異世界召喚に巻き込まれました

ブラックベリィ

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019★女の子への扱いがとても雑で複雑な気分です

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 神官様が話し出すまで、謁見の間はざわざわしたままだった。

 「アルスラーン殿、ダリューン殿、ラインハルト殿、ジークフリード殿、水晶珠の輝きにより、神力を確認いしました。が、神力は、地形さえ変える力なので、これから修行をたっぷりといたしましょう」 

 「「「…………」」」

 神官様の言葉に、ハルト君もジーク君も嫌そうにしていた。
 勿論、アルス君やダリューン君も………。
 ハルト君達が、何も言わなかったのは、口を開くとろくなコトを言わないからなのかなぁ? と思った。

 でも、のんきになんてしていられない。
 次は、私の番だから………なんて悲壮になっていたら………。
 美少女達が、順番に水晶球を触っていたが、誰のときもブリズムは出なかった。

 神官様が言っていた通り、聖女は神力を持っていない方が多いんだろうなぁ~と思った。
 だったら、私も神力が無いのは、自然だと思って気が楽になった。 
 そう思って、水晶球のあるテーブルに行こうとしたら………。
 耳元でハルト君とジーク君が甘く囁く。

 「「アリア、水晶球は触るふりだけしろよ。目立つのはいやだろう」」 
 
 「………」

 2人の命令に、ちょっと迷いのあった私は頷いた。
 美少女達に無い能力が、もし私にあったりしたら………。
 ちょっと想像しただけでも、嫌なコトしか浮かんでこなかった………。

 だから、私は、水晶球を触ったふりをした。
 結果、水晶球は光らなかった。

 これで美少女達と一緒だと思って、私はほっとして、ハルト君達の下にもどったのだった。
 私達聖女の結果に、神官様は淡々としていた。
 それと、判定結果を発表することを面倒だと思っていたように見えた。

 「聖女殿は、神力が無いのは当たり前なので、気に病まないようにしてください」

 どうやら、聖女に神力があると思っていなかったようだった。
 だから、私が水晶珠に触れていなかったコトに気が付かなかったんだぁ~と思った。
 そして、神官様は雑に発表した後に、ハルト君達に話しかける。

 「魔力の判定をいたしますので、先ほどの順番通り水晶球に手を置いてください」

 「「「「…………」」」」

 相変わらず、ハルト君達は、頷くだけだった。
 そして、アルス君から判定を受けていく。

 アルス君が、水晶珠に手を置くと、水晶球はLEDや蛍光灯の光りとは違う、白熱電球のような、暖かな光りをあたり一面に放つ。
 それを見た貴族様達や騎士様達は、感動の声を上げてざわめく。

 それを見て私は、ほっこりする光りだなぁなんて思ってしまう。
 神力の光りよりも広範囲に広がったのを見て、光りの量と実際に力を行使した時の威力に関係性は無いんだなって思ってしまう。
 私が、水晶球判定について、色々と考察している間に、ダリューン君の判定が終わっていた。
 不味いわぁ~ダリューン君の光りを見損ねちゃった………もったいなかったなぁ。
 次のハルト君とジーク君の水晶球判定は、真面目に見ようと心に誓った。
 さっきと違って、ハルト君に私から話しかけた。

 「あのね、ちょっと気になったから聞いてもイイ?」

 「どうしたの? 何が聞きたいのかな?」

 「ハルト君が使ってる、空手で使う呼吸法とか丹田とかチャクラに力を溜めるって方法を使ったら、魔力は多くなると思う?」 

 「う~ん……なるんじゃないかな? アリアの望みなら、ちょっと試してみるよ」

 「ありがとう」

 「だったら、僕も試してみるよ」

 「ありがとう。彼女達の魔力量より、大幅に少なかったら、チンクシャな私は、何言われるかわかんないから………」

 「「大丈夫、アリアにはたぁ~っぷりの魔力がある。きっとね」」

 「うん。ありがとう」

 私達が会話していたら、神官様から注意が入った。
 
 「勇者殿、聖女殿達も判定するので、速やかに水晶球に手を置いてください」

 言われても仕方が無いと思った私達は、謝る代わりに黙ってお辞儀をしたのだった。 








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