私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第5章 魔の森にて……

033★閑話 恵里花と兄大和のある日の会話1 前編

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★祝・お気に入り500人到達のお約束閑話です★
 ※長くなったので、前後編となっております。
 ためしに、恵里花視点ので一人称で書いてみました。
 一人称書きは初めてなので、よろしかったら、感想下さい。
 では、お楽しみください。

 ◆恵里花と兄大和のある日の会話1 前編◆

 私の名前は、恵里花、お姉ちゃんは由梨絵、お兄ちゃんは大和、ママは木蓮、パパは、武蔵。
 とにかく、美形一家なんだよねぇ~私を除けば…………。

 子供の頃は良かったなぁ~……お祖母ちゃん(父の祖母)んとこで育ったから……。
 家族の美形っぷりに、気が付かない生活だから幸せだったなぁ~…………。
 パパやお兄ちゃんは、恵里花を妙に溺愛してくれる。

 だけど、ママとお姉ちゃんは、恵里花を嫌っているんだよねぇ~……。
 特に、ママには結構嫌われてるって判る。
 何度も、あの言葉を言われるとね……。

 『アタシの子供じゃないわ
 武蔵とアタシの子供が
 あんなに醜いはずないもの』

 『何度、言えばわかるんだ?
 恵里花は俺達の子供だ

 恵里花は、俺の祖母さんの
 若い頃にそっくりなんだよ』

 パパが、困ったような顔で哀しそうに言うのに、ママは……。

 『嘘よ…きっと…病院で取り替えられたのよ』

 『馬鹿なことを言うなよ…
 恵里花を産んだとき…

 俺も、俺のおふくろも
 お前の両親も居たんだぞ

 それに、恵里花の足に…
 特殊染料で名前を書いたのは…俺だぞ

 お前の両親も見ていたし…
 ビデオにも撮っていたんだ
 それを、お前も見ただろう』

 『…ううん…武蔵を好きな女が
 子供を取り替えたのよ……

 武蔵が…可愛がってる恵里花は…
 自分の子供だから
 結婚してって言う為に………』

 どこか狂気を帯びた目つきで、あらぬ方向を睨んで叫ぶように言うママの姿は、流石に引くわぁ………いや、本当に………。
 お陰で、ママだという認識が我ながら薄いんだよね。
 恵里花が聞いているなんて思ってないから、言いたい放題だし………。

 『前提条件が狂ってきてるぞ、木蓮…
 俺達…家族の遺伝子検査もして…

 恵里花が俺達の子供だって…
 結果が出ているのを見せたよな?』

 『武蔵が、手を回して
 恵里花をアタシ達の子供だって
 検査結果を改ざんさせたんでしょう?』

 『いい加減にしろよ
 恵里花は俺達の子供だって
 事実は変わらないんだ

 はぁ~やっぱり別れよう木蓮…
 俺の言葉を信じないお前と
 結婚(暮ら)していたくない

 大和と恵里花は俺が引き取るから……』

 パパって本当に、恵里花のことを娘として愛してくれているのが判るだけに嬉しい言葉だけど、ソレ、火に油注いでいるのと一緒だよ、パパ。
 ほら、凄い顔して、ママが喰いついて来るし………。

 『嫌よ…アタシは武蔵を愛してるの…
 たとえ…武蔵が誰を愛していても

 アタシは武蔵の妻よ
 由梨絵と大和が結婚するとき…
 両親が離婚していたら可哀想だもの…

 貴方を他の女に渡したくないの…
 絶対に離婚なんてしないわ』

 あぁ~あ…また、自分の都合の良いように解釈して………。
 パパって優しすぎるからつけ込まれるんだよ。

 『だったら、別居だな
 俺は、大和と恵里花の3人で』

 パパ、その言葉、とっても嬉しいけど、ママには逆効果だから………。
 はぁ~……また、あとでネチネチされるんだぁ……やだなぁ………。

 『嫌よ…武蔵と別居なんてしないわ
 判ったわ…恵里花と暮らしてあげるわ
 家族は全員で住むべきだものね』

 『…………』

 パパが、艦から降りてウチに帰ってくると、毎晩のようにこんな会話してるんだもん。
 いくら気にしないようにしていたって、ママに嫌われてるって判るわ。
 それも……それも…恵里花が…全然ママ達に似ず……ブスだから……。
 判っていても、辛いなぁ~あそこまで嫌われてるなんて…………。

 ううん…恵里花は…子供だと思っていない…取替えっこの鬼っ子扱い…。
 それでも、一緒に生活しているのは、パパを愛しているから………。
 でも、パパは、ママを嫌ってる。

 最近のパパの様子を見ているとなんか違和感あるんだよね。
 ママとの離婚を真剣に考えている発言って、ただ恵里花をないがしろにしているからってだけじゃないような気がするんだよねぇ~………。
 今度こそ、お兄ちゃんに聞いてみよう。

 お姉ちゃんの方は……恵里花に感心が無い。
 ぶっちゃけ、自分の目に入らなきゃそれでイイって感じなんだよねぇ~。
 だから、お姉ちゃんの友達が来ている時は、絶対に顔を見せるなとか、機嫌の悪いときは…………。

