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第12章 エリカはポションを作ってみたい
187★ポーションの材料を獲りに遠征する前に……
しおりを挟む魔法騎士団本部に帰還した後、中庭へと移動させられた魔魚達が優雅に空中を泳ぐ姿を楽しみながら、エリカはアルに飼育の話しをしていた。
「アル。この魔魚達ってば
魔昆虫の粉を水で練ったモノを
パクパク食べてくれるの」
〔魔昆虫の粉、なんか、もったいなくて
鯉エサのようなモノが出来ないかなって
思った瞬間、広範囲に漂う粉を
風魔法で集積して取っておいたのよねぇ
ソレを練って、粒にして乾燥させたモノを
鯉にエサを与えるような感じで
空中を泳ぐ魔魚達に試しに投げ与えたら
パクパク食べてくれたからほっとしたわ
その時に、手を叩く音を聞いたら
手元に集まるとエサがもらえるって
1回で覚えてくれたから……
いや、本当に鯉でも飼っている
気になっちゃうわね
アルやオスカーさんも欲しがっていた
魔魚達だから、死なせたくなかったんで
ほっとしたのも確かなんだよねぇ
いや、綺麗だし可愛いし……〕
ちょっと回想しつつそう説明するエリカに、魔魚を飼おうとして失敗したアルファードは、ガッツリと食いついた。
〔魔昆虫をエサにすれば良かったなんて
流石に、誰も気がつかないよなぁ
さすがは、エリカだな
エリカが魔魚達を飼っているなら
俺が飼っているのと一緒だからいっか〕
「へぇ~手がかからないんだな」
アルファードの表情から、魔魚を飼いたい思っているのを感じて、エリカは言う。
〔遠征に行っている間の世話を
騎士様達に頼むのは悪いから……
この魔魚達を飼いたい人に
譲ってしまうのも手よねぇ……
帰って来て余裕ができたら、また、
魔魚を掴まえれば良いんだから
きちんと面倒を見てくれる人を
アルに紹介してもらえるとイイな〕
「うん。だから、遠征中の世話を
騎士様達に頼んでも良いかな?
ダメだったら、欲しいって言う人に
あげてもイイよ
また、獲ればイイから」
エリカの発言に、アルファードは嬉しそうに言う。
「だったら、父上と母上に
コイツラをあげても良いか?」
アルファードに、改めて魔魚の世話の仕方を説明するエリカは、所詮、この世界の常識が無い。
「うん。いいよ。通常の魚と違って
水替えも掃除の必要も無いし
場所も庭園の上空に、この鎖の
《結界》を作れば良いだけだし
そんなに世話も大変じゃないから
誰が飼っても大丈夫だと思うよ」
〔くすくす……皇帝である父上に
魔魚の面倒を見させるという発想は凄いな
流石は、エリカだ
でも、父上なら喜んで
エサを与えるだろうなぁ
母上は、俺が魔魚を捕まえて
実験しているのをじっと見ていたから
きっと欲しがるよな
わからなかった、捕獲しておく方法と
食べさせるエサが何かわかったんだし
目の前には、掴まえた魔魚達が
いっぱい居て、エサも有るんだから〕
アルファードは、笑って頷く。
「そうだな」
「それとね、ちょっと、見ててね」
エリカは手を軽くパンパンと2回叩く。
すると、魔魚達がエリカの元に一斉に集まって来た。
あらかじめ用意していた魔昆虫の粒?を、エリカは《魔倉庫》から取り出して魔魚にポイッポイッと投げる。
それを我先に食べる様子は、まるで鯉のようだった。
魔魚の様子を見たアルファードは、両親が魔魚の世話を自分でするだろうと思ったのだった。
この後、エリカは、調理室へ向かったし、アルファードは会議室に向かったのだった。
なお、魔魚達は、エリカに《封印》の鎖の《結界》を教えてもらったアルファードが、次の日の早朝に、皇帝や西の妃の下に届けたのだった。
もちろん、エリカの作ったエサも一緒に届けたのだった。
その日以降、朝と夕方に、魔魚にエサを与える皇帝や西の妃の姿が見られるようになった。
それを知った皇妃(シオババア)が、非常に口惜しがり、なんとしても魔魚を手に入れろと口にしたという噂が流れたのだった。
噂を聞いて、アルファード達は、くすくすと黒く嗤ったのだった。
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