私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第6章 野営地にて………

043★それは、エリカを困惑させるお話しだった

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 ※ここからは、聖女の昔語り風になります。
 語り手・アルベルト(笑)

 この国は、ドラゴニア帝国。
 ドロテア大陸の中央よりの国です。
 大き目の国(四つ)と、その同盟国と属国とかが幾つも存在しています。

 なお、この星、アースティアは、七つの大陸と諸島列島が存在します。
 地球にたとえるなら、アメリカ大陸をちょっと小さくした大陸が、7つ存在しています。
 諸島列島は、フィリピンみたいな島がそれぞれの海に点在しています。

 大陸の支配階級に居る種族は、それぞれの大陸で違います。
 七つの大陸があることは、ハイエシェントドラゴンと呼ばれるモノ達から、我等の祖先が聞いたコトでした。

 我が、ドラゴニアンの祖先も、比較的近くにあるひとつの大陸を見に行った物好きが居るだけだと記されております。
 大陸の各所には、魔の森と迷宮や地下迷宮という《力》の無い者達には、到底踏破出来ない場所が存在しております。

 その他に、巨大な山脈、渡河不能な大河や巨大な湖、広大な砂漠もあります。
 その為に、それぞれの地域には、一定の秩序によって国々が形成されていきました。

 その中で、純粋な人族、エルフ族、少数のハイエルフ族、色々な獣人族、竜族、その下位種族ドラゴニアン族、既に天に帰ったと伝えられる神人族、地下に封じられたと伝えられる魔族などが、徐々に交わってその種族の《力》と《魔力》と《寿命》と《特徴》を失っていきました。

 その間に、それぞれの種族が交わることを嫌った者達や封じられた種族、失われた種族などの負の念、そう哀しみや憎しみや恨みなどと、人々の欲望の残滓が、何時の間にか凝って、魔の森と瘴気が形成されていきました。

 元がこの地に生きる者達の想いから発生したモノなので、神々に祈っても消すコトは叶いませんでした。
 広がる魔の森と瘴気に苦しむ我等を哀れんだ神々が、我等に与えてくださったのは聖女と呼ばれる存在を異界から《召還》する魔法と魔法陣でした。

 それは、その当時、国々を支配していた王家と神々に使えていた、神官達や魔法使い達に啓示として与えられました。
 王家は、《召還》に必要な《魔石》や《召還》をする為の神官達や魔法使い達に、必要な様々なモノを与える援助を担いました。

 神官達と魔法使いは、《魔力》と《召還魔法》と《魔法陣》と提供しました。
 こうして、それぞれに協力して聖女を異世界から《召還》したのです。

 始めは、瘴気が溜まったら聖女を《召還》して瘴気を祓いました。

 その上で、心優しく桁違いの《魔力》を内し、浄化と治癒を携えている聖女を神女(みこ)として崇めておりました。
 聖女は、神女としてだいたい100年生きました。

 その頃の聖女達は、生涯独身だったのです。
 が、時代が下がるに連れて、王家の者達も神官達も魔法使い達も《魔力》を徐々に減らして行きました。

 そして、召還された聖女が、その時、世話していた皇子と恋に落ちたのです。
 誰も、聖女と皇子の恋を止めたりしませんでした。
 こちらの勝手な願いを叶えてくれた聖女に、幸せになって欲しいと思ったからです。

 しかし、2人の間に生まれた子供達は、どの子供達も、桁違いな《魔力》を持っていたのです。
 その時からです、瘴気を祓うために《召還》された聖女を、誰もが求めるようになったのは……。

 ですが、聖女の意思が何よりも優先されますので…………。
 ちなみに、彼らが争うのは、聖女を《召還》する前に、誰が彼女の世話をするかというコトでした。

 それは《召還》した聖女に、醜く争う様を見せたくないという思いからでした。
 聖女に嫌われては、何の意味も有りませんでしたから…………。
 こうして、聖女とは、大切に大切に扱われる存在となりました。

 更に時代が下がり、聖女《召還》の魔法が劣化したのか?
 それとも《魔法陣》が劣化したのか?

 ある時代から、聖女の中に魔女が紛れるようになったのです。
 それは、恐ろしいモノでした。

 魔女達は、浄化の《力》を持っており、確かに瘴気を祓うのですが………。
 何故か、王家の生まれたばかりの赤子を見てみな言うのです。

 『美味しそう。食べてみたいな』

 と、耳を疑うようなひとことを、ぽつりと言うのです。
 それを聞くのは何故か、その赤子の父親たる皇子様でした。

 聖女に初めて生まれた愛らしい姫を見せたいと思う皇子様と、ソレに付き従う側近と乳母達が聞いてしまうのです。
 最初に言われた皇子様は、三人の側室を持つ皇太子でした。

 それも、ドラゴニアンの血が色濃く出た角と羽を持つ膨大な《魔力》を持つ皇太子でした。
 聖女の言葉に、皇太子は、直ぐに殺そうと剣に手をかけたかったのですが、幸いなことに両手で、姫を抱いていましたので、無言でその場を離れました。

 後に続く側近達が、聖女のご機嫌を取りました。
 皇太子は、姫を乳母に預けて、聖女を殺そうとしました。
 が、それを、側近の一人が止めました。
 それは、こんな会話でした。

 『お待ち下さい皇太子殿下
 異世界より《召還》した聖女を
 ただ、殺したのでは…………

 二度と聖女の《召還》をすることが
 出来なくなるかも知れませんよ』

 『だか、生かしておくは……
 いずれ、害にしかならぬぞ』

 『なればこそ、今一度、聖女の《召還》を行い
 新たな聖女に、今の魔女としか言えぬモノを
 どうすれば良いかを尋ねるのです』

 『我等の不出来で呼んだ魔女を
 新たな聖女に処罰させるのか?』

 『確かに、我等の力不足です………
 が…あの魔女をただ殺したのなら
 どのような災厄が現われるかわかりません

 この国の瘴気の半分は
 かの魔女が浄化したのですから…』

 エリカは、その内容に眼を白黒させ、語るアルベルトを見て首を傾げたのだった。







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