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第1章 《召還》されたようです
002★詰んだわ、私
しおりを挟む気が付いた時、そこは、駅ビルではないとはっきりわかってしまう恵里花だった。
恵里花がへたりこんでいる床は、大理石に似ている石造りの床だった。
〔えっとぉ~…やっぱり駅ビルの床じゃない
って、ことはぁ~…………〕
慌てて恵里花が周りを見ると、そこには…………。
エレベーターホールに居た美少女が、6人全員呆然とした顔で床にへたりこんでいる姿が見えた。
恵里花達以外に、体育館なみに広い部屋に居たのは…………。
まるで、中世の騎士のような姿をした集団と、ラノベに良く描かれているローブを着て杖を握っている魔道師?と、白い神父服もどきを着た神官かな?という男達の集団だった。
いや、足元の魔法陣を見て異世界《召還》という言葉が浮かんだ恵里花の瞳に、その時映った者達の姿がそれらだっただけで、詳細をみれば少しづつ違っていたが………。
その中の一人が、恵里花を含む少女達の前に一歩踏み出し…………。
見た目が神官らしい男性が、にっこり笑ってのたまう。
「ようこそ、聖女候補の姫君達
ここは、ドラゴニア帝国の帝都
ドラグニールにある
……愛と美と戦いと豊穣の女神…
ル・イシューの神殿です…」
神官の挨拶?に、恵里花達は無言で答える。
「…………」
恵里花は、最初の挨拶の中に含まれた重要なワードに、茫然自失となってしまう。
〔えっ…ちょっと待って…聖女候補? って
だぁぁぁぁ~……私以外、美少女じゃない……
あぅぅぅ……これは…詰んだわ……〕
《召還》された少女達の不信感いっぱいの視線を、あっさり無視して神官は説明を始める。
「皆様を異世界より《召還》しましたのは
この世界に瘴気が溢れ、災害や不作と凶作に
魔物が、魔の森より人間の居住区に
大量に進出するようになったからです」
滔々とのべる神官らしい男性の言葉に、《召還》された少女達は無言のままだった。
「…………」
そんな中、恵里花は黙ったまま考える。
〔えぇ~とぉ…やっぱり異世界《召還》のようね
言葉はチートで理解出来るってことかしら?
一応、あの神官姿の男の人の言葉は理解(わか)るし
こっちからの言葉も、通じるのかしら?〕
困惑を隠し、他の少女達と同じように、恵里花はその言葉を黙って聞く。
その視線の先では、恵里花達の様子を意に介することなく、続けていた。
「その瘴気を浄化する能力が有るのは
異世界から《召還》される聖女だけなのです
しかし、瘴気を浄化するには
神獣、聖獣、幻獣のいずれかと
《感合》する必要があるのです
聖女の《力》の全てを、瘴気の浄化に使う為の
補助として…必ず…手にする必要があるのです
それが出来て初めて、聖女認定されます………」
「…………」
「神獣、聖獣、幻獣を手に入れるには…………」
説明の途中で恵里花は、ドサッという人が倒れるような音を聞いて、その方向に視線を向けた。
そこには、真っ青な顔色の神官と、それを介抱しようとする神官の姿が…………。
同時に、石造りの神殿のようなソコの大きく開かれている窓の向こうには、見たことも無いようなモノが蠢いていた。
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