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第9章 魔法騎士団本部にて
115★アルファードはエリカと結婚したい
しおりを挟む過去の心の傷を自分で抉ってしまったエリカは、内心で溜め息を吐く。
いや、もう確保しているんだからと、思い切れない程度には、しっかりと心の傷になっているエリカだった。
が、そんなエリカに気付く者は無く、百合に鈴蘭が思わず呟いていた。
「今更だけど、ラノベで《召還》された
聖女達は、殆ど現実直視無しで
乙女ゲームさながらに……
お気楽に、皇子様とかの攻略対象に
何も考えずに突っ走っているけど
アレはやっぱりラノベだからよねぇ~
って、しみじみ思うわ」
百合もその意味に気付いて、こくこくしながら言う。
「確か、社交シーズンの1回~2回で
結婚までいかないと売れ残りだったよね?」
百合のセリフに桔梗は、はっとしたような表情で頷く。
「そう言えば……」
そう呟く桔梗の隣りては、蘭が呆然と呟いていた。
「なに…その無理ゲーは………」
エリカも、それに同感と思ってしまう。
〔1年から2年で終わる婚活って酷いわ
私だったら、自力で見つけられなくて
親に見繕ってもらうってパターンね
でも、ここは、異世界だから自力救済しか
無いのよね…良かった…アルがいて……〕
そう言う会話に焦りを感じる中、牡丹がはっとした表情になってから言う。
「落ち着いて、もっとゆっくりでも
イイと思うよ
だって、オスカーさん達って
102才だって言ってたでしょう
きっと…社交界デビューしてから……
2年で結婚は無いと思うのたぶん…きっと」
撫子の救済的な言葉に、エリカはなるほどと思う。
〔ああそうかぁ~…オスカーさんも
マクルーファさんも独身なんだから
1年から2年で婚活終了って切られるコトは
無いよね………いや……ほんとお~に…
良かったなぁ…エリカには、アルがいて…
うふふふ……今日の夕食には、お米を
食べたいって言ったアルに、おにぎりとか
手巻き寿司を作ってあげようかな?〕
温水球クッションに座り、わりとほっこりしたお花畑的思考に沈んでいたエリカを発見した聖女候補の1人・牡丹が疑問を投げかける。
「ねぇ~エリカちゃん、こっちの婚活って
いくつぐらいからなのかな?」
聞かれたエリカも、そういう話題で喋ったことが無いので、聖女に関してはかなり物知りっぽいオスカーを見て言う。
「う~ん、わかんないから……
オスカーさん教えて欲しいんですけど?」
聞かれたオスカーは、必要な書類を制作し終わっていたので、優雅に微笑みながら答える。
「確かに、聖女候補の姫君方いう
15才からですが、こちらでは
結婚するまでのことを言います
勿論、結婚適齢期なんてモノは
最初から存在しませんよ」
その答えを聞いた牡丹は、深く安堵の溜め息を吐く。
「結婚するまでが適齢期って……
なんか、ほっとします」
聖女候補達の表情に、うっすらと笑って言う。
「人それぞれですよ
ただし、家の事情が入ると
それは変化します」
そのセリフに、エリカが好奇心を出して聞く。
「どのぐらい変化するんですか?」
エリカの質問に、アルファードが1つの事例として答える。
「エリカ、俺の父上は、15才になる前に
結婚して子供を作った
家がつぶれるような危険性が高い時は
早い結婚をして子供を作るってコトになる」
そう言うアルファードに、エリカは小首を傾げて聞く。
「じぁ今のアルは、結婚を急いでいるの?」
聞かれたアルファードは、首を振りつつも本心を口にする。
「いや、ゆっくりで構わない
でも、早く、エリカと結婚して
俺のモノだって宣言したいと思っている
…ダメか?」
なんで、急ぐって、それは他の者に愛しいエリカを盗られない為だよと、言外に言うアルファードに、エリカは苦笑いを浮かべる。
「あのね、アル…私は、まだ
正式な聖女になって無いでしょ?
きちんと聖女認定されないと
結婚とか出来ないでしょう?」
求められるのは嬉しいが、後ろ指差されることなく堂々とアルファードとの結婚を認めてもらいたいと思うエリカは、きっちりとスジを通すことを望む。
「うっ…でも…婚約なら出来るぞ
だから…婚約して欲しい」
どうにか、エリカを自分のだと発表したいらしいアルファードに、首を振って言う。
「塩水湖での実験が終わったらね
塩が手に入るようになれば、アルは
ううん…このドラゴニア帝国は
自由になるでしょ」
エリカの言葉に、アルファードは瞳を輝かせて言う。
「うん…わかった
さっさと塩水湖に行こう」
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