20 / 450
第4章 魔法騎士団の団長のもとへ
020★聖女候補達の保護者は?
しおりを挟むそんな、腹黒いことを考えたオスカー副団長は、自身の安寧と団長の為に、恵里花に気付かれないように《魔力》を込めて睨む。
そんなことになっているとは気付かない恵里花は、マイケルの報告内容を思い出して問い掛ける。
「あのぉ…私以外の《召還》された人達は
何処の騎士団に行ったんですか?
それと…私達は……個々で保護という
カタチになるんでしょうか?
それとも、騎士団預かりというカタチの
保護になるのでしょうか?」
恵里花の問い掛けに、オスカー副団長の《魔力》がたっぷりとこもった睨みを感じながら、マイケルは自分がミスをしたことを自覚しながらも、余分なこと(情報)を与えないように気をつけながら答える。
「はい、6名の聖女候補様達は
王城内に有ります、帝都騎士団の本部と
東域騎士団の支部、西域騎士団の支部
南域騎士団の支部、北域騎士団の支部
中央騎士団の支部の各隊舎に在籍して
試練の森での護身の為に、剣と乗馬と
精霊魔法を習うことになっております」
マイケルの言葉に、恵里花はハッとした表情になる。
〔えっ…一緒に《召還》された美少女達は……
もう、所属する? 騎士団の方に行ってるの?〕
「あれ? もしかして、私だけ…………
行く先が決まっていないのかしら?」
困った顔で小首を傾げる恵里花に、オスカーがはっきりそうと判る微笑みを浮かべて言う。
「いえ、姫君は、我が魔法騎士団に
所属する予定になっておりますよ」
オスカー副団長を見上げ、恵里花はきょとんとした表情で確認する。
「そうなの?」
「はい」
ハッキリと頷くオスカー副団長に、恵里花は疑問に思う。
〔……あれ? もしかして…………〕
「ちょっと、聞きたいけど良い?」
「何でしょうか?」
「帝都騎士団、東域騎士団、西域騎士団
南域騎士団、北域騎士団、中央騎士団と
同格なのは、近衛騎士団でしょう
…それより…格が明らかに上の
魔法騎士団に、なぜ?」
自分が保護される?ことになるのかと、言外に聞く恵里花に、オスカー副団長は、淡々となんでもないことのように答える。
「まず、近衛騎士団とは
皇族と王城を守護する騎士団なので
代々聖女候補の訓練はいたしません
いや…出来ないと言った方が良いですね
ちなみに、現陛下には………
7人の妃がおりますし、皇太后様も………
そして、皇子方と皇女方が合わせて
15人もいますので…………
はっきり言って、そういう余裕がありません」
そうズバリと言うオスカー副団長に、恵里花は納得顔になって頷く。
「そうね……たしかに、それでは……
…余裕なんて無いわね…うん…確かに…」
オスカー副団長の説明に頷く恵里花に、司祭のアルベルトが声をかける。
「あのぉ~ちょっとイイですか?」
その言葉に、恵里花はアルベルト司祭の方へと向きなおる。
〔えぇ~とぉ…たしか…司祭様よね……
アルベルトというお名前の……何かしら?
あっ…もしかして…重要なことでも………〕
恵里花は、常々、パパから………。
『よくお聞き、恵里花
やましいことや嘘を口にする時は
かならず、挙動不審になるから………
相手から正確な情報を取りたかったら
かならず、相手の瞳を見なさい………』
と、言われているのだ。
勿論、その後には、定番の………。
『いいかい、恵里花は可愛いんだから………』
と、続くのだ。
当然、兄も同じことを何度となく口にしていた。
だから、人の話しを聞く時は、真正面から相手の瞳を見るようにとパパに教えられている恵里花は、きっとこれば重要な内容に違いないと、しっかりと視線を合わせて聞く。
「アルベルト司祭様、何か?」
自分に向き直り、聞く体制になった恵里花に、アルベルトは真面目な表情で言う。
「はい、聖女候補の姫君が
7人も《召還》された事例は
今までございませんでした
今までで、1番多い《召還》人数が
3人でしたので………
精霊魔法は魔法師団で習い
神聖魔法は神聖魔法師団で習い
剣や馬術などの戦闘……ゲフンゲフン…
すみません…ちょっと喉が……
ご自身で身を護る為の護身術は
帝都騎士団で習うという状態でした
今回は…人数が多いですし………
どうせなら…実戦形式で指導した方が
色々なコトを、早く覚えるコトが
出来るだろうという……
こちらの事情がありまして…………」
〔えぇ~と…やっぱり…《聖女召還》の
定番の瘴気とかかな?
魔王討伐とかはイヤだな……
まぁ…そんな雰囲気はないから……
瘴気でしょうねぇ……たぶん……
じゃなくて…聖女候補《召還》の場に
全部の騎士団関係の人って居たのかな?〕
そんなコトを、恵里花は考えてしまった。
23
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます
かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~
【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】
奨励賞受賞
●聖女編●
いきなり召喚された上に、ババァ発言。
挙句、偽聖女だと。
確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。
だったら好きに生きさせてもらいます。
脱社畜!
ハッピースローライフ!
ご都合主義万歳!
ノリで生きて何が悪い!
●勇者編●
え?勇者?
うん?勇者?
そもそも召喚って何か知ってますか?
またやらかしたのかバカ王子ー!
●魔界編●
いきおくれって分かってるわー!
それよりも、クロを探しに魔界へ!
魔界という場所は……とてつもなかった
そしてクロはクロだった。
魔界でも見事になしてみせようスローライフ!
邪魔するなら排除します!
--------------
恋愛はスローペース
物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
召喚聖女に嫌われた召喚娘
ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。
どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる