上 下
379 / 450
第17章 パーティーは終焉に向かう

373★好感度というモノがあったら、マイナスになってますね

しおりを挟む


 最愛の夫皇帝アルフレッドの冷たい態度と言葉に、蒼褪め悪い夢を見ている様な気分で、廃皇妃リリアーナは自分の思い込んだコトを言い募るだけだった。

 「皇妃の産んだ皇子が、皇太子で………」

 「ここは、ドラゴニア帝国だ、そなたの故国ではない

  我が帝国は、銀髪紫紺瞳を持つ者こそが、皇太子だ

  この色彩を持たぬ者が、皇太子になったコトは無い
  また、代々の皇帝も銀髪紫紺瞳を持つ者しかいない」

 そんな廃皇妃リリアーナの言葉を、皇帝アルフレッドは眉一筋動かさず、冷たく叩き切るように言い放つ。

 皇帝アルフレッドにとって、興味も無いというか嫌いなタイプの女であるサラディール王国の王妃の産んだ、第1王女であるリリアーナを娶ったのは、単に岩塩を円滑に輸入する為だった。
 というか、ごり押しされて仕方が無くであったから………。

 ただ、国民の為の岩塩を得るという、はっきり言ってそれ以上でも、それ以下でもない、契約結婚でしか無かった。
 エルフの血が入っている程度では、寿命も短いので、早々に容色の衰えを感じたら、故国に帰るだろうと思ってもいた。

 一応は、魔力降下剤を飲んで抱いたが、はっきり言って子供が出来るとは思ってもいなかったりする。
 それなのに、アンジェロとリリアンナが産まれたので驚いたというのが本音だった。

 が、魔力量は、予想通りアンジェロは皇族として認められるぎりぎりあるかどうかだった。
 リリアンナにいたっては、ドラゴニア帝国の一般的な侯爵令嬢程度しか無かった。

 だと言うのに、勝手に息子アンジェロは皇太子を名乗らせるは、岩塩の値段はガンガン上げるわ………宝石などを次々と買い込んで贅沢はするで、ほとほと愛想が尽きていたのは確かな事実だった。

 それゆえに、皇帝アルフレッドとしては、リリアンナをサラディール王国の王太子妃として押し付ける予定だったし、アンジェロは、それなりの貴族令嬢の婿として、臣籍降下させる予定だったので、ちょうど良かっただが………今回のリリアーナの突撃によって、その地位は更に不安定なモノとなったのは確かなコトだった。

 こんな事態になるまでの間は、リリアーナを皇妃扱いしておいても、まぁ~良いかと思っていた程度だったのだ。
 その程度の価値しかない女………それが廃皇妃リリアーナだった。

 いざとなれば、サラディール王国を攻めて岩塩鉱山を手に入れれば良いとさえ、思っていた。
 結構、腹黒で冷酷非情な皇帝アルフレッドである。

 それ故に、何度、廃皇妃リリアーナに呼びかけられても、皇帝アルフレッドのこころは1mmも動かない。

 そして、予定外の廃皇妃リリアーナの登場に、皇帝アルフレッドはイライラしていた。

 最愛の番であるキャロラインを、正式な皇妃として発表し、1ヵ月後には立后式をする予定だったから………。
 そのついでに、アルファードを皇太子に指名する予定だったのだ。

 正式な立太子式は、聖女候補達がすべて守護獣を手に入れて、正式な聖女と認定された後に執り行う予定でいた。

 気分良くその発表をするつもりだったので、皇帝アルフレッドは、嫌いな女と思っていた廃皇妃リリアーナが、同じ空間に生きているのすら許せないと思う程に嫌悪する存在になってしまう。

 要するに、皇帝アルフレッドからは、殺気がだだ漏れになっていた。
 それに、廃皇妃リリアーナだけが気が付かないのだった。









しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai
ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:2,430pt お気に入り:4,186

【武田家躍進】おしゃべり好きな始祖様が出てきて・・・

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:59

私が消えたその後で(完結)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:22,933pt お気に入り:2,390

鉱夫剣を持つ 〜ツルハシ振ってたら人類最強の肉体を手に入れていた〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,087pt お気に入り:160

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,201pt お気に入り:33

腹黒上司が実は激甘だった件について。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:610pt お気に入り:139

処理中です...