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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
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「うし、冒険に行くか。目標、お母さん呼び出しセンターな」
「おうっ」
「おー」
だけど放っておくことはできない。
インフォメーションセンターに届ければ、放送をかけてくれるはず。
その間に歩いていれば、親がショウを見つけるかもしれないだろう。
そうしていざ歩こうとした時のことだ。
「──ショウッ!」
「!」
焦燥に駆られた女性の大声が聞こえて振り向くと、買い物袋を持ってこちらにむかって走ってくる若い女性がいた。
「ッその子私の息子です! か、返してください!」
「うおッ!」
「ふあっ、あっママ、っうわぁあああんっ!」
「えぇ!?」
「ショウ、ごめんねっ!」
「ママぁ~っ!」
かなり混乱している様子の女性は、ショウの母親らしい。
俺の腕の中からショウを懸命に抱き取るものだから、俺は驚いてしまった。
ショウはショウで迷子から解放された安心感で再度泣き出し、母親の腕の中で大号泣。
一度は収めた騒動もまた泣き声で視線を集めてしまい、俺は眉間にシワを寄せ、一見して機嫌の悪そうな顔になってしまう。
となると、もうだめだ。
「っアナタ、ゆ、誘拐犯っ……!?」
「はッ!? いや俺は違ッ」
狼狽していた母親はなぜか自分の息子を抱いていた男の顔を見て、思いっきり青ざめ、思わずといった具合で逃げ出してしまった。
残されて立ち尽くす俺は、通りすがりの客たちや並ぶ客たちの視線を一身に浴びる。
「え、なに? 子ども泣かせてたの?」
「わかんない。すっごい迷惑そうにしてたから、怒ってたのかも」
「えぇー……言い方ってもんがあるじゃん」
通りすがりの客は途中からしか見ていないので、俺を非難した。
確かに最後だけ見れば俺は子どもを餌付けして攫おうとした、不審者である。
母親が危機一髪、駆けつけたようにしか見えない。癖でしかめた表情が余計に拍車をかけたのだ。
だけど空になった手をギュっと握り締めた俺の気分は、ちゃんと理解しているのに、寂しい気分になった。
「……。あー……お騒がせして、申し訳ありませんでした!」
くるりと振り向き、店に並ぶ客たちに頭を下げ、愛想笑いをする。
遅れて店の中に入ると、スタッフたちは俺から距離を取った。
当然のように、雑務は行われていない。ショーケースのストックはギリギリだ。
(バックの冷凍庫にAストックあんの、入れる余裕なかったのか。全然列さばけてねぇけど、いっぱいいっぱいだったんだろうな)
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客前では慌てているように見えないよう気を付けて、俺は仕事に戻る。
頭にモヤをかけることは、全部一時的に追い出した。
やりきると言ったらやりきる。
そうじゃないと、いけない。
だが、背後で鳴った電話を取った時──俺の全ては空回って、終わりを告げた。
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