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045★意識と感覚が、少しだけ馴染んで来たようです
しおりを挟むちょっと困って黙り込んだ私に、ジーク君が話しかけてきた。
「アリア、僕達と一緒に食べよう」
「でも…全部は……」
「大丈夫、持て余すってわかっている分は、俺達の皿にのっけて良いから」
「そうそう、俺達ってば、見かけより大食漢だから平気だよ。ついでに、アリアが食べたいモノがあったら交換する?」
「ありがとう、甘えさせてもらうね」
「それで、良いんだよ。アリアは女の子なんだから」
「そうそう、可愛い女の子に頼られるって男の甲斐性なんだぜ」
ジーク君、ハルト君、アルス君、ダリューン君に代わる代わる説得された私は、俯いてお礼を言った。
だって、なんか嬉しくて顔が、にやけてしまったから………。
こんな緩んだ顔なんて、絶対に見せられないって思ったの。
私達が選んだのは、騎士専用食堂の食事だった。
そのテーブルの料理は、肉、魚、卵、野菜、果物、バン、スープなどが、バランス良く調理されていたから………。
後で聞いたけど、騎士専用の食事が一番豪勢でボリュームがあり、お値段も一番高かったそうな。
もっとも、この食堂棟に食べに来る人間達の中で、一番の高級取りは騎士だそうです。
騎士専用食堂で夕食を食べると決めた私達は、魔法使い達の宿舎に案内されました。
その宿舎は五階建てで、それを見て私は嫌な予感を感じた。
もしかして、最上階に全員突っ込まれるんじゃないかな?って思った。
最上階なら、私達の出入りの監視がしやすいもの。
でも、毎日、5階までの階段の上り下りを考えるとゲンナリです。
なんて思っていたら、マリウスさんの案内説明が始まりました。
「この宿舎の最上階は、誰も入居しておりません。ですから、自由に部屋割りをしてください。なお、簡単な食事を作れる給湯室や小さな食堂、食料保存庫やワインセラー、浴室や洗濯室、談話室や物置もあります。それと、2ケ所に分かれてご不浄もありますので………。ただ、使用した部屋の掃除は、各自交代でするコトになっております。なにぶん魔法使いは気難しいので、下働きの使用人が嫌がって居つきませんので………。勇者様や聖女様に、自前で掃除していただくことになりますが………」
あれっ? 意外と使いやすいかも………。
おトイレは2ヶ所っていうのは嬉しいわ。
部屋数もあるし、設備も整っている。
それに、ワンフロアを私達だけで使えるなら、周りに気を使う必要が無いわ。
ここにいるみんなは、私を含めて家事一般が得意な人間だけ………。
うん、階段の上り下りはちょっとアレだけど、プライバシーと使い勝手が保障されているんだから………オッケーね。
そう思った私は、にこにこしながら言った。
「大丈夫よ。私は、家事一般出来るもの」
「「「「俺達も家事は得意だから大丈夫だ」」」」
私の他にハルト君達からの大丈夫宣言に、マリエスさんは、ほっとした顔になる。
「そうですか。それは良かったですね。では、各部屋の使用方法を説明いたします」
もしかしたら、『勇者や聖女なんだから、使用人に全部やらせないのか?』って、言われると思っていたのでしょうか?
なんてコトが、頭をよぎったので、私はつい黙ってしまう。
すると、同じように思ったのか?ハルト君達も黙っていた。
「「「「「………」」」」」
そんな私達を綺麗にスルーして、マリウスさんは説明を始める。
「こちらが、浴室です。ここに赤い魔石が嵌めてあります。こちらには青い魔石が嵌めてあります。この2つを同時に触ってお湯をだします。では、試してください」
浴室で、お湯の出し方の説明を受けた。
ただし魔法の………。
ちょっと驚いたけど、アルス君が器用にやってみせてくれたの。
で、私も試してみたら、以外と簡単に出来たわ。
属性を添付した魔石に魔力を流すことによって、簡単に魔法が発動されるという仕組みだった。
うん、ラノベのテンプレで良かったって思いました。
特にトイレが、こっちの水洗トイレと同じで良かったわ。
流れた先で浄化魔法がかけられるから、下水の水は綺麗だって聞いてほっとしました。
他にも、色々な設備の使い方(魔法)を教わりました。
本当に剣と魔法の異世界に来たんだって、実感した瞬間でした。
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