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第15章 まずは小姑を片付けないと………
316★皇帝と弟の腹黒会談5
しおりを挟むアルフレッドが皇帝としての責任と義務を果たす為に、いかに苦労しているか知っているだけに、アスランの言葉は単なる条件反射に近いものだったりする。
「兄上は、皇子に冷たいし
厳しいんですね」
その批判じみた言葉に、アルフレッドはむっとした顔で言い返す。
「何を当たり前のコトを
言っている
私の子供達は
キャロラインの子供以外は
義務と責任と根性で
作った者達だ
他国者の皇妃に至っては
ろくな魔力を持っていないから
魔力降下剤を飲んで
必死に作ったんだ
アンジェロには
役に立ってもらいたい
これは当然の思いだろう
苦労したのだから………」
飼殺す予定のアンジェロを、魔物討伐専門の騎士達を率いる隊長にする予定だと言う兄に、アスランは嗤って言う。
アスランにとっても、皇妃とその子供達は嫌悪の対象だった。
銀髪または、紫紺の瞳のどちらも持たないアンジェロを、皇妃が産んだからと皇太子として扱うしか無い状況に、心底怒りを感じていたから………。
アスランは、銀髪に紺瞳というかなり皇帝の色彩に近いモノを持っていた為に………アンジェロを、皇太子として扱い頭を下げるコトにかなりムカついていたのだった。
皇太子の地位を剥奪して、単なる皇子と………それも後ろ盾のない皇子となるなら、ルーセア大公で神聖魔法師団団長であるアスランの方が、地位が上になる。
何度も、イラッとさせられた皇子なので、色々と楽しめると思っているアスランだったりする。
「まぁそうですね
皇妃に掛かった経費ぐらいは
回収したいですよね」
「ああ、勿論だ」
アルフレッドもアスランも、アンジェロの人権を認めていなかったりする。
もともと、そんな考えなど無い世界なので、権力者に嫌われたら終わりを体現するコトになるアンジェロの未来は暗かった。
後で、宰相や大臣達に、今回の会談の内容を説明する予定のアスランは、皇女達の未来について、最後の確認をする。
「ところで、何時頃
リリアナとエメローズの
婚約をさせるんですか?」
それに対して、アルフレッドは、外務担当大臣と皇帝のみが、知っている事実を淡々と口にする。
「もう既に、サラディールも
ロマーナも、2人を嫁がせる
約定は、秘密裏に交わしている
後は、それぞれの国で
正式発表するだけだ」
アルフレッドの説明に、アスランは胡散臭いと思い、ついという表情で言う。
「随分と手際の良い話しですね」
その問い掛けに、アルフレッドはあっさりと言い返す。
「ロマーナの方から
話しがあった
それに
サラディールからもな」
「そうなんですか…随分と良い
タイミングでしたね」
弟の恨みがましい視線と言葉に、アルフレッドは種明かしをする。
そう皇帝のみが握っていた情報を、アスランに与えたのだった。
この点で考えるなら、アルフレッドは、身内にかなり甘い男だと言える。
「ロマーナの方は
母上が嫁ぐ時にな
孫である皇女を必ず
ロマーナの王太子に嫁がせる
と約定していた
サラディールの方は
自国の軍に自信が無いから
同盟の証しとして
皇女を嫁がせて欲しいとの
申し出だったなぁ~………
ふざけるな
寝言は起きてから言え
と言いそうになって困ったわ」
「そうだったんですか………」
兄の説明に、アスランは納得したが………サラディールの思惑にかなりむっとしていた。
怒りの感情を隠すコトを止めた弟に、アルフレッドは言う。
「そんな顔をするな
リリアナもブランジェも
婚約の手続きがすんだら
さっさと嫁がせる
我が国の皇女に相応しいものを
持たせて………」
「そうですか………」
アルフレッドとアスランにとって、皇女の嫁入り道具や持参金などの詰めは家臣達にさせて、最終チェックをすれば良い段階になっているので………。
そして、残りの皇女達の今後の予定についても、あっさりとした言い方で終わりにするアルフレッドだったりする。
彼にとって、娘の存在はその程度でしか無かったのだから………。
「聖女候補の
お披露目パーティーまでには
2人とも送りだす予定だ
また、カンパネラ伯爵の嫡子と
キャサリンの婚約誓約式も
サンディーヌとワルター公爵の
婚約誓約式も
セルデア伯爵の嫡子と
ブランジェの婚約婚約式も
終わらせる予定だ
皇女としての義務と
責任を果たしてもらう」
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