今日もその手を…

榊󠄀ダダ

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第3章

第31話 無抵抗

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 ビクッ……


「くすぐったい?」

「ちょっと……」

 
 ビクッ。
 三ツ矢先輩は面白がるように悪い顔で耳へのキスを繰り返す。


「……な、なんでまたするんですか!?」 

「ビクッてするところがかわいいから」


 恥ずかしさに顔を背けると、顔を元に戻され、今度は唇にキスをされた。ほんの少しだけ慣れた唇の感触に安心感を抱く中、三ツ矢先輩の左手が腰の辺りからゆっくりと胸に向かって上がってきていることに気づいた。


「どんなことして欲しい?」


 素肌を触られてるだけなのに息が上がってきてしまう……


「どんなって言われても……」

「具体的にあるくせに。いつも一人の部屋の中で、私にされたいこと考えてたんじゃないの?して欲しいこといっぱいあったんでしょ?」

「……そ、そうですけど……」

「何を想像してたの?私に舌入れられてキスされることとか、おっぱいを夢中で舐められることとか?」


 やっぱり三ツ矢先輩は、仕事とこうゆう場面とでは人が変わったようになる。仕事中はその真面目ゆえに厳しくもあるけど、常にこちらの様子を気遣ってくれて、いっぱいいっぱいになってないか見定めながら役割を振ってくれる。


 それがエッチとなるとまるで真逆だ。思いつく欲を好き勝手に上から浴びせ、相手が追い詰められていくことを心から楽しみ、あえて苦しみそうなものを与えてくる……


「誰にも触られたことないところをいじられたり、舐められたり……ベッドの中で、一人で、そうゆう想像してたんでしょ……?」

「……してない……です……」

「本当?本当のこと言わないと、今言ったこと何もしてあげないよ?」


 脅しのように私を睨みつけてそう言うと、三ツ矢先輩は私の肩を噛んだ。甘噛みなんかじゃなく、身をよじるほどのその強さに歯を食いしばって耐えながら、私は『これは確実に歯型が残るだろうな……』と考えていた。
 なんとか必死に耐えきると、痛みを与えた箇所へ哀れむような柔らかいキスをしてきて、体をピンと張り巡らせていた私の中の糸をぷつりと切った。その瞬間、ふにゃりと全身が緩む。その隙に唇はそこから首筋へ移り、もう一度耳まで上がっていった。


『ほら、素直にならないからまた上に来ちゃったじゃん……』


 耳元でそう囁き、いやらしい音を聞かせるようにして、左耳を舌で弄ぶ……。私が耳に弱いからか、先輩が耳が好きだからなのか、耳を攻められ続けているうちに、私はもう何も考えられなくなり始めていた。ただ一つ頭にはっきりと浮かぶのは、


