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37.合コンでお持ち帰り?3
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「何なんだ、あのチャラ男は。あの目も絶対にわざとだろっ。それに女の子を独り占めしやがってっ!」
「ごめんな、一之瀬。中学の頃もあいつはああなんだ。気分悪くしたなら謝る」
「山下が謝る必要はねぇよ。俺があいつの態度にムカつくだけだ。お前は気にすんな」
「悪い……」
店の男子トイレの洗面台の前で山下と会話する。一之瀬の言葉に山下は表情にはあまり出していないが、申し訳なさそうに軽く微笑む。
さっきの流れで別に俺らいらなくないかと考える。山下の話だと、久保田から合コンに誘われたはずだ。
まるで一之瀬たちが引き立て役みたいじゃないか。久保田のようなモテる奴には似たようなリア充な男友達が一杯いるはずだ。何故、わざわざ派手さがない交友関係が控えめな山下を誘うんだ。
ふと脳内でさっきの出来事と経緯を整理した。
──これは読めたぞ……。俺達はあいつを引き立てるためだけに呼ばれたんだ。くそっ、浮かれ過ぎて見えてなかったぜ……。
悔しがっている一之瀬に顔に出ていたのか山下は疑問符を浮かべる。
そして山下が憂いを帯びた顔付きで話し出した。
「当時付き合ってた彼女も仲良かった幼馴染もあいつに取られてしまって。俺って情けないよな」
「え? お前彼女いた事あんのか!?」
「そこ驚く所か?」
一之瀬の疑問に山下は少し困った顔で苦笑いする。同じ非モテ仲間だと思っていたら、一之瀬の勝手な思い込みでそうではなかったらしい。
「山下、お前は悔しくないのか? あいつに何もかも横取りされて怒ってもいいんだぞ!?」
「俺が魅力的な人間なら取られる事なかったんだ。これは仕方ない事だ」
「男の俺から見ても山下は魅力的だと思うぞ? 落ち着いてて安心出来るっつーか、信用できるっていうか……」
「そ……うか?」
「兎に角、きっと女から見てもお前は誠実そうだし、そうネガティブになるな」
自虐気味に話す山下を精一杯に励ます。落ち込んでいるか表情ではわかりにくいが、まだいつもより自信なさげな様子だ。
心配そうに山下を見つめてどうしようか考えてると、ピンと閃き「わかった……こうしよう」とこれからの事を提案する。
「今回の合コンは練習だと思えばいい。俺らが頑張って女の子達を楽しませて盛り上げるぞ!」
片腕でガッツポーズを決めて気合いを入れる。やる気満々の一之瀬に山下は呆気にとられる。
「お……おう? いきなりやる気になってどうしたんだ?」
「俺も必死なんだよ。ただ黙ってあいつにいい所を持ってかれんのは悔しいじゃねーかっ」
「そうか。そこまで悔しくはないが、何も行動しないのは男の恥だよな」
「……少しは悔しがれよ」
そういう所が無頓着な山下に軽く突っ込む。山下はさっきよりは自信なさげな顔付きが幾分マシなように感じた。
「それとな、自分自身もこの合コンを楽しめ。失敗しても次に活かせばいいだろ?」
「次か……。そう何度も機会はあるんだろうか」
「……あるはずだ。この先に待ち受けるだろう大学のサークル、会社の飲み会、キャバクラでの接待、同窓会……それに存分に活かすんだ!」
「やけに現実的な話だな。まだまだ先の話じゃないのか?」
「親父が勝手にくどくど話しててな。話が面白い奴は間違いなくモテると。だが、やっぱり最後は顔か……」
一之瀬は一旦考えるも「まぁ、それは置いといて……」と続けて話した。
「いきなりなぁ、場慣れしたモテ野郎と争うのはあまりにも無謀だ。今日は女の子に連絡先聞くまでにいかなくてもみんなが楽しんでくれればいいんじゃねぇの?」
「……一之瀬の言う通りだな。異性と話すのはあまり得意ではないが、俺なりに頑張ってみるよ」
「山下、その調子だ。俺らで盛り上げて行こうぜ!」
「あぁ」
一言返した山下は一之瀬の言葉に綻ぶように笑う。山下の顔付きを見て一之瀬もほっと安心して口元が緩んだ。
