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番外編 三初要、タコ焼きを焼く。
01
◆マシュマロにて誰殴のSSが読みたいといってもらい、木樫の気力と時間とネタがあったのでリハビリがてらツイッターに載せたSS。
三初の家に泊まり込んでいたある日の昼。
「お、お、お、お~っ」
「オットセイって呼んでいいですか?」
「いいって返ってくる可能性がなんで一ミリでもあると思ってんだお前」
お昼は手軽なやつで、の一言でキッチン上の収納からおもむろにタコ焼き器を取り出した三初により、俺の皿には出来立てのたこ焼きがしこたま並んでいた。
意味わかんねぇだろ?
一般的なご家庭にタコ焼き機があるってのと、それを当然のようにセットするってのがよ。あと職人並みの手さばきでタコ焼きを量産しまくってるってとこな。
俺は物珍しくてタコ焼き生産を眺めていたのだが、三初は冒頭の通り一蹴した。
真っ黒いもんばっかり吐きやがって、このオクトパス野郎。タコ焼きの具にすんぞオイ。
「ソースとマヨと青のりと鰹節。紅ショウガも。そこにあるんで、好きにかけてどうぞ。そのくらいは犬でもできるでしょ」
「おーおー人間様にはチョロいもんだわお前の顔面に一発入れるのもなッ」
「入ってませーん」
「入れよッ」
「肉球パンチの軌道読むくらい人間様にはチョロいもんなんで。あ、俺は有言実行ね。人間様ですから」
「大魔王の間違いだろうがッ!」
タコ焼きを焼きながらも息をするように俺をバカにする三初に吠え、俺は出来立てのタコ焼きをデコレーションすることにした。
こんなドSに構ってられっか。
際限ねぇんだからよ。
そう思ってソースを手に取ると、いつも見る円柱状のソースじゃなくて、マヨネーズと同じようなプラ容器だと気が付いた。
オレンジ頭の不審なソースだ。
首を傾げつつも俺はキャップをペコ、と外し、ソースをタコ焼きにぶっかけてみる。
「お、おぉ……」
すると数本のソースがビームとなり、見事屋台のタコ焼きがごとく綺麗にタコ焼きを彩った。
おい。なんだよこのタコ焼きにソースをかけるためだけに用意されたみてぇなソース。
思わず三初に視線をやるが、三初はタコ焼きを焼いている。
まるで日常の顔だ。俺のソースビームには興味がないらしい。
仕方なく声をかけるのを諦め、今度はマヨネーズのキャップをペコ、と外し、いつも通りのマヨをかける気分でタコ焼きに絞る。
「おっ……おぉっ……!?」
すると、まさかのビーム。
ソースと同じ美しいビームが数本生成され、俺の手の動きに合わせて踊るビームにより、見事なマヨをかけられた。
おい。おいなんだよこのタコ焼きにマヨをかけるためだけに用意されたみてぇなマヨ。
「三初ェ」
「はい」
わなわなと驚愕に震える俺はもう謎が謎を呼びわけがわからなくなったので、眉間にシワを寄せて三初を呼んだ。
顔を上げた三初に、両手に持ったソースとマヨを突き出す。
「テメェ、このソースはなんだ」
「タコ焼き用ソースですけど」
「じゃあこのマヨは」
「それはお好み焼き用マヨ」
「なんでそんな使用頻度の偏る限定的なシロモンが突然のタコ焼きランチにおあつらえ向きに用意されてんだよおかしいだろまた無駄遣いしやがったなッ!?」
トンッ! とマヨとソースをテーブルに置いて睨みつけると、三初は顔全体に〝なんかめんどくさいこと言い始めたぞオイ〟とでも言いたげな表情を貼り付けた。誰のせいだ誰の!
「やかましいなぁ。なんで怒ってるんですか?」
「当たり前だろこのブルジョア坊ちゃんが! たった一回のタコ焼きの為に専用調味料買うこたねぇってのッ」
「は? 買ってませんよ。俺〝手軽なやつ〟って言いましたよね? コレ、もともとうちにあったやつです」
「あぁ? アホか。普通のご家庭にはタコ焼き専用ソースもお好み焼き専用マヨもねぇんだよ。少なくとも俺と俺のダチの家にはねぇ」
腕を組み、ジロリと視線を向ける。
三初は心底理解できないとばかりにその視線を一瞥し、なにごともなかったかのようにジュゥ~、とタコ焼きを焼き始める。
いや聞けよ。
まだ終わってねぇだろこの話。
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