 もっと……もっと三ツ矢先輩に触れられたい……


 そんな想いだった。


 もう我慢なんて馬鹿らしくなった私は素直に告白した。


「……本当は……想像……してました……」


 私が告白を始めると三ツ矢先輩は舌を止めずに聞き返した。


「何を?」

「三ツ矢先輩に……おっぱいを舐められるところ……」

「後は?」

「指……入れられたり……とか……舐められたりするところ……」

「どこを?」


 それだけは口に出来なくて黙る。


 すると、お仕置きのように耳を舐める舌が激しく動き出した。


「あぁッ!!」

「どこを?」


 三ツ矢先輩は私のズボンのベルトを外しながら、意地悪くさっきと全く同じ質問を同じようにした。


 それでも言えない……


「……しょうがないなぁ。ここ?ここなの?」


 すんなりと左手を私のズボンの中へ侵入させ、私が昨日の夜一人でいじっていた場所をパンツの上から中指でこすり始めた。


「ぁあっ……!」


 初めて知る快感だった……。一人でしててもすごく気持ちいいのに、人にされると、好きな人にしてもらうと、こんなにも……もっともっと気持ちいいんだ……


 気が遠く成りそうに気持ちよくなっていく中、それでも恥ずかしくて声を出せない……。


「あれ?違うの?ここを舐められたかったんじゃないの?ここじゃないの?」


 三ツ矢先輩は白々しくそう言いながら、同じ場所に同じ強さの圧をかけて中指を小刻みに動かし続ける。


「何も言わないなら違うんだ……じゃあもうやめようかな」


 こんなところでやめられたら体が逆に壊れそうだった。もう私の体は先輩が欲しくて欲しくてこんなにも呻いている……


「やだ……やめないで下さい……」

「やめないで欲しかったらどうするんだっけ?」

「うっ……うっ……そこ……先輩が今触ってるところ……もっともっとして欲しい……直接触って……舐め……てほしい……です……」


 もう羞恥心なんてわずかしか残っていなかった。このままやめられてしまう恐怖が、何よりも勝った。きっとだらしない顔をしている私を見下ろしながら、三ツ矢先輩はゆっくりと目を細めた。

 
「やっと言えたね。ご褒美に、今言えたこと全部してあげるから」


 三ツ矢先輩の息も一気に荒くなり始める。先輩も我慢出来ずにいたんだ……と、嬉しさと愛しさが快感の中に流れ込んでくる。

 私に無断でブラジャーのホックを外し、宝物箱の蓋を開けるように息を飲んでそれをめくる先輩を見つめいた。


「あぁ……」


 三ツ矢先輩は嬉しそうな声を洩らしながら、私の左のおっぱいを壊れ物でも扱うようにもみ始めた。


「茅野さん、すごく美味しそうなおっぱいしてるね」


 そうこぼした三ツ矢先輩の舌は、もう私の乳首へと伸びていた。


 体に力が入る……


 見ていられずに目をつぶってしまった。


「んっ……」


 すぐに濡れた舌の感触を感じた。くすぐったさは一瞬で気持ちよさに変わった。目をつぶってしまったことで、全ての神経が舐められている一箇所に集中する……


 その感覚に身悶える私の体を、先輩は力強く床に押さえつけた。


「邪魔しないで、いい子にしててね」


 目を開けた私に優しくキスをして、目をそらさないまま、じっと見つめてくる。その視線に釘付けになっていると


「あぁッ!」


また中指で下をいじられ始めた。そして次の瞬間には、同時に右の乳首を親指と中指を使ってダイヤルを回すようにコリコリと弄ぶ。さらに耳を舐められながら、耳の中へ


「声かわいい……もっと聞かせて……」


 という大好きな先輩の声が入ってくる。頭の先からつま先まで、全部が狂わされていた。


「っ……三ツ矢先輩……す、好きです……」
 

 思わずその華奢な体に力強くしがみつき、心からの言葉を口に出してしまった。


 先輩は微笑んでくれたけど、何も返してはくれなかった。


 愛し合っているという錯覚の中で溺れる喜びに浸っていればよかったのに、唐突に真実を欲し、現実を突きつけられて虚しさに涙が出そうになってしまった。


 でも皮肉なことに、瞳よりも先輩に触られてる場所の方がもっと水で溢れていた。


 悲しいのに止めないで欲しいと願ってしまう。悲しみの分だけ、それを忘れさせるくらいの快感をもっと与えて欲しいと望んでしまう。


 その時、小さな痛みと共に、感じたことのない違和感を感じた。


「分かった?指入れたの」


 そう言われて、妙に納得した。


「……なんか変な感覚です……」

「まだ狭いから一本にしとこうね。今はまだ気持ちいいとか分からないと思うけど、だんだん気持ちいいって思えるようになるよ。私がそうゆう体にしてあげる」


 私は三ツ矢先輩の体が折れるほどにきつく抱きついた。


「して下さい!!……全部、全部……私の全部を三ツ矢先輩のものにして欲しい!!」

「いいよ、してあげる」


 簡単に了承する。それだって戯言だって分かってる。なのになぜか今の私は幸せと満足感を得ていた。私はもう何がなんだか分からなくなっていた。


 三ツ矢先輩は延々と優しさを保ったまま、私の中へ一本の指の侵入を繰り返した。初めは変な感覚でしかなかったのに、ずっと見つめられながら先輩の指の実体に集中していると、少なからず今先輩と自分が一つに繋がってる事実に重ねて、順応性の高い体は快感の端を捕まえ始めていた。


