お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

076★ボルゾイのご飯は、合格どころか、満点のようです

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 別の場所に2頭分用意された料理を見て、桜はボソッと言う。

 「〈レイ〉も〈サラ〉も
  こんな風に、和輝達に
  ご飯を作ってもらうなど
  とんでもない贅沢よ

  焼いた肉に、ご飯と蒸した
  野菜で充分なのに………」

 その言葉で、2頭に作ったご飯が合格らしいことを読み取り、和輝はちょっとだけ溜め息を吐いて言う。

 「これで良いんなら
  あいつらに、ご飯を
  食わせちまうぞ

  お菓子でごまかして
  我慢させていたんだから」

 その言葉に、本音を漏らした桜はハッとして頷く。

 「そうだな…そしたら
  私達も食べよう

  せっかく、和輝達が
  作ってくれたのだから
  温かいうちに食べたい」

 そう言ってから、桜は〈レイ〉と〈サラ〉を見て、呟く。

 「ふん…本当なら、桜を
  あっちこっち引き摺り
  回んしたんだから……

  桜達が、ご飯を食べ終わるまで
  お預けさせてやりたいところだが
  今日は、和輝に免じて、温かい
  うちに食べさせてやろう」

 和輝の言葉に、桜はそう言って許可を出した。

 「だ…そうだ…
  優奈はあっち側に〈レイ〉のを
  真奈は〈サラ〉のをこっちに
  分けて置いてやれ

  ケンカしないように、離して
  おいた方が良いからな

  待てとお手とおかわりをさせたら
  食べさせて良いぞ

  んで、桜はこっちのソファーで
  良いな

  今、残りの料理を持って来る」


 そう言って、和輝はソファーに桜を降ろし、残りの料理をテーブルに運んだ。
 和輝からの指示に従って、優奈と真奈は、それぞれ分担を決められた2頭の夕飯を指定の位置へと運ぶ。

 もらったクッキーをいじましく食べながら、夕飯を待っていた2頭は、すかさず、優奈と真奈の側に、それぞれ駆け寄る。
 用意されたご飯の前に座り、料理がセットされるやいなや、もうお手を差し出していた。

 そんな〈レイ〉や〈サラ〉の愛らしさに、優奈も真奈もキャッキャッと楽しそうに笑いながら、お手とおかわりをさせ、待てをさせていた。
 その間に、和輝は残りの全部をテーブルに運び、声を掛ける。

 「もう、良いだろう
  ヨシの号令を与えたら
  戻って来い

  せっかくの料理が
  冷めちまうぞ」

 和輝の言葉に、桜も頷く。

 「そうよ…温かいうちに
  さっさと食べましょう

  そいつらは放っておいても
  大丈夫だから、私達も食べよう

  桜は、すっごくお腹が
  空いてしまったわ」

 そんな桜に、和輝はクスッと笑って言う。

 「当然だろう……あんな距離を
  あいつらに引き摺り回された
  んだから………」

 全身傷だらけになっちまったから
 傷口を治癒する為に、急速な
 新陳代謝しちまったセイで
 まだ、身体のバランスが
 元に戻ってないんだからな

 一旦言葉を切り、内心は別のことを考えつつ、和輝は更に続けて言う。

 「とにかく、たっぷりの栄養に
  なるモノを食べて、きちんと
  休養をとって、体力回復に
  つとめるんだな

  今の桜に必要なのは
  栄養と休養だな」

 和輝の言葉に、桜も素直に頷いた。












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