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126★召喚されて現れたモノは?
しおりを挟むでも、それを口にする勇気なんてありません。
私は、魔王討伐イベントが終わり、浄化の役割からお役御免になるまでは、穢れ無き乙女でいたいんです。
私の中にある浄化の力と、もしかしてあるかも知れない神力も、失う可能性を排除したいからです。
聖女って、清らかな乙女がなるものだと思っているからです。
そうです……私は、猜疑心の強い小心者なんです。
そんな私に、今度はハルト君が話しかけてきます。
「アリア、着替えようね
寝室でも食事が出来るように
テーブルとイスを
用意したからさ」
「………」
私は、黙って頷きます。
余計なひとことを口にしない為に………。
ベットから降りた私は、下着も洋服も触らせてもらえません。
全裸で黙って立っていると、下着を履かせてくれたり、下着を着けてくれたりします。
合間にキスされたり、危ない場所を触られたりしますが、とにかく耐えるしかないんです。
髪だって梳かしてもらうし、顔だって、ちょっと熱めの蒸しタオルでそっと拭かれて、化粧水などをつけてもらいます。
至れり尽くせりという状態ですが、自分で全部やりたいというのが、私の本音です。
でも、それは許してもらえません。
きっと、ヤンデレな彼らの調教なんでしょう?
なんて思ったりします。
慣れるしかないと思って耐えます。
だって、神殿に居る彼女達よりはマシだと思うから………たぶん。
こころを虚ろにして耐えた私は、お茶とアップルパイを堪能しました。
作ってくれたのは、ジーク君でした。
無駄に、女子力高しと思いましたよ………ええほんとうに。
食べ終わった後始末は、ハルト君がしています。
私は座っているだけです。
それは、この後、もふもふを召喚する予定だからです。
体力の無い私の貴重なHPを減らさないためって、アルス君に言われました……どこまでも残念な私…です。
でも、今は、召喚に萌えて………いやいや、燃えています。
そして、厨二病っぽい言葉を囁くように口にします。
「私の魔力にふさわしい
フェンリルを召喚」
なんか恥ずかしい呪文?ですけど、聖獣など召喚魔法は、場所と魔方陣があって、ある程度の魔力があれば誰でも出来るって言うからこんなモノかな?って思っていたんです。
あとは、欲しい子の名を呼べばオーケーかなって………。
私の中から、ごっそりと魔力が抜けるのを感じました。
ハルト君達から、けっこう魔力が魔方陣に吸い取られるって聞いていたから、足を踏ん張って耐えられました。
そして、魔方陣が金色に輝き始めます。
どうやら、召喚は成功したようです。
どんな固体が現れるんだろうって、私はわくわくしながら待ちました。
金色の輝きが終了すると、今度は魔方陣から銀色の輝きが………。
そして、ドドォーンバリバリバリーという轟音と共に、魔方陣の中に何か居るのを感じました。
が、しかし……そこに居たのは………残念。
望んでいたモフモフのフェンリルではありませんでした。
そこには、雷をまとった、やはりもふもふのサンダータイガー(雷虎)でした。
いや、たしかに望んだ、もふもふですけどね。
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