私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

文字の大きさ
121 / 450
第9章 魔法騎士団本部にて

115★アルファードはエリカと結婚したい

しおりを挟む


 過去の心の傷を自分で抉ってしまったエリカは、内心で溜め息を吐く。
 いや、もう確保しているんだからと、思い切れない程度には、しっかりと心の傷になっているエリカだった。
 が、そんなエリカに気付く者は無く、百合に鈴蘭が思わず呟いていた。

 「今更だけど、ラノベで《召還》された
 聖女達は、殆ど現実直視無しで
 乙女ゲームさながらに……

 お気楽に、皇子様とかの攻略対象に
 何も考えずに突っ走っているけど
 アレはやっぱりラノベだからよねぇ~
 って、しみじみ思うわ」

 百合もその意味に気付いて、こくこくしながら言う。

 「確か、社交シーズンの1回~2回で
 結婚までいかないと売れ残りだったよね?」

 百合のセリフに桔梗は、はっとしたような表情で頷く。

 「そう言えば……」

 そう呟く桔梗の隣りては、蘭が呆然と呟いていた。

 「なに…その無理ゲーは………」

 エリカも、それに同感と思ってしまう。

 〔1年から2年で終わる婚活って酷いわ
 私だったら、自力で見つけられなくて
 親に見繕ってもらうってパターンね

 でも、ここは、異世界だから自力救済しか
 無いのよね…良かった…アルがいて……〕

 そう言う会話に焦りを感じる中、牡丹がはっとした表情になってから言う。

 「落ち着いて、もっとゆっくりでも
 イイと思うよ

 だって、オスカーさん達って
 102才だって言ってたでしょう

 きっと…社交界デビューしてから……
 2年で結婚は無いと思うのたぶん…きっと」

 撫子の救済的な言葉に、エリカはなるほどと思う。

 〔ああそうかぁ~…オスカーさんも
 マクルーファさんも独身なんだから

 1年から2年で婚活終了って切られるコトは
 無いよね………いや……ほんとお~に…
 良かったなぁ…エリカには、アルがいて…

 うふふふ……今日の夕食には、お米を
 食べたいって言ったアルに、おにぎりとか
 手巻き寿司を作ってあげようかな?〕

 温水球クッションに座り、わりとほっこりしたお花畑的思考に沈んでいたエリカを発見した聖女候補の1人・牡丹が疑問を投げかける。

 「ねぇ~エリカちゃん、こっちの婚活って
 いくつぐらいからなのかな?」

 聞かれたエリカも、そういう話題で喋ったことが無いので、聖女に関してはかなり物知りっぽいオスカーを見て言う。

 「う~ん、わかんないから……
 オスカーさん教えて欲しいんですけど?」

 聞かれたオスカーは、必要な書類を制作し終わっていたので、優雅に微笑みながら答える。

 「確かに、聖女候補の姫君方いう
 15才からですが、こちらでは
 結婚するまでのことを言います

 勿論、結婚適齢期なんてモノは
 最初から存在しませんよ」

 その答えを聞いた牡丹は、深く安堵の溜め息を吐く。

 「結婚するまでが適齢期って……
 なんか、ほっとします」

 聖女候補達の表情に、うっすらと笑って言う。

 「人それぞれですよ
 ただし、家の事情が入ると
 それは変化します」

 そのセリフに、エリカが好奇心を出して聞く。

 「どのぐらい変化するんですか?」

 エリカの質問に、アルファードが1つの事例として答える。

 「エリカ、俺の父上は、15才になる前に
 結婚して子供を作った

 家がつぶれるような危険性が高い時は
 早い結婚をして子供を作るってコトになる」

 そう言うアルファードに、エリカは小首を傾げて聞く。
 
 「じぁ今のアルは、結婚を急いでいるの?」

 聞かれたアルファードは、首を振りつつも本心を口にする。

 「いや、ゆっくりで構わない
 でも、早く、エリカと結婚して
 俺のモノだって宣言したいと思っている
 …ダメか?」

 なんで、急ぐって、それは他の者に愛しいエリカを盗られない為だよと、言外に言うアルファードに、エリカは苦笑いを浮かべる。

 「あのね、アル…私は、まだ
 正式な聖女になって無いでしょ?

 きちんと聖女認定されないと
 結婚とか出来ないでしょう?」

 求められるのは嬉しいが、後ろ指差されることなく堂々とアルファードとの結婚を認めてもらいたいと思うエリカは、きっちりとスジを通すことを望む。

 「うっ…でも…婚約なら出来るぞ
 だから…婚約して欲しい」

 どうにか、エリカを自分のだと発表したいらしいアルファードに、首を振って言う。

 「塩水湖での実験が終わったらね
 塩が手に入るようになれば、アルは
 ううん…このドラゴニア帝国は
 自由になるでしょ」

 エリカの言葉に、アルファードは瞳を輝かせて言う。

 「うん…わかった
 さっさと塩水湖に行こう」







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

召喚されたら聖女が二人!? 私はお呼びじゃないようなので好きに生きます

かずきりり
ファンタジー
旧題:召喚された二人の聖女~私はお呼びじゃないようなので好きに生きます~ 【第14回ファンタジー小説大賞エントリー】 奨励賞受賞 ●聖女編● いきなり召喚された上に、ババァ発言。 挙句、偽聖女だと。 確かに女子高生の方が聖女らしいでしょう、そうでしょう。 だったら好きに生きさせてもらいます。 脱社畜! ハッピースローライフ! ご都合主義万歳! ノリで生きて何が悪い! ●勇者編● え?勇者? うん?勇者? そもそも召喚って何か知ってますか? またやらかしたのかバカ王子ー! ●魔界編● いきおくれって分かってるわー! それよりも、クロを探しに魔界へ! 魔界という場所は……とてつもなかった そしてクロはクロだった。 魔界でも見事になしてみせようスローライフ! 邪魔するなら排除します! -------------- 恋愛はスローペース 物事を組み立てる、という訓練のため三部作長編を予定しております。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

処理中です...