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第17章 パーティーは終焉に向かう
360★婚約者は大事だが、所詮は皇族の血統の男・ワルター
しおりを挟む茫然自失となったサンディーヌの肩を抱き込んだのは、ルーセア大公の嫡男ワルターだった。
そして、ワルターは、愛しい婚約者に優しく話しかける。
「サンディーヌ、私と共にルーセア大公の館に帰ろう
もう既に、君の花嫁道具や衣装は運び込まれている
勿論、婚礼の衣装も用意してある
侍女、侍従、守護騎士達よ、我が家に輿入れする
サンディーヌと共にある予定の者達は
私達と一緒に来れば良い」
ワルターの言葉に、皇女サンディーヌの守護騎士長ヨハネが応える。
「私達、守護騎士は、皇女サンディーヌ様に御仕えする者でした
ルーセア大公家に降嫁なさるまでが
その任務の時で御座いました
我等は、近衛騎士に戻ります
サンディーヌ様、お幸せに………」
守護騎士長ヨハネの答えに、にっこり笑ったワルターが言う。
「今まで、サンディーヌの守護騎士としての勤務に感謝する」
守護騎士長ヨハネと守護騎士達は、サンディーヌとワルターに騎士の礼をとると、元もとの所属先の近衛騎士団に、任務終了を報告する為に歩み去るのだった。
そして、侍従達がワルターとサンディーヌに一礼する。
サンディーヌの侍従長のリストが、一歩前に出て、ワルターに話し掛ける。
「私達、侍従は、守護騎士達と同じように
皇女サンディーヌ様が降嫁なさるまでが、
我等の御仕えする期間で御座いました
今日、この時より後宮に使える侍従に戻ります
サンディーヌ様、ワルター様とお幸せに………」
侍従長リストと侍従達は、サンディーヌとワルターに騎士の礼をとると、元もとの所属先の後宮内の侍従詰め所に、任務終了を報告する為に歩み去るのだった。
次に、侍女であり乳母だったメアリが、ワルターとサンディーヌの前に出て、一礼してから言う。
「ワルター様、私とこの者達が、姫様に付いて参ります
残りの者達は、後宮の侍女に戻ります」
メアリと侍女達に、ワルターは頷き言う。
「そうか、メアリこれからもサンディーヌを頼むぞ
セレナ、お前達の今までの勤務に感謝する」
メアリ達は、サンディーヌの周りに侍り、侍女達の一部は騎士達の去った方向へ歩み去って行った。
これによりサンディーヌは、皇女として地位を失い後宮に戻るコトは出来なくなった。
呆然としているサンディーヌに、ワルターが話しかける。
「サンディーヌ、君は、今日から私の住む
ルーセア大公家の館に住むんだよ
君のドレスとかも用意してあるよ
後宮に残してある荷物は順次、館に運び込まれる
それと、君の守護騎士は
我が家に使える騎士達から選んでいる………ラシード」
ワルターに、呼ばれた青い騎士服を着た赤毛の大柄な騎士が、サンデーヌの前に出る。
その後ろには、揃いの青い騎士服に身を包んだ騎士達が、綺麗な列を作って並んでいた。
「ラシードとその部下達だ
パーティーから帰ったら改めて紹介するよ
ざっと見て覚えておいてね
それと、君専用の侍女や侍従達
我がルーセア大公家に仕える者達から選んでおいたよ
帰ったら紹介するからね」
「………」
サンディーヌは黙ったままだったが、ワルターは気にも留めなかったりする。
そして、再度、ワルターはラシードに声を掛ける。
「サンディーヌは、ちょっとショックを受けているみたいだから
特に気をつけて欲しい
でも、歩かないようなら
部下達の誰かに抱き上げて運ばせても構わない………頼んだよ」
「はっ」
ワルターの命令に、ラシードは騎士の礼をとるのだった。
その背後にいた騎士達も同時に騎士の礼をとっていた。
皇女サンディーヌは皇女の身分を剥奪され、ルーセア公爵ワルターの妻としての地位を与えられたのだった。
その身を守る守護騎士達は、ルーセア大公家に仕える騎士達。
その身の回りを世話するのは、元から仕えていた乳母のメアリとその娘や従姉妹に、ルーセア大公家に仕える侍女や侍従達となる。
こうして、皇女サンディーヌは、ワルターに守られて暮らす立場の妻となったのだった。
勿論、父である皇帝アルフレッドを、2度と父と呼べない立場になったのだ。
そして、どんなに悔しくても、皇妃キャロラインと皇族籍を残されているキャサリン、皇太子アルファードと皇太子妃エリカ、皇位継承権第1位のアルバード、皇子であるギデオンとレギオンに膝を折る立場になったのだ。
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