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第4章 魔法騎士団の団長のもとへ
026★魔法騎士団・団長様まで一直線……戦闘現場に到着しました
しおりを挟む王城内にある魔法騎士団本部から、魔法騎士団の騎士達と恵里花個人に付き合うと言ってくれた、神官達や魔法使い達を連れて城内の大門を騎乗状態で開けさせた。
勿論、魔法の創造物の白い鳥の音声警告のお陰であった。
それは、恵里花やオスカー副団長が命令したコトなのだが……。
魔法騎士団・団長の苛烈で強引で俺様な性格を知る者達は、何時の間に帰還していた団長が、また出撃するのだと思い込み、その指示に従ったのだ。
全ての騎士の頂点に立つ男が、魔法騎士団の団長なのだった。
勿論、魔法師団も神聖魔法師団も辺境守護騎士団も、魔法騎士団の団長に逆らう勇気は持ち合わせていなかったりする。
それ程に、恐れられている男なのだ。
だから、彼の命令は絶対である。
また、その命令を伝える者には、決して逆らってはならないというコトを、今までの強烈な嫌がらせと教育的指導により徹底させて、身体と精神に教え込んでいたりする。
その為に、オスカー副団長が、虎の威(魔法騎士団・団長の権力)を借りて、言いたい放題をしても、逆らってはならないとわんこ心に仕込んであったのだ。
でなければ、何であれ騎士団の団長たちが、格下の副団長の指示(どんなに適切な内容であっても)に従うには、メンツの問題とか、沽券に拘(かか)わるとかでかならずひと悶着(もんちゃく)があるモノなのだ。
それを、ここまでスムーズに運ぶほど、団長は恐ろしい男だったのだ。
結構、有能で気配りが出来て、それでいて強引で爽やかな腹黒さんなオスカー副団長が恐れるほどには…………。
そんな団長の加護(加護と言って良いのかはちょっとあれですが)により、恵里花達(魔法騎士団、個人参加の神官と魔法使い達の集団)は、目的地に何事も無くたどり着いた。
その場所とは、中央騎士団の守備範囲内にある、魔の森近くのヤギやヒツジを放牧する為の牧草地だった。
しかし、恵里花が目にしたのは、焼け焦げた草原と炎と魔物達と戦い傷付いた騎士達を収容しているテントの群れだった。
馬からおりた恵里花は、改めて周りを見渡す。
その視線の先では、よろよろとした騎士達に運ばれている。
明らかに怪我をしていると判る、騎士達が魔の森から現われる姿が見えた。
これは、不味い状況になっていると恵里花にも判った。
〔うわぁ~……かなり不味いわね
戦闘人員の補給が出来てないようだし
治療用の人員も足りないわね
一緒に来た神官様達に治療をお願いして…
魔法使い様達に
負傷して動けない騎士様達の場所と……
魔物と戦闘中の場所を
サーチしてもらいましょう………
とにかく情報を集めて…
戦場がどうなっているかを確認しなきゃ……〕
考えのまとまった恵里花は、神官達にお願いというカタチを取った命令をする。
「アルベルト様
負傷した騎士様達の治療をお願いします」
恵里花の命令に、アルベルト神官は、まるで、ボール(お仕事)を投げられて(命令または指示され)嬉しそうに走って行くわんこのように、見えないお尻尾を振り笑って答える。
「はい…お任せ下さい」
部外者の自分のお願いに笑って応じてくれるアルベルト神官に、恵里花は感謝を込めて言う。
「良かった…これで、痛みに苦しむ
騎士様達が楽になります
ありがとうございます
治癒で《魔力》を使い疲れたと思った時や
また…神官様達や騎士様達の
回復に必要な場合は、スーツケースから
甘味やワインを出して使って下さい
また…アメやクッキーなどのお菓子や
ジャーキーなどのおつまみも
入っておりますので………
よろしかったら…食べてください」
アルベルト神官達は、恵里花の破格の報酬(異界より持ち込んだ食料を食べる許可)に、驚きながらも心遣いを無にしないように、笑って受けいれる。
「ありがとうございます
ワインや食品は…必要に応じて…
適宜に使わせていただきます……
では…私達は治療にはいります」
アルベルト神官は、恵里花に神官としての挨拶(右手を胸の前に手のひらを広げてつける)をして、治療用のテントへと向かった。
なお、乗ってきた馬は、近くに居た騎士達に預けていた。
それを見送ると恵里花は魔法使い達に視線を向ける。
騎乗する前に、神官達や魔法使い達と会話して名前を教えてもらっていたので、恵里花は魔法使い達のリーダーに当たる者に声を掛ける。
「オーギュスト様
負傷者の位置と戦闘中の騎士様達の
位置をサーチしてください
そして、その情報をオスカー副団長に
報告してもらいたいのですが………
お願いしてもよろしいすか?」
恵里花のお願いという命令に、忠実なわんことなったオーギュストは、にこやかに笑って応える。
「すぐにサーチしましょう
それに…負傷している者達を救助に行く時は
魔法で補助いたしましょう」
恵里花のお願いを超える働きを自分から申し出たオーギュストに恵里花は感謝した。
「ありがとうございます
これで、負傷して動けずにいる騎士様達を
救助できます
疲れて《魔力》が減った時点で
アルベルト様に言って
ワインやアメなどを食べて下さいね」
恵里花がオーギュストと会話している時に、突然、大きな声が響き渡る。
『オスカー、フェリックス、マイケル
クリストファー、ジャスティー
ドナルド、ミカエル
交代人員を連れて来たんなら
さっさと来いっ
ギデオンとレギオンが
《魔力》枯渇しそうだ
マクルーファもかなり不味い状態だ
それと、負傷者を探して下げてくれ』
矢先早(やつぎばや)に、命令を告げる声に恵里花は驚いた。
治療用のテント周辺には、いや、焼け焦げた草原には、騎士の姿が無かったから…………。
声が聞こえた方向すらわからない状況に恵里花が戸惑っていると、オスカー副団長が教えてくれた。
「これは、風魔法の【拡声魔法】です」
「これが、団長さんの声なの?」
恵里花の表情と言葉から、オスカー副団長は少し苦笑いを浮かべた。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
すみません(涙)
かなり割愛して書いたんですが…………。
団長の登場、声だけになってしまいました。
ちょっと戦闘シーンが字数を食い込みました。
と、いうコトで、次の更新は…………。
明日、朝の7時ぐらいに予約投稿できるようにする予定です。
今度こそ、団長本人と恵里花が出会う………はず(涙)
嬉しいお知らせ(笑)
お気に入り登録が500人を突破しましたので、近日中に閑話で恵里花とパパとお兄ちゃんの日常を書きたいと思います。
その間に、もしも、お気に入りが600人到達したら、オスカー副団長の割愛した部分を書いて、閑話で入れたいと思います。
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