お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ

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第3章 蓬莱家で住み込みのお仕事

181★深夜の訪問客は?

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 右側にある桜の部屋の奥にある寝室で、天蓋付きベッドに桜を寝かせ、添い寝した和輝が寝息を立て始めた頃。
 開くはずの無い左側のドアが、内側から静かに開かれる。

 「ふむ……彼が、神咲和輝…か
  ………なるほどな………」

 桜が双眸を真紅に変えて
 現れても、動じぬとは………

 それに、口付けによって《気》を
 与えるだけで、変化を治めるか…

 私達並……いや、それ以上に
 濃厚な《気》を与えられるとは

 それもなんの感慨も無く
 ごく普通のコトのように………

 そう呟きながら現れたのは、現在海外にいるはずの、この蓬莱家の当主・白夜であった。
 隣室で気配を殺して、桜に対しての和輝の行動を黙って観察していたのだ。
 そう、本当に信頼できるかを確認する為に………。

 桜の異変を爺やに報告された白夜は、電話で現在の様子を確認したが、やはり変化に入っているセイで、次々と現れる現象を憂慮して、ある手法を使って、このペットハウスの私室へと現れたのである。
 白夜は、自分用の部屋から出て、桜が寝室として使用している右の部屋へと向かう。

 そっとドアを開き、桜の部屋へと気配を消して滑り込み、奥の寝室へと向かう。
 薄闇の中でも、白夜は昼間のように室内を見回せる瞳を持っているので、明かりを点けなくても何の支障も無い為、難なく部屋を抜けて寝室へと入り込む。

 白夜の侵入に、動物特有の勘で2頭は顔を上げるが、侵入者の正体を知り、小首を傾げて不思議そうにしながらも、それ以上は動かなかった。
 そんな2頭に軽く手を振り、白夜はそのままの状態で待機するように命令する。
 指示によって動かない2頭を確認し、白夜は足音も気配も無く、桜が眠る天蓋付きのベッドに近付く。

 そして、桜に添い寝して眠っている和輝の額に手を伸ばし、白夜はそっと人差し指と中指を揃えた指先で、軽く押さえて何事かを呟く。
 すぅーすぅーと健やかな寝息を立てて、更なる深い眠りに入った和輝から指先を離し、白夜は桜の肩を軽く揺する。

 よし、これで大丈夫
 私の術で意識を沈めたからな
 生半可なコトでは目覚めまい

 「さてと……それでじゃ…
  桜…さくら…聞こえるか?

  私の声が聞こえるなら
  目覚めなさい、桜」

 聞き慣れた声に優しく呼びかけられ、桜は夢現つで目覚める。

 あぁ……白夜兄ぃ様だぁ~……
 くすくす……夢でもイイわぁ
 桜は寂しかったのだから………

 それで逢えるなら……夢でも……
 って…えっ? えぇ~…うそぉ~…
 もしかして、本物の白夜兄ぃ様

 「えっ……び…白夜兄ぃ様ぁ?
  って…いやそんなはずないか?

  白夜兄ぃ様とは…先刻………
  国際電話で話したばかりだもの

  これは、夢なのかしら?
  私が、白夜兄ぃ様に逢いたいと
  思ったから?」

 現実と夢の境が判らない桜は、そう呆然と呟きながらも、ベッド側に立つ白夜へとおそるおそる手を伸ばす。
 白夜は、その伸ばされた桜の手を取ってやりながら、優しい声をかける。

 「夢ではないよ、桜
  私は、ここにいるよ

  お前が心配だったのでね

  お前の身体的なモノも
  含めた異変は
  爺やから聞いている

  どの程度、一族へと変化
  しているかを確認する為
  今夜、ここに来た

  ふむ…だいぶ…顔色は…
  良くなったようだが………
  危ないところだったな

  しかし、こんなに激しい
  変化が現れるとは………
  予想外だった

  外出したお前が、もし彼と
  出会わなかったらと思うと
  ゾッとするな

  そう言って、白夜はゆっくりと身体を起こした桜を抱き締める。
  その無事を確認するように………。
  











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