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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
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合金製の普通のディンプルキーだ。
見覚えがあるような、ないような。
俺のではないことは確か。
媚薬と違い一目でこれが鍵という物だとわかるのだが、なんの鍵なのかはわからず、とりあえず手に取ってみる。
近くでじっと見てみるが、やはり見当がつかない。
腕を前に伸ばして見てみても、記憶はおぼろげなままだ。
三初は俺がわかるまでちゃんと付き合う気らしく、悩む様子に口出しはしない。
(どっかで見たような気がすんだけど……俺んちはディンプルキーじゃねぇし……)
しかし再度目を凝らして観察すると、どこでこれを見かけたのか、思い出すことができた。
「あ。お前これ、ここの鍵だろ!」
「そ。あげます」
いつも帰宅時に鍵を開けていた時に見たものと同じだと気付いた途端、俺はスッキリと声を上げた。
やっと合点がいって、万々歳だ。
プレゼントに鍵とかなんだよと思ったが、ここの鍵ならしっくりくる。
俺は恋人だからだ。
(そりゃまあ恋人には渡すか。俺は今住んでるからスペア借りてっけど、そのうち戻るわけだし。それなら俺専用の鍵があったほうがいいか。なるほどなるほ、……。……いやこれ、合か、っ!?)
──と思ったが、思考回路がストップ。
機嫌よくニマニマと笑っていたのが一瞬でドッ! と沸騰し、耳まで赤くなって変な汗までかきながら、唖然と三初を見つめる。
恋人だから納得できるプレゼントを、正しく理解したからだ。
「いやいや、あ、あげたらテメェが家に入れねぇぜ」
「合鍵ですから」
「ンな恋人みてぇなプレゼントほいほいすんなよアホかッ!」
「恋人ですしね」
「あぁぁぁぁぁぁッ!」
俺は素早くプレゼントの箱をテーブルに置いて、鍵を握ったまま頭を抱えた。
なんというかもう、語彙力を喪失するレベルの衝撃だ。
合鍵とは、別名〝恋人のパーソナルスペースフリーパス〟である。
つまりこれを渡した三初は、住まいが別れようが、職場で離れようが、減少した時間はフリーパスで補いましょう、と言っているわけだ。
「うわ、うわぁ、あぁ~っ」
「いて。いてて」
「うわぁ、うぅ~っ」
「ちょっと。言葉っていう人間様の特権を放棄して叩かないでくれませんかね」
「あぁぁ~っ」
「ウザいなぁ……くく」
バシバシと軽く三初の肩を叩き、言葉の代わりに俺のこの感情を理解しろと訴えた。
鬱陶しがる三初だが、口元は笑っている。
楽しんでやがンなコノヤロウ。
──この後も俺はしばらく存分に訴えを起こしたわけだが、三初にヒョイと避けられ、鬼ごっこに発展した。
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