちゃんと言葉にすると、通話の向こうで一瞬たじろぐ気配を感じた。
やはり俺が気持ちよくなれば、コイツのペースは崩れるらしい。
どういうわけか知らないが現実そうなのだからやらない手はない。
全部教えてヤれば、全部伝えてイけば、俺の勝ち。そうだろ?
「ぁはっぁ……前触りながら、じ、自分で挿れちまった……ンっ……一人でイクから聞いてろよ…ぉ……っン……ンっ……」
うつ伏せのまま枕に涎を垂らして両手を動かし、あんあんと喘ぎ散らかす。
なるべく体を丸めて腕が届くように調整し、雑な抽挿を繰り返す。クソ、ヤリにくい。
チューブに合わせて腰も振る。
それでも刺激が足りなくて限界まで強く尻の筋肉を締めつけ、異物がもたらす感度を上げる。もちろんシコりながら。
これでやっと、スゲェ気持ちいい。
『もう全然ぶっ飛んでんじゃないですか。なに突っ込んでんのか、な』
「ク、クリームの、チューブっ……」
『ふはっ、俺の代役ってチューブなの? やっすいなぁ。ん、ま、いいですよ。聞いててあげますから、ワンワンって、名前呼んで、イってみな?』
「ぁふ……っわん、ぁ? ァホ、名前」
『そ、名前。だって、そのチューブ俺なんですよね。ならちゃんと俺の名前呼ばなきゃ。先輩の中に入ってんのは俺だって、あんたはちゃんと認識してなきゃ』
「名前、は……っふ、ンっ…ンンっ……ぁあ……っケツやべ、ィク……っ」
ビクビクと痙攣しながら激しく動くものだから、三初の声が聞こえるスマホが枕から滑り落ちる。
俺はそれを追いかけて首を横向きに捻ったが、そのせいで体がドサッと倒れ、膝が胸につくほど身が縮まった。
喉の奥で「ンッゔ」と悲鳴が引きつれる。
(マジで、イク、ィ、クっ……)
下腹部にとごっていた快感の熱が解放にむかって、マグマのように沸き上がる感覚。
チューブを咥え込む内壁がうねり、小刻みな蠕動を繰り返してしゃぶりつく。
手の中で大きく育って濡れている屹立は、真っ赤に腫れあがっていた。
イキたい、イキそう。
犬みたいに鳴け? ふざけんな。
名前を呼べ? 仕方ねぇな。
思いがけずかわいいオネダリをする向こう側の男に抱かれる感触を思い出して、自分でチューブを出入りさせながら、スマホの画面をベロ、チュ、と舐めて通話口に密着するようなキスをする。
「はっ……要、ぇ……っ」
『っ、の、勘違い淫蕩犬が……っ』
「要、要もぅイッちまう、イク……っぃ、ぁあっイク、かなめ、俺ぉ、っん、ぁ、あ、あ、ぁあ……っ」
つもりなのだが、カチ、と歯が画面に当たってキスは失敗。
熱い吐息と共にニチュニチュと激しく茎を擦り上げ、ギュゥ、と収縮する襞にチューブがくい込み、膨れ上がった官能が一線を超えて弾けた。
「ぁあ……っぁ、あ……──っ」
ビュルッ…ビュクッ…ドクッ…、と脈動する性器が手の中に濃い精を吐き出す。
掠れて溶け落ちそうな泣き声混じりの嬌声を、至近距離で通話口に聞かせながら、ちゃっかりイッたのだ。
『クソ、不意打ちとかマジでキモイ……っ普段名前って、そっちじゃねぇでしょ……それやられると、調子狂うわ……その声でそのタイミング、バカ……ん、っ……』
ぐったりと脱力してシーツの海に沈みか細い息を吐いて余韻に浸る俺に、苛立ったような悪態が吐き捨てられ、少しの間を置いて後を追われた気配がした。
全身に染み渡る甘やかな快感。
波打つ筋肉と、気だるく弛緩する火照った肢体。肉棒が脈動するたび、手のひらにベタベタとかかる粘液。
「ん……っ…ふ、……は……、……」
ハァハァと乱れた呼吸を繰り返しながら絶頂の余韻に浸り、靄がかかった視界でボヤボヤと脱力する。
冷静になっていく頭の片隅で、ティッシュ用意しとけばよかった、と思った。気持ちわりィ。賢者タイム。
『あーあ……呼んでんの、想像してとか……有り得ねー……』
怒っているように聞こえるぼやき。
俺でもわかるような単純な感情を混ぜたわかりやすい文句は、聞かせる気のないただの独り言だろう。
とはいえ独り言でもなんでも最後に一矢報いたのは俺なので、この勝負は俺の勝ちだ。認めたも同然だろ?
「ん……おらぁ……俺の勝ち、なぁ……」
達したことで目の奥が一瞬白く染まり、五感が快感専用になり果てていた。
まだ体に力が入らないので声に熱っぽい色が混ざったものの、俺は口角を上げて勝利宣言をする。
本当のことを言うとボロ負けかもしれない。いや、ボロ負けだ。
でもあの無敵メンタルに声でもわかるくらい焦らせたのだから、どうしたって俺の勝ち。異論は認めない。認めたら今の俺の惨事が哀れ過ぎる。
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