 『恵里花、アンタは、不細工なのよ
 何でアンタが私の妹なのか
 信じらんないけど

 ママの言う通り
 私の本当の妹は攫われていて

 代わりにアンタが家に居るって方が
 しっくりくるわ

 でも…遺伝子検査やビデオや
 お祖父ちゃんやお祖母ちゃんの
 言うコトもあるしね

 一応、妹ってことにしてあげる

 だから、私の妹だって
 誰にもわからないように
 私に近寄らないで…イイわね…

 言う通りにしないと……』
 
 『…………』

 いっそ死んでって言いたいって判る程、何時も酷いコトを言われる。
 黙って頷く以外の返事は認めない。
 恵里花に反論する権利なんて最初から存在しない、ママとそっくりなお姉ちゃんの言動。

 パパとお兄ちゃんが、恵里花を溺愛しているから、恵里花を嫌いって言うならまだ救いがあるけど…………。
 パパやママ、お兄ちゃんとお姉ちゃんと生活し始めて、すぐに思った。
 なんで、ママやお姉ちゃんと家族でいなきゃいけないの?

 パパ、ママと離婚してよって言いたいって、何度も思っていたけど。
 夜、ふっと目が冷めた時、話し声が聞こえたから…………。
 声の方に行って、あの会話を聞いて思った。

 パパは、何度も恵里花を子供として認めるように言っていた…………。
 聞く耳の無いママに、説得を諦めて離婚を口にする。
 でも、ママは聞かない。

 パパとママの会話は、何時も平行線。 
 決して交わることは無い。
 パパの言葉は、ママに届かない。

 だったら、恵里花の声なんて、絶対に届かない。
 最愛の男(夫)の言葉すら、その心には届かないんだから………。
 だから何時も思う、何で、パパとママは結婚したの?

 今日こそ、お兄ちゃんに話してもらおう。
 きっと、お兄ちゃんなら知っているはず。
 そして、ねだれば諦めて教えてくれるはずだもん。

 なにより、今日、ウチに居るのは、恵里花とお兄ちゃんだけだから…………。
 お風呂上りのお兄ちゃんに、冷えたビールを出してあげよう。
 少しでも口が軽くなるように…………。

 私の作ったおつまみと冷えたビールを、テレビを見ているお兄ちゃんの所へ持っていった。
 お兄ちゃんは、ママやお姉ちゃんと違って、恵里花を見ると笑ってくれる。
 ただ、ちょっと、もう少し押さえて欲しいな、シスコンを…………。
 お陰で、恵里花ってば恥ずかしい思いしたんだから…………。

 「お兄ちゃん、ビール」

 「おっサンキュ…やっぱり…瓶はイイな…
 缶ビールは簡単過ぎてつまらないからな…」

 上機嫌なお兄ちゃんに、手作りのカラアゲにちょっとあぶった裂きイカに切ったチーズを添えて、定番の枝豆付きで出す。
 
 「はい、おつまみね」

 お兄ちゃんは、置かれたおつまみセットを見て、にこにこする。
 恵里花、お兄ちゃんのこの顔弱いんだぁ~………流石、パパの子。
 昔は美少年だったけど、今はカッコイイに変身しているお兄ちゃん。

 お姉ちゃんやママには冷たいけど、恵里花には何時でも優しいから大好き。
 お兄ちゃんは、何時だって恵里花に笑いかけてくれる。
 ほら、今だって…………。

 「恵里花は、どこにでもお嫁に行けるなぁ
 でも…俺や親父に勝てるぐらいの
 イイ男じゃないとダメだぞ

 由梨絵と違って…
 とぉ~っても可愛いんだから」

 はぁ~………パパとお兄ちゃんのセイで、恵里花は勘違いしていたんだよ。
 ちっさい頃……大好きな男の子に好きって告白したら…………。

 『ブスが、ボクに好きって言うなんて……
 信じらんない…勘違いしないでよ

 ボクは、先生に…真人くんは
 誰にでも優しくって、良い子ね

 って言われるからやってただけなのに…
 近寄るなよ、勘違いブス…』 

 なんて、きっぱり、はっきり、聞き間違いのないように念入りに言われたっけなぁ~…………。
 でもそのお陰で、男の子に親切にされても優しくされても、何の意味も無いって理解できたから良かったけど…………。

 困るのは、お兄ちゃんの部下と、パパの部下なんだよねぇ~。
 とにかく、恵里花に優しいし何でもしてくれる。
 恵里花が、何にも言わなくても、とことこん優しい…………。

 そんなに、お兄ちゃんが、怖いの?
 パパって、そんなに怖い上司なの?
 何度も、聞きたいって思いながら、我慢するのも大変なんだよねぇ~。

 じゃなくって、パパとママの馴れ初めを聞くんだ、今日、こそは。
 お兄ちゃんの隣りに座る。
 
 「お兄ちゃん、ちょっと、聞いてもイイ?」

 「んっ…なんだ?」

 「パパは、なんで、ママと結婚したの?」






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