私は聖女になります、性女(娼婦)にはなりません

ブラックベリィ

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第9章 魔法騎士団本部にて

120★誰が選んだかわからない、着慣れない服は苦痛です

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 エリカが、料理を作り終えて、ほっと一息ついた頃。
 聖女候補の少女達は、ドアの外からの声で朝の目覚めを迎えた。
 声を掛けたのは、マクルーファの側近達だった。

 顔合わせを昨日すませていた、ランスロットとデュランの2人だったりする。
 2人の声は拡声魔法によって、部屋の外から寝室に居る6人に届く。
 最初にランスロットが声をかけ、次にデュランが声をかける。

 「おはようございます
 朝食の用意は整っております」
 
 「姫君が、団長と皆様の為に、食べ易い
 お握りも用意しておりますよ」

 「騎士達の食べる朝食も御座います」

 「なお、食事は、団長室にて
 取っていただきます」

 「浴室の使い方は、大丈夫ですよね?」

 次々と言葉を掛けられて、聖女候補の少女達は慌てて起きる。
 寝起きの良い撫子が、代表して答える。

 「おはようございます
 昨日、6人が並んでシャワーを浴びれるよう
 設置して頂いた浴室を使いますので
 少し待って欲しいのですが?
 朝食の時間にそこまで遅れていましたか?」

 心配そうな響きを含ませた撫子の答えに、ランスロットが優しい口調で答えを返す。

 「大丈夫ですよ
 姫君に、時間の余裕があるようにと
 言われて起こしに来ましたので……」

 そのランスロットの言葉にかぶせるように、デュランが続けて言う。

 「あの…髪を乾かしたかったら
 昨夜のように、私達が魔法でいたしますよ」

 シャワーを浴びると髪を濡らしてしまうので、ランスロット達の申し出をありがたく受けることにして答える。

 「「「「「「ありがとうございます」」」」」」

 着替えの用意が終わった鈴蘭が、ついドアに向かって頭を下げながら言う。

 「着替えたら、髪をお願いします」

 「わかりました
 必要になったらお呼び下さい」

 「私達は、ここで待機しております」

 2人の落ち着いた優しい口調での言葉に、突然の《召還》から、全員がバラバラにされて、孤独と恐怖心満載だったことを癒され、聖女候補達は頷きあう。
 そして、牡丹が代表でお礼を口にする。

 「ありがとうございます」

 その後は、騎士達を長く待たせるのは、悪いということで、少女達は精一杯のスピードでシャワーを浴びる為に浴室に走る。
 脱衣所で、各自の棚にあるカゴに着替えを入れて、ランドリー用の大きなカゴにネグリジェ他を入れるのだった。

 棚もカゴも大きなカゴも、エリカの提案で備え付けられました。
 浴室に、新たにシャワーを5本追加させたのもエリカでした。
 イメージは、銭湯または、寮の浴室だったりします。

 エリカは、聖女候補達が、全員同じ部屋で過ごしたいと要望したので、寮で住むイメージで色々と部屋の改装をしたのだった。
 なお、魔法騎士団本部では、ちょっとした《魔力》の暴走?であちこちを壊すことが多いので、建物や家具などの補修を専用でする大工が常駐していたりする。

 そのことをオスカーに教えてもらったエリカが必要なモノを用意することにした。
 その時の会話がこれである。

 「オスカーさん、使って無い隊長室を
 彼女達が使えるように改装したい
 と言ったら、どのぐらいで大工さんの
 手配が出来ますか?」

 エリカの言葉に、オスカーはあっさりと答える。

 「ああ、まだ姫君には言ってませんでしたね
 ここには、ある事情から大工や家具職人が
 常駐していますから、いつでも改装可能ですよ
 なんなら、今すぐ彼らをここに呼びましょう」

 オスカーの答えに、エリカはにっこりと笑ってお礼を口にする。

 「ありがとうございます
 それと、彼女達の着替えの手配は
 どうなっていますか?」

 魔法騎士団も見渡す限り男性しかいないので、エリカは自分が出来ることはしてあげようと、一緒に《召還》された聖女候補達の為に考え、行動するのだった。
 それが、魔法騎士団の団長であるアルファードのもとに、勝手に向かったエリカなりのいたわりだったりする。

 〔きっと、みんなあの後1人1人にされて
 気持ち的に大変だったろうし…………

 エリカには、パパやお兄ちゃんみたいな
 オスカーさんやマクルーファさんに
 なにより、たよりになるアルがいたけど

 見知らない異郷の地で、1人にされたのは
 つらかっただろうし…………

 なにより、周りが男性ばかりはキツかった
 と思うのよねぇ……

 いや、着ているモノを見るとねぇ……
 用意されたモノを仕方が無く感が強いわ

 ここは、普通の服を用意しないとね
 いや、こっちの普通の服ってとは思うけど

 騎士団で用意したモノ(見知らぬ男性が
 選んだ)よりはずっと気持ち的にも
 イイはずだし…………〕

 エリカの質問に、オスカーは小首を傾げてから答えた。

 「確か、各騎士団で最低限の着替えは
 手配していたと思いますが?」

 その言葉を聞いて、エリカはちょっと溜め息を吐いて、自分以外の聖女候補達に向かって言うのだった。

 「牡丹さん、騎士団に置いてある服は
 ポイっとしていいわよぉ…………

 流石に、誰が選んだ服か判らなくて
 イヤだったでしょぉ~…………

 だから、こっちで用意したものに
 着替えて下さいね」

 エリカのセリフに、やはり誰が選んだか、誰の趣味かわからないモノを着ていたので、着心地が微妙だと思っていた撫子が嬉しそうに答える。

 「エリカちゃんありがとう助かるわ」

 その返事を聞いて、エリカはやっぱりねと思うのだった。






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