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148★ロ・シェールの街11 奴隷を買いに行こう
しおりを挟む和也の顔をじっーと見てから、エリカはエルリックと視線を交わした。
そして、唇を舌で湿らせて、俯き加減に言う。
「アレックス様、よろしいんですか?」
エリカの問い掛けに、和也はあっさりと躊躇(ちゅうちょ)無く頷いた。
「勿論です。じゃ、行きましょう」
そう言って、エリカに先導を指示しようとした和也は、困惑している浅黄とミラン達に気付く。
「「「「…?…?…」」」」
展開について行けず、困惑している浅黄に、和也は声をかける。
「レオン、説明は、後でします
エリカ、まずは、身柄の確保ですね」
「はい。
一応、奴隷商に
『2人とも買取たいから
他の人間に売るのはちょっと待って欲しい』と
申し込んであります」
「では、急ぎましょう」
何か言いたそうな顔をしながらも黙って付いて行く浅黄とミラン達だった。
走ってはいないが、かなり急ぎ足で歩く、和也達の後をミラン達はちょっと走りながら追いかけて行った。
そして、和也達は、奴隷商のエリアに入った。
その途端、歩く速度を落とした和也に、浅黄は首を傾げてし尋ねる。
「どうしたの?」
「このエリアで走るのは不味いでしょう」
浅黄の質問に、端的に答える和也は、何時もよりなんとなく余裕が無いように見える。
そんな和也に、浅黄は至極もっともな質問をする。
「そうだね…ところで…お金は?」
浅黄の質問(奴隷を買えるそれなりの金額を持っているのか?)に和也は、黒い笑顔で答える。
和也に取って、金や宝石などチカ達に言えばいくらでも手に入るので、金額はあまり意味を成していなかったから。
「持ってますよ…かなりの額を」
和也のシレッとした言葉に、浅黄は、心の底からうらやましいという表情で叫ぶ。
「アレックスは、お金を持ってるんだぁ~
俺は、持って無いのにぃ………」
「何か欲しいモノが有ったんですか?」
浅黄の表情に、和也は苦笑しながら尋ねる。
それに対して、浅黄は、軽く首を振って言う。
「いや…別に…欲しいモノなんて無い…
ただ…このゲームって…最初っから
所持金が有ったんだぁ~って…思っただけ…
俺は…前回も今回も…持って無かったけど」
「地の精霊と《契約》すれば
お金なんていくらでも手に入ります」
お金を、本当の意味で必要としていない2人の会話に、ミラン達はうらやましいなぁ~と思いながら黙って聞いていた。
何より驚いたのは、和也が、地の精霊と《契約》して、望みのままに金などを手に出来ると言ったコトだった。
そんなコトが出来るのに、ごく普通の?裕福な貴族という態度でいるコトに………。
ミラン達が驚くように、エリカ達も改めて驚いていた。
それなのに、浅黄が、のんびりとした会話を和也と始める姿に呆れていた。
「へぇ~裏技って感じだね」
「そう言えばそうですね」
「もしかして、それって、チートなのかも」
「そうかも知れませんね」
「で…聞くけど、アレックスってば
奴隷売買の相場って…わかっているの?」
「いいえ」
「大丈夫なの?」
「たぶん」
「それって…………」
「大丈夫です。たぶん、レオが来ますから……」
「レオ?」
「ボクが雇った、渡りの戦士です」
「戦士?…って…護衛?…
一緒にいないのに?…役に立つの?」
「豊富知識(猛獣や魔物、怪虫や魔獣など+
他人との交渉術など)を持ち
律儀で、真面目で、強かな人ですよ」
「もしかして、そのレオって人に
奴隷を買わせる予定なの?」
浅黄の言葉に、和也は正解ですという顔で笑ってみせる。
そんな2人の会話が途絶えたのを見計らっていたのか、何時の間にが、事後処理を済ませて、負い掛けて来ていたレオが話しかけて来る。
「アレックス様
こんな所でなにをしようとしているんですか?」
もっともなレオの質問に、ちょっぴり黒いけどイイ笑顔で和也が言う。
「奴隷を買う予定です」
「アレックス様って
奴隷は嫌いって感じがするんですけどぉ~
俺の勘違いですか?」
雇い主の性格や好みを把握し始めているレオに、和也は軽く頷く。
「その通りです」
あっさりと頷いた和也に、レオは呆れたような表情になる。
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