155 / 328
0155★翼の根元をこっそり【ルシフェル】治療
しおりを挟む白夜は、神護が速度を落とし、ゆっくりと歩き始めたのを感じて、コップのハチミツから顔を上げ、どうやっておねだりしようかと考える。
〔ああ 父上が やっと走る速度をおとしてくれた
これで やっと なにか ハチミツを掬うモノが
欲しいって言える
とはいえ 本当に なにか手頃なモノが欲しい けど
流石に 樹の枝はちょっとイヤだなぁ…………〕
そんな白夜の内心を知らない神護は、手近な岩に白夜を降ろして言う。
「ごめんな、白夜……気付かなくって……何か、ハチミツを
掬うモノを探してやるな……と、その前に
まずは、背中の翼を確認するか………」
神護は不自然にならないように気を付けながら、さりげなくそう言う。
白夜は、神護からの言葉に、ほっとした表情で頷く。
「はい ちょっと さっきからジクジクして……なんか痛いなぁ
……とは……思っていたんですが… もしかして……
翼自体が 少し 大きくなったのでしょうか」
希望観測でそう言う白夜に、神護はにっこりと笑って言う。
「んじゃ………それも、確認しないとな…………
つーことで、ここで少し休憩しようか?」
神護の言葉に、白夜は嬉しそうに笑って頷いた。
「はい 父上」
岩に降ろした白夜の背後に回り、神護はそっとマントを外し、翼の様子を確認する。
あぁ…やっぱり……白夜の希望通り、少し大きくなっているな
うぅ~ん…翼の根元の皮膚が、少し裂けたみたいだな
少し出血している………これでは、けっこう痛かったろうに………
白夜は、我慢強いようだな
翼を支える、根元の皮膚が裂けんだな……このを部分どうにか
保護してやらないと…やっぱり…痛いよなぁ………
[【ルシフェル】お前の樹液って……どうやって出せば良いんだ?]
神護からの心話に、体内の【ルシフェル】があっさりと答える。
[マスターの人差し指の腹から『ここから樹液よ出ろ』と
強く念じてくれれば すぐに出ます]
端的な説明に、神護はそういうものなのか?と思いつつも、指先に意識を集中して念じてみる。
と、直ぐに人差し指の指先に、ぷるぷるとしたジェルのような樹液が出現する。
神護は、そのジェルのような樹液を、白夜の翼の少し出血して皮膚が裂けた根元へとソッと塗る。
その瞬間、白夜の翼がビクッと震える。
「ごめんなぁ…痛かったか?
白夜が感じた通りな、翼が大きくなってたぞ
だから、根元の皮膚が裂けてちょっと出血していた
今、保護ようの薬を塗ったんだが………どうかな?」
ちょっと言いよどみつつも、神護はそう言って、ジェルのような樹液の存在を伏せる。
まだ【ルシフェル】を、白夜が受け入れられるかわからないから………。
もちろん、もう片方の翼の根元にも、ぷるぷるの樹液を塗り付けながら、神護は内心で苦笑する。
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
【完結】番である私の旦那様
桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族!
黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。
バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。
オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。
気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。
でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!)
大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです!
神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。
前半は転移する前の私生活から始まります。
レイブン領の面倒姫
庭にハニワ
ファンタジー
兄の学院卒業にかこつけて、初めて王都に行きました。
初対面の人に、いきなり婚約破棄されました。
私はまだ婚約などしていないのですが、ね。
あなた方、いったい何なんですか?
初投稿です。
ヨロシクお願い致します~。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【短編】子猫をもふもふしませんか?〜転生したら、子猫でした。私が国を救う!
碧井 汐桜香
ファンタジー
子猫の私は、おかあさんと兄弟たちと“かいぬし”に怯えながら、過ごしている。ところが、「柄が悪い」という理由で捨てられ、絶体絶命の大ピンチ。そんなときに、陛下と呼ばれる人間たちに助けられた。連れていかれた先は、王城だった!?
「伝わって! よく見てこれ! 後ろから攻められたら終わるでしょ!?」前世の知識を使って、私は国を救う。
そんなとき、“かいぬし”が猫グッズを売りにきた。絶対に許さないにゃ!
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる