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006★擬似生命アースの器(うつわ)も回収します
しおりを挟む銀貨と書かれている皮袋の中身を確認しても、やっぱりぜぇ~んぶ大銀貨だった。
俺は、仕方が無いと、大銀貨を2枚だけ取り出して、別の何も入っていない皮袋に入れる。
残りは、インベントリへと放り込む。
俺が最初に入った部屋は、貨幣の皮袋と《魔石》や《魔晶石》に、一般的な価値のある高価な宝石が保管されている部屋だったので、余すことなくインベントリに放り込む。
中身の確認は、落ち着いてからでいいな
それよりも、こっちの世界の衣装に着替えた方が良いだろう
市井に紛れるにしても、このままの姿じゃ不味いからな
この部屋にはもう用はないな
部屋の中に収められていたモノをインベントリに入れた俺は、回廊に出て別の部屋へと入る。
そこは、魔術書が収められた書庫だった。
そう言えば、ここは禁書の群れだったっけな
紙で書かれたモノから、さまざまな大きさのオーヴがあったな
はっきり言って面倒臭いが、再びココに来るほうがもっと面倒だと思ったので、俺は手当たり次第にインベントリに放り込んだ。
ただし、書籍は書棚ごと。
オーヴはそれぞれの専用の箱に収められているので、そのまま放り込む。
コレ、どのぐらいかかるんだろう?
でも、過去の英知を捨てるコトは出来ない
血筋はほとんど途絶えたとしても、俺には記憶がある
このアルストメリア王国の神子姫だったのは事実なのだから
「まっ…市井に降りて、あんまりに酷いようなら、民族大移動だな
勿論、ちゃんと選別するけどな」
ぽつりと呟いた俺は、とにかくインベントリに集約された英知の群れを詰め込んだ。
流石に、誰も彼もなんて連れていけないしな
それに、こっちに来て思ったのは、精霊達の気配がほとんどしない
たぶん、俺が死んだコトが原因の大半だろうけど………
それでも、あまりにも少な過ぎるんだよな
あとで原因を調べないとな
そんなコトを考えながら、モロに禁書ばかりの知識の宝庫という部屋から出て、次の部屋へと行く。
はっきり言って、この空間は精霊の《力》と魔法で作られた空間なので、実際には洞窟のように岸壁の中が掘られているわけでは無ったりする。
そう、この空間自体がある種のインベントリなのだ。
ただ、中身があるとココの空間から外して持って歩けない仕組みになっている。
中身をインベントリに全部入れて、擬似生命のアースを連れて移動すれば、移動した場所に、この空間を設置できるのだ。
そう、ここは擬似生命アースの体内でもあるのだ。
『ビクトリア様、左の壁の中に残ってます
それ重要ですから………ワタシの器なんで
忘れないで持ち出してくださぁ~い、お願いします』
言われて、俺はハッとする。
そうだアースの器を忘れていた
ここに入れてあるって教えられていたけど………どれだ?
左の壁の中ねぇ………
俺は双眸を閉じて、アースの器の気配を探す。
感覚として違和感がある場所にあるはずだ
どこだ、アースの器は?
左の手の平から微量の《魔力》を放出し、ゆっくりと撫でる。
と、確かに違和感を感じる場所があった。
ただし、3ヶ所も………。
「……?…なんで3ヶ所?」
そう呟きつつ、俺は違和感を感じた場所を確認する。
出て来たのアースの器と核だった。
そして、その器を収める為の胸飾りだった。
真ん中にガッツリとした無色透明の《魔晶石》が嵌っていた。
あっ………コレ、ここに《魔力》を込めないとダメなヤツだ
しかし、アースの器ってタツノオトシゴかよ
いや、これはこれで可愛い?かな?
丸まったタツノオトシゴの腹部にある穴に核を嵌め込み、無色透明な《魔晶石》の中へと納める。
すぅーっと何の抵抗もなく、無色透明の《魔晶石》の中に鎮座するタツノオトシゴにクスッと笑って、俺は自分の胸にその胸飾りを着ける。
「さて、次は宝具部屋かな」
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