私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第6章 野営地にて………

066★撤収にも手順があるようです

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 エリカ達は、ワイワイガヤガヤと騒ぎながら、朝食のクレープ包みを食べ終わり、天幕へと移動した。
 天幕の中で、エリカは、アルファード達と会話していた。

 「帝都に戻るときは、騎士服ですか
 それとも甲冑ですか?」

 エリカの質問に、オスカーが淡々と答える。

 「魔物討伐からの帰還なので
 甲冑で戻ります」

 オスカーの言葉に、アルファードが重ねるようにして説明する。
 
 「本当は、騎士服の方が楽なんだけど
 それだと単なる訓練の帰りにもならないから
 甲冑で帰還するんだ」

 アルファードの説明を聞き、ちょっと小首を傾げたエリカに、オスカーが気遣いでもって言う。

 「姫君は、騎士服でも構いませんよ」

 「ううん、アル達が甲冑を着るなら
 エリカも甲冑を着るよ

 だって、これからも、アルの魔物討伐に
 同行するんだったら
 甲冑に慣れておいた方がイイと思うもの」

 自分の意思をはっきりと言うエリカに、オスカーはにっこり笑い、アルファードが確認するように聞く。

 「じゃ、甲冑を着るか?」

 「うん、でも、ひとりで着れないから……」

 ちょっと困ったようなエリカの表情に、アルファードは内心でどきどきしながらも、普通を装って言う。

 「エリカ、俺が手伝ってやるよ」

 「ありがとう、アル」

 微笑ましい2人の会話を聞いていたオスカーは、エリカにこの後の指示を出す。

 「姫君、甲冑に着替えたら
 団長と一緒に行動して下さい」

 「オスカーさん、どうして?」

 アルファードと一緒にいるのは嬉しいが、自分にも何か手伝えないかと思っていたので、オスカーへと視線を向ける。
 と、視線を向けられたオスカーが、その答えを口にする。

 「昨日、湧き出していた魔物達の討伐が
 無事終わったので、帰還する為に

 野営地の撤収作業をしますから

 邪魔にならない場所に居て下さい

 それと、姫君の荷物は
 こちらに来た時と同じように
 私の【魔倉庫】に入れて運びます」

 それを聞いたエリカは、何か役に立ちたいと思って言う。

 「エリカも撤収の手伝いをしたいんですけど」

 みんなのお手伝いをしたいと言うエリカに、アルファードは苦笑いを浮かべる。
 聖女様に、撤収のお手伝いなんてさせられないと叫びそうな神官達や魔法使い達を思い浮かべつつ言う。

 「あのなエリカ、俺達(騎士達)と下働きで
 何時も片付けている手順があるんだ

 それにしたがってやった方が
 効率良く、早く出来るんだ

 俺もギデオンもレギオンも設営や撤収を
 手伝ったコトは無いぞ」

 上に立つ者は、下の者達が作業を終えるまで、黙って待っているのも仕事なんだというニュアンスを込めて言う。
 そこに、オスカーも言葉を重ねる。

 「そうですよ、姫君、部下に
 仕事を任せるのも大事なんです」

 2人にそう言われては、無理に手伝って仕事を増やすのはかえって悪いと判断し、エリカは頷いて言う。

 〔そっか、手順てあるもんね
 だったら、アルからもらった
 馬のところにでも行こうかな?〕

 「そうですか…わかりました
 アルと一緒にシルファード達の
 側にいることにします」

 エリカが納得してくれたので、ホッとしたアルファードは、乗馬の基本作業を教えておこうと、提案する。

 「エリカ、あいつらに鞍を着けたりするのを
 やってみないか?

 基本的な作業は覚えておいて損はないぞ
 エリカがいた世界とは違うかもしれないし」

 アルファードの言葉に、こちらに来るときは、既に乗れる状態になっていたことを思い出して頷く。

 「うん、やってみたい」

 「じゃ、馬達の所まで行こうか?」

 「うん」

 そんな微笑ましいエリカとアルファードの後姿を見送った後、オスカー達は天幕の撤収を指示する。
 ちなみに、オスカーがエリカとアルファードを見送った、その頃。
 マクルーファとその側近達は、中央騎士団のリーガル副団長と帰還の打ち合わせをしていたのたった。






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