そう俺達はこれからが本番なのだ。そう意気込み、合コンと言う名の戦場地へと再び足を踏み入れる。
「ごめんな、一之瀬。中学の頃もあいつはああなんだ。気分悪くしたなら謝る」
「山下が謝る必要はねぇよ。俺があいつの態度にムカつくだけだ。お前は気にすんな」
「悪い……」
店の男子トイレの洗面台の前で山下と会話する。一之瀬の言葉に山下は表情にはあまり出していないが、申し訳なさそうに軽く微笑む。
さっきの流れで別に俺らいらなくないかと考える。山下の話だと、久保田から合コンに誘われたはずだ。
まるで一之瀬たちが引き立て役みたいじゃないか。久保田のようなモテる奴には似たようなリア充な男友達が一杯いるはずだ。何故、わざわざ派手さがない交友関係が控えめな山下を誘うんだ。
ふと脳内でさっきの出来事と経緯を整理した。
──これは読めたぞ……。俺達はあいつを引き立てるためだけに呼ばれたんだ。くそっ、浮かれ過ぎて見えてなかったぜ……。
悔しがっている一之瀬に顔に出ていたのか山下は疑問符を浮かべる。
そして山下が憂いを帯びた顔付きで話し出した。
「当時付き合ってた彼女も仲良かった幼馴染もあいつに取られてしまって。俺って情けないよな」
「え? お前彼女いた事あんのか!?」
「そこ驚く所か?」
一之瀬の疑問に山下は少し困った顔で苦笑いする。同じ非モテ仲間だと思っていたら、一之瀬の勝手な思い込みでそうではなかったらしい。
「山下、お前は悔しくないのか? あいつに何もかも横取りされて怒ってもいいんだぞ!?」
「俺が魅力的な人間なら取られる事なかったんだ。これは仕方ない事だ」
「男の俺から見ても山下は魅力的だと思うぞ? 落ち着いてて安心出来るっつーか、信用できるっていうか……」
「そ……うか?」
「兎に角、きっと女から見てもお前は誠実そうだし、そうネガティブになるな」
自虐気味に話す山下を精一杯に励ます。落ち込んでいるか表情ではわかりにくいが、まだいつもより自信なさげな様子だ。
心配そうに山下を見つめてどうしようか考えてると、ピンと閃き「わかった……こうしよう」とこれからの事を提案する。
「今回の合コンは練習だと思えばいい。俺らが頑張って女の子達を楽しませて盛り上げるぞ!」
片腕でガッツポーズを決めて気合いを入れる。やる気満々の一之瀬に山下は呆気にとられる。
「お……おう? いきなりやる気になってどうしたんだ?」
「俺も必死なんだよ。ただ黙ってあいつにいい所を持ってかれんのは悔しいじゃねーかっ」
「そうか。そこまで悔しくはないが、何も行動しないのは男の恥だよな」
「……少しは悔しがれよ」
そういう所が無頓着な山下に軽く突っ込む。山下はさっきよりは自信なさげな顔付きが幾分マシなように感じた。
「それとな、自分自身もこの合コンを楽しめ。失敗しても次に活かせばいいだろ?」
「次か……。そう何度も機会はあるんだろうか」
「……あるはずだ。この先に待ち受けるだろう大学のサークル、会社の飲み会、キャバクラでの接待、同窓会……それに存分に活かすんだ!」
「やけに現実的な話だな。まだまだ先の話じゃないのか?」
「親父が勝手にくどくど話しててな。話が面白い奴は間違いなくモテると。だが、やっぱり最後は顔か……」
一之瀬は一旦考えるも「まぁ、それは置いといて……」と続けて話した。
「いきなりなぁ、場慣れしたモテ野郎と争うのはあまりにも無謀だ。今日は女の子に連絡先聞くまでにいかなくてもみんなが楽しんでくれればいいんじゃねぇの?」
「……一之瀬の言う通りだな。異性と話すのはあまり得意ではないが、俺なりに頑張ってみるよ」
「山下、その調子だ。俺らで盛り上げて行こうぜ!」
「あぁ」
一言返した山下は一之瀬の言葉に綻ぶように笑う。山下の顔付きを見て一之瀬もほっと安心して口元が緩んだ。
そう俺達はこれからが本番なのだ。そう意気込み、合コンと言う名の戦場地へと再び足を踏み入れる。
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