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召喚されちゃいました
152★情報開示して良いモノと悪いモノ?
しおりを挟むアラン様の説明に、私は首を傾げてしまいます。
実際に魔物とかを見たことが無い為に、実感が湧かないセイだってわかっています。
でも、男性に守られるだけの存在っていう女性の立場が、私には受け入れ難いんです。
これは、世界でも有数の治安を誇る日本で生まれ育った弊害、ともいえるものでしょうねぇ~‥‥‥。
理性では受け入れても、感情が受け入れないというか、受け入れたくないんです。
行動の自由を、こんなにも制限されるなんてコトを‥‥‥。
そんな私に、優しい声と蕩けるような表情のままで、アラン様は、噛んで含めるように言います(ちくせい、イケメンめ)。
「何度も言いますよ
ここは、静香が生まれ育った
世界ではありません
静香には、確かに膨大な魔力があり
魔法の才能もあります
が、魔物や魔族に関する知識も
経験もありません
だから、私と常に一緒に
行動するコトを受け入れて
私に守られるコトに慣れて下さいね
愛する妃を守るのは
番である夫の義務であり
権利だってコトを‥‥‥」
アラン様は、私が異世界から召喚された人間だってわかっているから、どこまでも優しく教えてくれます。
そう言えば、あの神殿でも優しかったトコを思い出しました。
そして、あのキラキラした皇子達は、自分達の常識を押し通す気配しか無かったコトも、同時に思い出しましたよ(けっ)。
アラン様のように、異世界の常識を考慮してくれる人間ばかりじゃないってコトを‥‥‥ね。
ここは、アラン様の言う通りに行動した方が、安全だってわかりました。
とにかく、ここの常識を身に付けてから‥‥‥。
自分のやりたいコトと出来るコトというか。
許されるコトの折り合いを付けて生きて行くしか無いって‥‥‥ことが理解できました。
いや、理解したくなくても、状況が許してくれません。
郷に入っては郷に従えですね(涙)。
とりあえず、ケーキを食べますか‥‥‥うん?‥‥‥あれ?
なんだろう?‥‥‥なんか‥こう重要なコトを忘れているような気が?
ああそうだ‥アラン様と一緒にハーフトランスした‥‥帝都騎士団の人達は、あの後どうなったんでしょうか?
ここは、アラン様に聞いてみるしかないですね。
「アラン様
あの後、帝都騎士団の人達は
お休みをもらえたんでしょうか?
それとも、あのままお仕事を
続けたんでしょうか?」
唐突に話しを変えた私に、アラン様は苦笑しながら、一口大のチョコレートを差し出してくれました。
「あれらは、そのまま休みましたよ
大掛かりな訓練の後は
たっぷりと、休息を取るように
なっていますから‥‥‥」
私は、差し出されたチョコレートを見て、口を開けます‥‥‥口に入れてもらう為に‥‥‥求愛給餌って恥ずかしいですよ(大恥)。
そして、アラン様から、また、魔法の気配がするコトに気が付きました。
どうやら遮音壁を張ったみたいです。
私の耳にもとに息を吹きかけるように、アラン様は囁きます。
でもねアラン様、そのついでに、私の耳をアゲハチョウのピアスごと、甘噛みするという求愛行動は、ぞくぞくするから止めて下さいね(涙)。
「ハーフトランスした彼らには
私が治癒魔法を掛けた後に
再度、治癒魔法を
帝都騎士団の魔法使い達に
掛けてもらっています
その結果、通常通りに
動けるようになっています
ただし、戦闘には不安がある為に
待機して休んでいる状態ですね
それと、あれらが
ハーフトランスしたことは
緘口令(かんこうれい=喋るな)を
していいます」
チョコレートを食べ終わった私は、疑問を口にします。
「えっとぉ~‥‥どうして?
正式に発表しないんですか?
アラン様のフルトランスで
バレバレだと思いますけど?」
アラン様はにっこり笑って、魔法で飲み頃の温度を維持している紅茶の入ったカップを、私に差し出しながら答えてくれます。
「そのコトは、既に、帝国全土に
公式発表をしてあります
3日後に、祝賀パーティーを
開く予定になっていますよ」
ちょっと口の中が甘いって思っていたので、こくこくと飲み、それから再度、私は聞きました。
「だったら、ハーフトランスも‥‥‥」
私の話し途中に、アラン様は、私の好きなレアチーズケーキを口元に差し出してくれます。
私は、素直に口を開いて、レアチーズケーキを食べるコトにします。
だって、何を言っても無駄だって、もういい加減覚えたので‥‥‥。
もぐもぐと口を動かしている私を、蕩けるような甘い表情で見詰めながら、アラン様は、あっさりと教えてくれましたよ。
「私のフルトランスは
身体に何の負担も無いので
そのまま戦闘に入れますが
彼らのハーフトランスは
身体に負担ばかりで
今は何の役にも立ちません
それを発表する意味が
無いんですよ」
食べ終わった私に、アラン様は、また紅茶を口元に差し出してくれます。
私は、それに口を付けて、こくと飲んだ後に、こくこくと飲みましたよ。
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