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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
32(side三初)
(ま。だからバイトも正社員も先輩も後輩も、全部関係ないんだよね)
ピーク時間が過ぎ、行列が粗方片付いた頃。
最後の一人の客を対応する俺の耳には、ヒヨコにも劣るタマゴ共の声が届く。
「新しい担当さん、マジやばみざわやばしじゃね? ガンガン客回してるし、ありがたいわァ。あと二日とか楽しょ~」
「それな。しかも超イケメンだしテンアゲ?前の人はかっこよさげだったけど顔怖いし、絡みにくい感? 的なあったし? ってか焦らず丁寧に! とか、無理だし! いやいや客多すぎなんだからやってられんわって!」
「わかりみ深いわァ~。お客さんには笑顔でねとか言われても、おまいう案件じゃん?」
いけないなぁ。その人を俺の前で引き合いに出しちゃ、ダメだろうに。
ラスト対応を終えた勢いで、そのままゴミ箱に顔面突っ込んでやろうかと思った。
と言うか、プライベートならやってたわ。俺、先輩と違って優しくないんでね。
「あはは、褒めてくださってありがとうございます。まぁ担当と言っても、俺は今日きたばかりの新人と同じですからねぇ」
竹本先輩が荷受した荷物を運び込むまでの間で、俺は客が誰もいないことを確認してから、にこやかに振り返る。
対人用の笑顔で近寄れば、タマゴ二人はテンション高く迎え入れてくれた。
あーらら。この笑顔、先輩なら速攻違和感を察知して、理由はわからない鈍感なりに警戒するのにね。
「ここでは一応、二人のほうが先輩ですよ。ずっとめちゃくちゃ忙しかったんですもんね~。捌くの大変でしょ? それ乗り切ってたんだから、頼もしいです」
「え~? んなこと言われたら俺マジでやっちゃうし! 全然なんでも聞いちゃって!」
「ずるっ! あたしにも聞いてね! プロってるから、なんでも教えるしぃ~」
「へぇ。二人とも若いのになんでもできるんだ、凄いなぁ。俺も見習わないとですね?」
少し困り顔になっていた眉を上げて、今度は快活に笑った。
素笑いに見える、愛想笑いパートツー。それでもタマゴAもタマゴBも、機嫌が良くなる。
「そうだ。じゃあこれから頼っちゃう記念に、一番豪華なフルーツカップ奢ります。竹本先輩いない間に、ナイショで。ね」
「おぉ~!」
「やった!」
唇に指を立てて悪戯っぽく言って、湧き上がるAとBを連れ、カウンター前に戻った。
「よし。んじゃ、二人とも商品を作るように作って下さいな。できたら影に座って食べちゃって。アイスもどれでもいいよ」
「あ、みはさん待って! 俺そのフルカの豪華盛り作ったことねぇから作ってー」
「うわ、そいやあたしも作ったことない~」
知ってるけど?
というのは、心の中でだけ呟く言葉だ。
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