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弟4章 狂信者集団と対決・前哨戦
231★桜は和輝お手製のお菓子を堪能する
しおりを挟む時間を少し戻して、昼休みを利用して、蓬莱家の屋敷のベットハウスに戻ってきた和輝が、桜に《光珠》の結晶2つと、お茶菓子を用意して、学校に戻った頃。
並べられたお菓子を食べながら、桜は今朝もらった《光珠》の結晶とあわせて、3粒の結晶体を、紅夜の写真が入ったロケットの中で転がしてクスクスと楽しそうにしていた。
和輝がくれた《光珠》の結晶は、すごくキラキラして綺麗だわ
こうして、転がる結晶体を見ているだけで、気分が良くなる
でも、和輝は早く帰って来れない紅夜の味方をしたのよね
桜が、こんなにつらいのに……側にいてくれない紅夜が悪いのに
でも………このキラキラを見ているだけで………そんなコトすら
どうでも良くなってしまうくらい、心地良い
うふふふ………今日は和輝が、真奈ちゃんや優奈ちゃんを、ウチに
連れて来てくれるって言っていたわ………楽しみ楽しみぃ~……
どんなコトして、遊ぼうかなぁ~………
〈レイ〉や〈サラ〉と一緒に、フリスビーもイイけど………
アジリティーもイイわねぇ~………
早く帰ってきて欲しいというおねだりに、直ぐには返れないという紅夜からの返事で、ふてくされていた桜だったが………。
和輝が、双子の妹達を連れて来るという話しからこっち、桜はクスクスと上機嫌に笑っていた。
その恩恵もあってか、和輝が用意したモザイククッキーを、桜の側に侍って、2頭はお相伴にあずかっていた。
「ほら……〈レイ〉…くすくす…〈サラ〉…和輝の作るお菓子は
とても美味しい…亡くなった桃姉ぇ様よりも…上手なのよねぇ」
そう呟きながら、今もヒョイッと2頭にひと口大に作られたクッキーを放り投げる。
それを器用にパクッと口で受け取り、2頭のボルゾイは嬉しそうにショリショリという微かな音をたてて食べるのだった。
紅夜が自分の望んだ通りに、直ぐに帰国して、屋敷に帰ってこないという憂鬱感から脱した桜は、自分無意識の寂しさを埋める為に、ロケットの中の結晶体を見詰める。
ただそれだけで、桜の精神を安定させる効果が《光珠》の結晶体にはあるのだ。
ホント、和輝の作ってくれた、この《光珠》の結晶体は
弱った桜を、優しく癒してくれるのよねぇ~………
やっぱり……そのうち、このロケットいっぱいに作ってもらおう
これがあると、不安がすぅーっと簡単に消えるんだもの
はぁ~あ…これで、紅夜と白夜兄ぃ様がこの屋敷に居てくれるなら
桜は幸せいっぱいなのになぁ~…………
でも、今は和輝が側に居てくれるし………
妹達も、今日は遊びに来てくれるはずだし………楽しみぃ~……
桜はここでのんびりと、和輝が用意したお菓子を食べながら
待っていればイイだけぇ~………
そうすれば、和輝が帰って来るまでの時間など、あっという間よ
くすくす………早く、和輝が優奈ちゃんや真奈ちゃんを連れて
帰って来ないかなぁ~………
それと、和輝の友達って、どんな人間なのかなぁ?楽しみね
でも、桜の変化を見られたりしないように気を付けなきゃ………
和輝は全然、桜の瞳などの変化を気にもしないけどぉ………
お友達や、優奈ちゃんと真奈ちゃんは、気にするかも知れないし
そんなコトをぼぉ~っと考えながら、桜はパウンドケーキに手を伸ばす。
持った感じは、意外としっかりと作られているが、パクッとひと口食べれば、口の中でほろりと崩れ、その甘味を広げる。
う~ん……このパウンドケーキは、どれも美味しいわ
生クリームとチョコレートと一緒に食べると、もっと美味しくなる
和輝が用意したお菓子を堪能しているところに、スマホが鳴る。
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