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第16章 そして、パーティーが始まる
319★帰還直後から、てんやわんや……隠された皇帝のザマァ
しおりを挟むエリカ達が、グリフォンの飛行訓練を兼ねてザルツェ湖に行って帰って来てから、怒涛のような毎日を過ごしていた。
シードラゴンのジュリアスは、その存在が異世界でファンタジーだぁ~と、聖女候補の少女達から、さんざん言われて戸惑っていた。
ちなみに大量の塩と大量の魚介類は、お土産としてとても好評だった。
勿論、魔法騎士団で、バーベキューをしたのは言うまでもない。
お土産は、アルファードの父である皇帝もその母である皇太后もかなり喜んで食べていた。
キャロライン達側室やその子供達もお土産を貰っていた。
各騎士団に1年間使用出来る量の塩と一緒に届けられた魚介類は、足りないという嘆きでいっぱいになり、エリカがお願いしてジュリアスが、ザルツェ湖と帝都を何度も往復する羽目になったりした。
また、大量の塩は、秘密裏に各領主にも届けられた。
領民に、こっそりと配布する為に………。
この塩を配給する理由は、聖女様を召喚して成功したから、聖女様が守護獣を手に入れたから………。
他に皇女様の婚姻が決まったから、2人の皇女様が、他国の王太子妃になったから………。
などと、実に真しやかに理由を付けて配給する予定になっていたりする。
勿論、法衣貴族達の元にも、1年間に使用する分の塩が届けられていた。
ただし、皇妃の側近達には、魚介類のおみやげが届けられただけだった。
それは、皇妃に塩が帝国で作られるようになったコトを秘密にするためだった。
が、自分の娘リリアナが、祖国の王太子妃になるというコトに舞いあがってしまい、皇妃リリアーナは周りに意識を向けるコトは無かった。
また、皇帝アルフレッドに、たまには里帰りしてはどうか?と言われ、
さらに舞いあがってしまう。
そして、皇妃リリアーナは、祖国サラディール王国に里帰りするコトになった。
この時が、皇妃リリアーナのしあわせの絶頂だっただろう。
その優しい笑顔の裏で、リリアーナを廃皇妃にする準備を着々と進めている、アルフレッドの冷酷さに気が付くコトは無かった。
また、娘のリリアナは、自分の嫁入り道具として用意された豪華な宝石と布と毛皮など、質と量に感動していた。
皇太子のアンジェロは、大量の魔物の肉に魚介類と酒をもたされていた。
名目は、リリアナがサラディール王国の王太子妃となった日に、国民すべてにお祝いとして配るためだと言われていた。
それらの贈り物は、2度とドラゴニア帝国の皇女として扱わない、サラディール王国で殺されようが、平民に落とされようが、奴隷にされようが、一切関知しないというアルフレッド達からの手切れ金の意味もあったのだ。
また東の側妃エスメラルダば、長女がロマーナ王国の王太子妃になり、次女が皇弟ルーセア大公の嫡男と婚約しているコトで、わが世の春を感じていた。
他の側室の皇女は、国内の貴族、それも自分の娘の婚約したルーセア大公よりも格下の伯爵と婚約したので、毎日高笑いをしていた。
自分と皇妃の皇女が他国の王太子妃になったので、私は、皇帝アルフレッドに愛されているし、実質は皇妃なのだと………。
皇帝アルフレッドが、東の側室エスメラルダを厭い、臣下に下賜する予定で、その相手を策定している最中だとは気が付かなかった………。
アルフレッドが、番であり最愛の妃のキャロライン以外の妃は、全て下賜する予定であるコトを妃達は知らずに、娘の皇女達の婚姻の準備に追われていた。
ギデオンとレギオンの母達は、その騒ぎを黙って見ているだけだった。
娘を産んでおけば良かったとちょっと後悔しながら、見詰めているだけだっりする。
自分達が愛している、皇帝アルフレッドから捨てられる……というか、下賜されるとは知らないでのほほんとしていた。
勿論、キャロラインも自分が皇帝アルフレッドの番で、唯一の妃になるとは全然思っていなかった。