「気持ちいぃ……」


 すごく自然に声に出てしまった。


「うそ、もう気持ちよくなったの?」

「はい……」

「すごい優秀……」


 ふざけたようにそう言いながら笑われていても、体の隅々まで感じさせられた私はもうなんの不満も感じなかった。むしろ褒められて嬉しいとさえ思っていた。

 朦朧とした中でも理解をしていた。先輩は受け入れる喜びを見せると、与える喜びを感じる性質らしい。意識しなくても三ツ矢先輩を好きな私はそうしてしまうから、別に見出だせなくても変わらなかったかもしれない。だけど、それに気づいていればもっと大げさにアピールが出来た。


 もっと欲しい、もっと与えて……分かりやすく言葉で体で反応で示すと、先輩は自分の全てを出し切るくらい私を悦ばせようと必死になってくれた。


 その結果、体の力が抜けすぎて、もはや腕すら持ち上がらないほど自分の体が制御出来なくなった。もう終わりが近いと予期していると、霞みがかる視界の中に、三ツ矢先輩が私のズボンを下ろす姿が入ってきた。


 咄嗟に抵抗しようとするけど、成す術のないまま、私はズボンどころかパンツも一緒に膝の辺りまで下ろされてしまった。


 他人にさらけ出したことなどない場所を蛍光灯の下で露わにされて、私は力いっぱい足を閉じ、両手でその場所を覆って隠した。


 三ツ矢先輩は障害物を簡単に奪い取って、一瞬の隙に顔を埋めた。


「やっ!やだっ!!ダメです!!ダメです!!
    それは……やめてください!!」



 力では敵わず、必死に言葉で懇願する。



 ピチャピチャピチャピチャッ……



 その音で、一日で二度目の初めて感じる快感で、頼みなんて聞き入れるつもりはないという三ツ矢先輩の意思を思い知った。


 先輩はわざと大きな音を立てて羞恥心で私を内側から壊そうとしていた。


「うぅ……うぅ………ダメですって言ってるのに……」


 恥ずかしさと裏腹に、私なんかのあんな場所を躊躇いを見せずこんなにも優しく、まるでデザートでも味わうように先輩が頬張っている姿に、私は性懲りもなく愛に似た何かを錯覚してしまった。


 三ツ矢先輩の舌の感覚が体の中にまで響くように届く。歯を食いしばって、大声をあげてしまいそうになるのを堪える。


 下を見ると、三ツ矢先輩はそんな私を観察するように瞬きせずに見ていた。そして、私と目が合うと舐めるのをいったんやめ、いやらしい顔をしてわざと離れ、細かく波打つ舌先の動きだけを私に見せつけた。


 その間にもどんどん中からは水が溢れてきてしまう……


 先輩の舌の動きから目が離せない。 


 私で口をいっぱいにする先輩が見たい……


 早く……早く見せて欲しい……



 でも先輩はそんな私を分かっていて、焦らすようにいつまでもくれない……



「……せんぱい……うぅ……」

「どうしたの?」


 分かってるくせにまた言葉で言わせようとする。


「……もう、私……我慢出来ません……さっきの……」

「欲しいものは言わないとだめって何度も教えてるのに……。しょうがないからもっと言いやすくしてあげるよ」


 仕方なさそうにそう言った三ツ矢先輩は、両手を伸ばして私の両方の乳首を同時にいじり始めた。


「あぁッ!!」

「これで素直になれるでしょ?ほら、言ってごらん?」

「……下さい……先輩の舌……もう一度……もう一度」

「……いいよ」



 先輩の舌が再び私を狂わせ始める瞬間を、私はうっとりとしながら見ていた……。





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