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034★一夫多妻か、一婦一夫か、一妻多夫と婚姻形態は多様なようです
しおりを挟むそれを聞いた瞬間、私は背筋になんとも言えない寒いモノを感じてしまう。
神官様の常識って、なんか怖いんですけどぉぉお………。
それって、ここの女性達が、回教徒やヒンズー教徒等のように、家庭に縛られてこき使われているって証拠なのかなぁ?
って思い、ついつい怖いもの見たさもあって聞いてしまう。
ただし、小心者の私は、それでも遠まわしにしてしまう。
「家事はしないんですか?」
私の質問に、神官様は困ったなぁ~という表情を浮かべる。
「家事は男のするコトですよ」
あっ…なんか、今のすっごく嫌な答えが見えてきた。
ここの文明? 文化? レベルって、中世から近世辺りよね。
それって、水道も無くて水汲みがあったり、洗濯機が無いから洗濯は重労働よね。
ルンバも掃除機も無いから、掃除だって、ほうきとちり取り、雑巾とバケツの世界よね。
食事を作るには、ガスも電調もレンジも無いよね、たぶん。
そしたら、薪(まき)を用意(下手したら拾ってくる)して、火をおこして(火打石を使って)かまどの火を調整して煮炊きをするってレベル?
または、それに準じるよね。
いや、一応魔法はある見たいだけど、全員が使えるわけじゃないみたいだから………。
確かに、そんな時間がかかるコトを、仕事を持っている夫が出来るはずが無いわ。
………ってとコトは、どう考えても一婦一夫制のはずが無い。
だって、家事をする人間と、労働して家計を支える人間が必要だもの。
この場合、家庭を維持する分のお金を稼ぐのを考慮して、夫は3人は必要ね。
それじゃ、一妻多夫ってコトになるじゃないのぉぉ………。
いや、怖くてこれ以上は聞きたくないわ。
なんて想像した私は、思わず美少女達に視線を向ける。
すると、私と同じように、引きつった顔が見えた。
「「「「………」」」」」
だから、私と美少女達は黙ってしまう。
そんな私達と対照的に、真面目な表情のハルト君が、神官様に質問する。
「この国の結婚の形態は、一婦一夫制度ですよね?」
一妻多夫だって予想がついていても、違って欲しいというむなしい希望を持っている私達を代表したハルト君の質問に、神官様はへろりと答える。
「王族と貴族は、一夫多妻か、一婦一夫か、一妻多夫ですね」
「「「「「「「「…?……?…」」」」」」」」
王族が女性を独り占め?するから、一夫多妻(俗に言うハーレム)よね。
次の一婦一夫って、かなりの領地を持ち使用人もたぁ~っぷり雇える大貴族よね。
長男が1人で、爵位と領地と財産と相続するから、妻は1人が良い。
だって、多妻にすると子供が増えすぎて、相続に問題が出るからね。
でも、使用人を雇える貴族なのに、なぜ一妻多夫なのかな?
その理由、ちょっと想像できないわ。
色々と思考して私達が黙っていると、神官様が説明を続けてくれた。
「貴族や裕福な商人以外は、一妻多夫が多いですね」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
制度と常識の違いに頭を抱えている私達に、追い討ちをかけるように、神官様が丁寧な説明をしてくれる。
「国王陛下及び王太子は、最低でも3人以上の妃を持ちます。確実に王位継承ができるようにです。王族は魔力量が多いので、王太子に選ばれなかった王子は、魔法使いや神官になります。それ以外に、武官になり将軍になる者も、文官になり大臣や宰相になる者もいます。また、有力な貴族の家に婿として入ったりもします。貴族は、一夫多妻が多いですね。まれに一婦一夫という貴族もいます」
あっ…この辺は、ラノベの設定通りなんだ。
長男以外は何ももらえないって、設定なのね。
でも、それって王子様でも一緒なの?
ここは、ちょっと聞いてみようかな………。
私は、一妻多夫の話を聞きたくなくて、別の話題を無意識で振っていたらい。
「あのぉ~…その場合は、臣下に降りて貴族になるんですか?」
私の質問に、微妙にズレた答えを神官様は返してくれた。
「神官のみ、王子の身分のままでいられます」
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