私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第7章 帝都にて、それぞれの時と思い

087★7人目の聖女候補に会いたい

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 断定するアルファードに、キャロラインは妹が育てた娘の性格を考えて溜め息を吐いた。

 「あらあら、エリカ姫に絡むなんて
 バカなこと…するわね…きっと……

 これは…陛下に頼んででも…さっさと
 降嫁させるわね

 婚約式の前に、結婚式を上げさせるわ」

 陛下と自分の娘ではあるが、妹が育てたがゆえの性格を考えて、出来るだけ早く、皇女の地位から降ろさないと、なにをしでかすか判らないという事実を改めて認識したキャロラインの言葉に、アルファードが頷いて言う。

 「ああ、エリカに絡めないように
 早めに皇族から除籍して欲しい」

 そのアルファードのセリフに、エリカはちょっと小首を再び傾げる。

 〔えっとぉ~…どんだけ凄い性格なの?
 いったい、どういう育て方をされたの?

 アルとお母様と、弟に義弟の2人にって
 拒絶されまくっているけど………

 でも、絡まれるのは嫌だから、黙っていよう
 かかわらなければ、被害は無いはず…だよね〕

 そんなアルファードのセリフに、ちょっと考えてから、キャロラインは確実性を求めて助言する。

 「貴方からも、陛下にお願いしなさい」

 キャロラインの言う意味が理解出来るアルファードは、大事なモノ(エリカ)を守るためなら、使えるモノ(権力)は、なりふりかまわず使うことを心に誓いながら頷く。

 「そうする」

 そんな、ある意味で不毛なアルファードとキャロラインの会話が、盛り上がっている、その頃。

 エリカと同じ、聖女候補の少女達が、魔法騎士団本部に、やっとたどり着いていた。

 「けっこう歩いたよねぇ………」

 「うん、意外と距離があったわ」

 そう言い合いつつ、本部の建物の前で、どうやって中に入るか?という会話をし始める。

 「ここが、魔法騎士団の本部の建物なの?

 私が、滞在させてもらっている
 北域騎士団本部よりも凄いんですけどぉ~」

 そう1人が言えば、他の聖女候補も頷いて言う。

 「なんか、私が滞在させてもらっている
 帝都騎士団本部の建物より大きくて
 使っている材料も、高そうなんだけどぉ~」

 建物をマジマジと見上げてのセリフに、その隣りにいた聖女候補も頷いて、感想を口にする。

 「うん、中央騎士団の本部よりも大きいよ」

 「東域騎士団本部なんか完全に負けてる」

 「いやいや、西域騎士団本部も
 完璧負けてるね」

 素材自体の価値は判らなくても、良いモノを使っているのは判るので、興奮して喋る。

 「確か、全騎士団の上にあるのが
 魔法騎士団だって、言っていたから……

 だから南域騎士団本部より立派で当然なのよ
 …たぶん…きっと」

 声を掛けることをちょっと躊躇(ためら)った聖女候補達は、ちょっと現実逃避して、それぞれ自分が滞在している騎士団本部の建物と魔法騎士団本部の建物の大きさや使っている資材の違いを話し合っていた。
 その中のひとり、鈴蘭がぽつりと言った。

 「ねぇ~……これって……あの……
 国会議事堂と迎賓館って感じがしない?」

 言われて、改めて建物を見る聖女候補達。

 「うんうん、そんな感じがするね」

 「他の騎士団本部の建物って
 なんかごっつい感じがするよね」

 「来る途中で見た魔法師団本部って
 ここに比べると、ちょっと暗い感じがしたよね
 建物の感じとしては、優美だけど」

 「神聖魔法師団も、優美な感じがしたよね」

 「優美な建物の方が、建設費用がかかるよね」

 「うん、確かに、魔法騎士団の方が
 権力とか《力》が上なんだよね」

 それぞれの感想をひと通り口にしてから、改めて本題を口にする。

 「じゃ、彼女にお願いすれば
 あのストーカー達をなんとか出来るね」

 確認するように言えば、撫子が頷きながら言う。

 「確か、彼女をお姫様抱っこしていった
 あのすっごい美少年が、魔法騎士団の
 団長さんなんでしょう?」

 と、周囲の会話に聞き耳を立てていた桔梗が口を開く。

 「えっとね、ちらっと聞いたんだけどぉ」

 「なになに」

 「あの美少年って、第1皇子なんですって」

 「うっそぉー」

 「ってことは、ラノベの展開よね」

 「彼女って、将来は皇太子妃ってこと?」

 3人集まればかしましいの2倍いるのだ、おしゃべりスズメ状態で、聖女候補達はきゃっきゃとする。
 が、実際は、この世界に《召還》されたことによるストレスで、躁(そう)状態に入っているのだ。
 ある意味で、自分達を落ち着ける為に、こちらに《召還》されて早々に姿を消した、7人目に会いたい聖女候補の6人だった。







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