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第9章 魔法騎士団本部にて

129★ハイカロリーは怖いけど美味しそうで食べたいです

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 アルファードとエリカが、イチャイチャし始めたので、立ち聞きしていた?聖女候補とランスロット達は、ほっとして溜め息を吐き出す。
 お腹のすいていた撫子が、自分達がここに居ることを誇示する為に、挨拶をするのだった。

 「エリカさん、団長さん
おはようございます」

 その声に続いて、残りの聖女候補が挨拶する。

 「「「「「おはようございます」」」」」

 その声に、エリカはアルファードの小指と絡めていた自分の小指を見て、ボンッという音がしそうなほど顔を紅く染めた。

 〔いやーん恥ずかしい
 アルと指きりしていたの絶対に見たわね
 誤魔化しなんて出来ないし……
 ここは、ご飯に逃げてしまうしかないわ〕

 色々な苦悩があったエリカだが、そっと絡めていた小指を外して立ち上がりながら、少女達に挨拶を返す。

 「おはようございます
 朝食は、パンとご飯のどっちにする?」

 撫子が、少女達を振り返って提案する。

 「パンを食べたい人は、右手を上げて
 ご飯の人は、左手を上げて」

 「「「はい、パンが食べたい」」」

 「「「はい、ご飯が食べたい」」」

 少女達は、3人と3人に分かれて、食べたいものを言った。
 それを見て、エリカは苦笑する。

 「判りました
 両方の料理をバイキング方式して出すから
 好きなものを取って食べてね
 アルやオスカーさん達も一緒で良いかな?」

 「エリカの料理なら、いくらでも食べたい」

 「ご相伴させていただきます」

 「じゃあ持ってくるね」

 「手伝うよ」

 「ありがとう、アル」

 「ギデオン、レギオン、お前等も手伝え
 オスカー…お前達は座っていろ…………
 今日は俺達がやるから……」

 「「「「「「はい」」」」」」

 エリカは、アルファードとその弟達を従えて厨房へ向かった。
 その後姿を見送った騎士達と少女達は、顔を見合わせて苦笑した。
 沈黙するオスカー達と違って、少女達はおしゃべりを始めてしまう。

 「エリカちゃんって
 かなり皇子様に愛されているよねぇ」

 「うんうん。指きりだもんねぇ」

 「こっちでは、恋人同士とか婚約者同士で
 するモノなんだぁ~…………
 私達とちょっと違うよね」
 
 「でも、日本の文化が結構入っているよ
 絶対に」

 「そうだよねぇ~……もしかしたら
 聖女って、日本人が多いのかも?」

 「あっ私もそう思ったよ
 もしかしたら、有名な聖女様って
 日本人なんじゃないかなって……」

 「それも、同世代なんじゃないかなぁ~
 乙ゲーとかって」

 「やっぱりそうだよね
 何度思いなおしても、そうだよねぇ」

 「今度、エリカちゃんに聞いてみようよ」

 「「「「「賛成ー」」」」」

 少女達の会話が弾んでいるところへ、料理をのせたワゴンを押してエリカ達が現われる。
 食堂の大きなテーブルの上に、エリカ達は、料理を盛った大皿を、次々と並べて行った。

 アルファードは、ご飯を炊き上げた土鍋やスープやシチューや具沢山の味噌汁の入ったなべをテーブルにのせた。
 キデオンやレギオンは、エリカと同じように料理を盛った大皿を並べて行った。

 その他に、数種類のパンが入ったカゴやデザートのクッキーやワッフルの入ったカゴや果物の入ったカゴをテーブルに置いて行った。
 夕食に出して好評だったシュークリームやプリン、チーズケーキなどもテーブルにのせていく。

 朝から豪華で重い(=カロリーや糖分、油分、塩分が心配な)食事がエリカによって提供された。
 それを平然として見ている騎士達と違って、少女達はかなり苦悩していた。
 視線を交わし、小声で会話している少女達の瞳は切ない色を浮かべていた。

 『ねぇ~すっごく美味しそうなんだけどぉ』

 『うん、全部食べたいよね』

 『でも、カロリーが、かなり怖いんだけど』

 『デザートが、とぉっても素敵ね』

 『うん、美味しそう
 だけど、カロリーが怖いから
 ここは、1つか2つだよね
 食べられるとしても』

 『ピザもグラタンもラザーニャも
 チーズフォンデュも食べたいな』

 『どれも、ハイカロリーの恐ろしいモノよ』

 『私は、ローストビーフにフランスパンに
 ピザとつぼ焼きシチューにしようかな
 デザートは、プリンとワッフル』

 『具沢山のオムレツとご飯と具沢山の味噌汁
 バンバンジー?とチーズホンデュ…………
 デザートにプリンとチーズケーキ…………』

 聖女候補達は、朝から並べ立てられた美味しそうでハイカロリーな料理を前に、どの程度ならカロリーオーバーしなくてすむかなぁ?と悩みつつ、自分の食べたいモノを上げてみるのだった。







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