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第十話 誰かこの暴君を殴ってくれ!
08
「うぁ、みあじめ、なんれら……あぁ~……っ」
情けない声を上げて悔しさにくだを巻き、ガクッ、と一瞬意識が落ちる。
すぐに意識が戻ったが、片意地を張っていたはずが、一転。
しがみついていた三初の首をぎゅぅ、と抱きしめ、なんで、どうして、と甘えて頬を擦り寄せるだけの酔っ払いと化してしまったのだ。
くそう、酷ぇ。酷すぎる。
俺が抱き着かせて甘えさせるはずだったのに、俺は三初から離れることはできねぇんだぜ。バカかよ、アホ。
うぅ、うぅ、と唸る俺の背中をほくそ笑みながらなでる三初は「なぁに企んでるのか、吐かせるのにうってつけですからねぇ」と言った。
つまり明確な目的は不明だったとしても、俺がなにかを企んでいるのはバレていたわけだ。
俺にしてはなかなかうまく誘導できたと思っていたのに、エスパーも極まるとホラーである。
「お、おま、俺、俺マジでダメになるってぇ……もう、ばかが……ふ、明日起こして……」
「はいはい。それで? 俺に最後の一杯を飲ませて、どうしたかったんですか?」
「んぅ……俺にデレデレさせてぇ。けど、それは、秘密だろ」
「ほーう? ……っ。……」
秘密の計画は秘密なので三初に言うわけにもいかず、俺は緩く首を横に振った。
三初は含みのありそうな声で相槌を打ったが、一瞬、俺の背をなでる手に力がこもった気がする。気のせいかもしれない。
だって計画は秘密だが、捕まってしまったのでとん挫した。
俺が三初を出し抜くことはできない。
そんなルールがこの世界にはあるように思えて、へちゃむくれた表情で拗ねてしまう。
抱きしめた三初の首筋にチュ、とキスをして、淡いキスマークをいくつもつけた。
「っ、ん」
「だって今日は、楽し、で……嬉しい、から、お前にさぁ……俺、触りてぇって、思ったんだ、ん」
「は……、っ、ぁ……?」
「三初、俺を甘やかしすぎだ。もっと好きになっちまう……俺ばっかいっぱい好きになったら、バランス悪ぃ。だから、俺に、もっと惚れろ……って、内緒の計画、な~……」
「ちょっと待て、なん、く……っ」
すりすりと甘えながら唇を押し付けて、軽く吸う。
珍しく大人しい三初はそのたびに首を逸らせ、逃げようとする。
そして耳まで真っ赤に色づき、ついに俺の首根っこを掴んで引きはがした。
「ぅあ、いやだ、三初、もうちょっと」
「いやなんか今そういうんじゃないんで。今そういうんじゃないから一旦離れてどうぞ。今すぐ」
「いやだ、ずっといっしょだろ……?」
「今そういうこと言うのも禁止で」
引きはがされた俺がめげずにしがみつくと、再度強めに引きはがされて言葉にまでダメ出しを食らう。
あんまりだ。計画が失敗した挙句に触るのも喋るのも禁止されるなんて、へそを曲げるに決まっている。
「いやだ……今日は、俺をぜんぶあげたいくらい、お前が好きだって思ったのに……」
「…………」
「ぅへぇ」
ガタン、と椅子が鳴った。
断固として離れたくないという意思表示にギュッ、と一層抱き着いてやると、三初は突然俺を抱き上げたまま立ち上がり、足早に寝室へと移動する。
バンッ! と寝室のドアを開いた後は、広いベッドへ乱雑に投げ落とされた。
あまりにも突然の行動に、なにがなんだかわからない。
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