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第9章 魔法騎士団本部にて
128★約束ごとは指きりげんまん
しおりを挟むそして、確かにアルファードの銀髪に、綺麗な輝く金髪のメッシュが入っていることを確認してしまう。
〔ふむ、姫君の言うように、金に変色した
部分がありますね……でも、どうして?
昨日の深夜までは、無かったはずですが…〕
微かに眉をあげてオスカーは、アルファードに話し掛ける。
「おや? 確かに、金色の房がありますね
昨日は、私達が自室へと下がるまで
そんな髪の色をしていませんでしたよ」
オスカーの発言に、エリカも同意を込めて頷く。
「うん、確かに、眠る前までそんな金色の
いかにもな房なんて存在して無かったよ
左右対称の位置に同じ太さの金の房かぁ……」
そう呟いたエリカは、どうしてもオタクごころが刺激されてしまう。
お陰で、つい余計な知識を口にする。
「あっ……そっか…なるほど……
ラノベ設定だと、ドラゴニアンの髪の色が
違う部分は、角の色だって書いてあったわ
って、ことはアルの角は金色なんだ
うふふ…こうして、角を現す変色が有るなら
きっと、翼もいずれ出ると思うなぁ~……」
エリカの発言に、オスカーは、今は亡き親友(先代皇帝アレクサンデル)に見せてもらった歴代皇帝や皇妃、皇太子を含む皇子達の肖像画を思い出す。
「そう言えば、寵愛の聖女様を溺愛していた
皇帝陛下も皇太子殿下も髪の色が
一部違っていましたよね…団長」
オスカーの言葉に、アルファードも肖像画に描かれていた、皇帝と皇太子の姿を思い出して言う。
「ああ、確かに皇帝と皇太子の銀髪に
金髪の房が混じっていたな」
同じ肖像画を見たことのあるギデオンも、こくこくしながら言う。
「兄上の色違いの髪って、彼の皇帝や
皇太子と色違いの髪の位置が同じですよ
もしかして、それが姫の言うように
角の色かもしれませんね?」
再度、オスカーは確認するように言う。
その発言に、マクルーファもこくこくと頷く。
「皇帝陛下は、銀色の鱗に金の角
金の翼で描かれていましたよね?」
オスカーやマクルーファやギデオンの言葉に、アルファードは考え込んでいるという表情で言う。
驚きと嬉しさと戸惑いの混じった表情のアルファードは、エリカを見詰めていた。
〔エリカは、俺が飛竜に変身しても
気にしないよな……たぶん、きっと
でも、なんか嬉しい
あの皇帝アレクサンダーと同じ姿に
変身できるかもしれないなんて……
エリカと出会ってから、嬉しいこと
ばっかりだ
俺の幸運の女神エリカ〕
「そう言えば…って…もしかして…
俺は…本当に変身出来るのかな?」
エリカは、アルファードに飛びっきりの笑顔見せながら言う。
「アルの身体が、変身に耐えられるだけの
《力》に満ちたらそうなるかも?
それとも、成長が止まる成人体になったら
変身できるのかも?
もし、変身できたら、お空の散歩に
連れて行って欲しいなぁ~」
エリカの初めてのおねだりに、アルファードは輝くほど眩しい笑顔で答える。
「もちろん、連れて行くよ
エリカが行きたい所は、どこへでも
連れて行くよ
だから、変身できるまで待ってくれ」
その良い笑顔に、エリカは見とれてしまった。
頬を紅く染めながら、エリカは恥ずかしそうに笑って言う。
「うん。ありがとうアル。約束よ」
エリカの言葉に、アルファードはどきどきしながら応える。
〔あはは…女と約束なんて……
エリカが初めてだ
なんだろう凄くドキドキして恥ずかしい
でも嬉しくて堪らない
約束って、これからも一緒の時を過ごす
っていう約束にもなるから……
これは、皇家に伝わる約束のしかたでいこう〕
「ああ約束しよう。なんなら指きりするか?」
アルファードの言葉に、エリカは驚いてしまう。
〔こっちにも指きりがあるって…これは…
聖女様が広めた約束の仕方よね…多分きっと
まっアルに聞いてみれば判るよね
聖女って、たぶん日本人が大半なんだわ〕
「えっ、こっちにもあるの?」
エリカの質問にアルファードはさらりと答える。
もちろん、指きりの為に小指を立てて見せたアルファードだった。
「寵愛の聖女様が皇帝と何か約束する時は
指きりをしたといわれているんだ
だから、何か約束する時は、指きりするんだ
特に恋人同士とか、婚約者同士とかは……」
アルファードの答えに、エリカは予想通りだったと思いにっこりする。
そして、アルファードの小指に自分の小指を絡めて言う。
「うふふ、じゃぁ約束ね
私を連れて空中散歩をすること
指きりげんまん嘘付いたら針千本飲ーます
…指切った」
エリカとアルファードは、小指を絡めて軽く上下に振って言う。
「指きりげんまん嘘付いたら針千本飲ーます
…指切った
エリカ、飛竜に変身できたら
必ず空中散歩に行くと約束しよう」
甘い雰囲気を垂れ流す2人に、聖女候補達もオスカー達騎士達なにも言えずに、生温い微笑みを浮かべていたのだった。
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