それも、皇妃リリアーナを廃して、自分が皇妃に据えられなどとはまったく知らずに、キャサリンに持たせるものを、何度も確認していたのだった。
もちろん、アルファードが皇太子、エリカが皇太子妃として立つ時の為の準備も密かにしていたのは言うまでも無い。
そして、アンジェロとアルスレイドとアルスフィア兄弟は、皇妃と皇女を抱えて、グリフォンに乗る為の訓練を楽しんでしていたのは、確かなコトだった。
ロマーナ王国に嫁ぐエメローズを抱えて飛ぶ為の訓練をしているのは弟のアーカンディルだった。
それに付きあっていたのは、アーダベルトとアルフォンスの兄弟だった。
傍目から見れば、グリフォンを使って嫁ぐ姉妹と母を抱えて飛ぶ為に、騎士では無く、兄弟の皇子に訓練しているようにみえた。
そして、どちらにも、兄弟の皇子が選ばれていた。
だれが見てもそこに、皇帝アルフレッドの暗い意思が入っているとは気が付かなかった。
そして、サラディール王国に皇妃リリアーナ、王太子妃として嫁ぐ皇女リリアナ、それに付きそう皇太子アンジェロ、そして、それを補佐する2人の皇子という一行で旅立った。
勿論、侍女、侍従、騎士達も付いて行ったのは確かなコトだった。
その為に、エリカとアルファード達が、サラディール王国とドラゴニア帝国の間を2往復したのだった。
1度目は、嫁入り道具と侍女、侍従、騎士達を連れて………。
2度目は、皇妃達を連れて………。
楽に帰還する為に、ジュリアスが一緒に行くことにしていた。
彼は、その気になれば、猫ぐらいの大きさまで変化出来るので、グリフォンに乗るエリカの膝にのっていたのだ。
そう帰りは、ジュリアスの転移で帰還していたのだった。
その荒技を使ったお陰で、1日でサラディール王国に嫁ぐリリアナに付き合う者達の移動は終了した。
次の日は、ロマーナ王国に嫁ぐエメローズ達一行を、2回に分けてグリフォンで連れて行ったエリカ達だった。
帰還の方法は、やっぱりジュリアスだったりする。
幻獣グリフォンに乗って嫁ぐ為に、兄弟の皇子達が付きそうのだと誰もが勘違いしていたのは、アルフレッドの嬉しい誤算だったりする。
また、付きそうコトになった皇子達も、ひとりで我儘な皇女の相手をしたくないという思いがあったので、義兄弟の皇子達が2人付きあってくれるコトを歓迎していた。
そして、付き合うコトになった皇子達は、兄弟だったので、片方だけが付き合うと後々の禍根になるという理由で、2人なのだと母親ですら勘違いしていた。
嫁ぐ皇女には、アルファードとエリカ達が付き合うのは、グリフォン達の主たからと………。
実際はというと、アルファードもエリカもサラディール王国の実態を見る………要するに、偵察を兼ねて一緒に飛んでいたのだった。
勿論、ロマーナ王国も偵察を兼ねて、グリフォンを出したのだった。
ついでに言うと、どちらの王国に対しても、グリフォン騎士団のお披露目と示威行為を目論んでいたアルフレッドとアルファードだった。
その辺りのコトに、実はエリカはまったく気がついていなかった。
エリカの感想のひとつは、どちらの王国も、ただただ、臭《くさ》いだった。
何度も聖女召喚をした為に、先進技術が導入されたドラゴニア帝国と比べれば、サラディール王国もロマーナ王国も、やっと中世ヨーロッパレベルの国でしかなかったのだ。
そんな怒涛のような日々に、聖女候補の守護騎士選びの大会の下準備も始まっていた。
その合間にダンスの練習とマナーの確認、ドレスの準備とエリカも聖女候補達も忙しくしていた。
そうして、内緒のぷちザマァを敢行した皇帝アルフレッドは、弟のアスランとこっそりと悪い嗤いを浮かべていたコトは言うまでも無い。
そう、パーティーに参加出来ないように仕組んで置いて………。
パーティーに参加していない者達=聖女候補に近寄る資格が無いという構図を無理やり形成したのだった。
そして、今、皇帝主催の聖女候補のお披露目パーティーが始まる。
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